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プリシラの安ど
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ウィード国王が西の森からの撤退を公言した。これでドワーフとエルフの森は守られたのだ。プリシラはブルブルと身体が震え出し、首に押しつけていた短剣をポトリと落とした。
身体の震えに気づくと、膝がガクガクと激しく震え出し、プリシラはその場にしゃがみこんでしまった。
『プリシラ、大丈夫か?』
タップは可愛い前脚を、プリシラの膝にちょこんと乗せて、心配そうに見上げていた。プリシラはタップのやわらかい毛並みをなでながら答えた。
「ええ、大丈夫よ?タップ。さっきはありがとう。兵士たちを吹っ飛ばしてくれて」
『へへん。プリシラの邪魔をする奴は俺が許さねぇんだよ!それにしても名演技だったな?プリシラ。きっと、悪魔姉ちゃんは出番がなくってじだんだふんでるぜ』
タップのはしゃいだ言葉に、プリシラは疲れたように微笑んだ。タップはどうやら、プリシラが迫真の演技をしたと思っているようだ。
もしプリシラが国王の説得に失敗した場合、姉のエスメラルダをこの場に呼んで、国王をおどして説得させるてはずだった。
だがそんな事をしては、エスメラルダは王に逆らった反逆者になってしまう。それだけはさせられなかった。
ドリス王女は、プリシラが書状を手に城へ向かう時に言っていた。
お父さまは、きっと軍の撤退を認めると偽って、わたくしを拘束した後、新たな軍を差し向けるだろう。だからわたくしは、その前に自害します。
プリシラ、後の事を頼みましたよ?ドワーフとエルフのために行動しなさい。もしプリシラたちが罪に問われるような事があれば、わたくしの遺言を遂行したといいなさい。
プリシラが見たドリスの瞳は、まるでないだ湖のように透き通っていた。プリシラはドリスが命をかけてドワーフとエルフの森を守ろうとしているのだと確信した。
プリシラはどうやって国王を説得できるか、必死になって考えた。だが良い案は浮かばなかった。だからプリシラは、自分も命をかける事にしたのだ。
プリシラは死を恐れている。死にたくない。だがそれと同じくらいにドリスに死んでほしくなかった。
プリシラが死んでしまえば、姉のエスメラルダとタップは怒って嘆き悲しむだろう。だがプリシラにはこの考えしか浮かばなかった。
プリシラは自らの首すじに短剣を押しつけ、国王が軍隊を撤退させないと言えば、首すじをかき切る覚悟だった。
プリシラの本気を知って、ウィード国王が考えをあらためてくれる事を願って。
プリシラはぼんやりと王の間にしゃがみこんでいると、ウィード国王は部下に命じて、書状をしたためていた。国王がサインした書状を、部下がもったいぶった動作でプリシラの目の前に突き出した。
書状には、今後一切西の森には関わらない事を約束する文面と、国王のサインが書かれていた。
プリシラは目に涙を浮かべながら、国王に言った。
「国王陛下ありがとうございます。ドリス王女さまはとても立派なお方です」
「そんな事知っている。早くその書状を持って行け。そして娘に伝えてくれ。早く顔が見たい、と」
プリシラは深々と頭を下げると、タップを抱き上げて、王の間を後にした。
身体の震えに気づくと、膝がガクガクと激しく震え出し、プリシラはその場にしゃがみこんでしまった。
『プリシラ、大丈夫か?』
タップは可愛い前脚を、プリシラの膝にちょこんと乗せて、心配そうに見上げていた。プリシラはタップのやわらかい毛並みをなでながら答えた。
「ええ、大丈夫よ?タップ。さっきはありがとう。兵士たちを吹っ飛ばしてくれて」
『へへん。プリシラの邪魔をする奴は俺が許さねぇんだよ!それにしても名演技だったな?プリシラ。きっと、悪魔姉ちゃんは出番がなくってじだんだふんでるぜ』
タップのはしゃいだ言葉に、プリシラは疲れたように微笑んだ。タップはどうやら、プリシラが迫真の演技をしたと思っているようだ。
もしプリシラが国王の説得に失敗した場合、姉のエスメラルダをこの場に呼んで、国王をおどして説得させるてはずだった。
だがそんな事をしては、エスメラルダは王に逆らった反逆者になってしまう。それだけはさせられなかった。
ドリス王女は、プリシラが書状を手に城へ向かう時に言っていた。
お父さまは、きっと軍の撤退を認めると偽って、わたくしを拘束した後、新たな軍を差し向けるだろう。だからわたくしは、その前に自害します。
プリシラ、後の事を頼みましたよ?ドワーフとエルフのために行動しなさい。もしプリシラたちが罪に問われるような事があれば、わたくしの遺言を遂行したといいなさい。
プリシラが見たドリスの瞳は、まるでないだ湖のように透き通っていた。プリシラはドリスが命をかけてドワーフとエルフの森を守ろうとしているのだと確信した。
プリシラはどうやって国王を説得できるか、必死になって考えた。だが良い案は浮かばなかった。だからプリシラは、自分も命をかける事にしたのだ。
プリシラは死を恐れている。死にたくない。だがそれと同じくらいにドリスに死んでほしくなかった。
プリシラが死んでしまえば、姉のエスメラルダとタップは怒って嘆き悲しむだろう。だがプリシラにはこの考えしか浮かばなかった。
プリシラは自らの首すじに短剣を押しつけ、国王が軍隊を撤退させないと言えば、首すじをかき切る覚悟だった。
プリシラの本気を知って、ウィード国王が考えをあらためてくれる事を願って。
プリシラはぼんやりと王の間にしゃがみこんでいると、ウィード国王は部下に命じて、書状をしたためていた。国王がサインした書状を、部下がもったいぶった動作でプリシラの目の前に突き出した。
書状には、今後一切西の森には関わらない事を約束する文面と、国王のサインが書かれていた。
プリシラは目に涙を浮かべながら、国王に言った。
「国王陛下ありがとうございます。ドリス王女さまはとても立派なお方です」
「そんな事知っている。早くその書状を持って行け。そして娘に伝えてくれ。早く顔が見たい、と」
プリシラは深々と頭を下げると、タップを抱き上げて、王の間を後にした。
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