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解決の糸口
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プリシラは動けるようになると、そこで初めて辺りを見回した。プリシラの側には、クサリを巻かれたドワーフがいた。
ドワーフはプリシラのわからない言葉でしきりに何かを言っている。プリシラはタップに、彼が何を聞いているのか質問した。
「タップ。ドワーフさんは何て言っているの?」
『何で自分を助けたのかと聞いている』
プリシラは重い身体を起こそうとした。姉のエスメラルダが身体を支えて座らせてくれる。プリシラはエスメラルダに頼んだ。
「お姉ちゃん、ドワーフさんのクサリを外してほしいの」
エスメラルダはうなずいて、魔法でクサリを外してくれた。ドワーフはクサリできつく縛られていたようで、手がこわばってしまったようだ。
ドワーフはゆっくりとした動作で両手を撫でさすりながら、プリシラを見つめていた。プリシラは膝の上に乗ってきたタップの背中を撫でながら言った。
「タップ。私の言葉をドワーフさんに伝えてくれる?」
『おお、任せとけ!』
プリシラはありがとうとうなずくと、口を開いた。
「ドワーフさん。貴方たちの大切な森を壊そうとして、本当にごめんなさい。人間は、森が貴方たちのものである事に気づいていないんです」
〔お前たちの森を壊して悪かったな。お前たちが住んでいる事、人間のバカ共は気づいていねぇんだ〕
〔・・・。おい、本当に今の言葉。この人間の娘が言っているのか?〕
〔当たり前だろ。俺の通訳にケチつけるってのか?〕
〔・・・。いや、通訳を頼む。娘は何故わしを助けたのか聞いてくれ〕
プリシラはタップとドワーフの会話をかたずを飲んで見守っていた。タップがプリシラを見上げてから言った。
『ドワーフのおっさんが、何で自分を助けたのか知りたいって』
プリシラはうなずいてから口を開いた。
「本当の事言うと、あの時の事はあまり覚えていないんです。兵士がドワーフさんに斬りかかった時、とっさに止めなきゃって思ったんです。身体が勝手に動いたっていうか。あいまいな答えでごめんなさい」
〔とっさの行動だったから、とくに意味はねぇ、だとよ〕
ドワーフは、プリシラの言葉を通訳してくれているはずのタップを、じっと見つめながら口を開いた。
〔もっと長くしゃべってなかったか?本当にそれだけか?〕
〔いちいちうるせぇ奴だなぁ。言っただろ?プリシラってのはこういう奴なんだよ。悪人だろうが善人だろうが、ドワーフだろうがエルフだろうが、霊獣や精霊だって、危険にさらされていたら、迷わず助けに行っちまうんだよ〕
〔そんな、人間の中に、そのような者がいるのか?わしは、人間は浅ましくごう慢で、いやしい存在だと思っていた〕
〔人間は世の中にうじゃうじゃいるからな〕
プリシラは、タップとドワーフの会話が落ち着いたのを見計らってからタップに言った。
「タップ。私の言葉をドワーフさんに伝えて?私は人間の中で、下の部類に属しています。だからドワーフさんたちの森を返す事ができません。だけど、必ずドワーフさんたちの森をお返しできるように行動します。どうかドワーフさんにも力を貸してほしいです」
〔プリシラはお前たちの森を返したいが、自分にはその力も権限もないと言っている。だけど必ずお前らに森を返すから、お前らも協力しろと言っている〕
ドワーフは驚いた表情でプリシラを見つめた。プリシラが微笑むと、ドワーフも少し表情をゆるめた。
ドワーフはプリシラのわからない言葉でしきりに何かを言っている。プリシラはタップに、彼が何を聞いているのか質問した。
「タップ。ドワーフさんは何て言っているの?」
『何で自分を助けたのかと聞いている』
プリシラは重い身体を起こそうとした。姉のエスメラルダが身体を支えて座らせてくれる。プリシラはエスメラルダに頼んだ。
「お姉ちゃん、ドワーフさんのクサリを外してほしいの」
エスメラルダはうなずいて、魔法でクサリを外してくれた。ドワーフはクサリできつく縛られていたようで、手がこわばってしまったようだ。
ドワーフはゆっくりとした動作で両手を撫でさすりながら、プリシラを見つめていた。プリシラは膝の上に乗ってきたタップの背中を撫でながら言った。
「タップ。私の言葉をドワーフさんに伝えてくれる?」
『おお、任せとけ!』
プリシラはありがとうとうなずくと、口を開いた。
「ドワーフさん。貴方たちの大切な森を壊そうとして、本当にごめんなさい。人間は、森が貴方たちのものである事に気づいていないんです」
〔お前たちの森を壊して悪かったな。お前たちが住んでいる事、人間のバカ共は気づいていねぇんだ〕
〔・・・。おい、本当に今の言葉。この人間の娘が言っているのか?〕
〔当たり前だろ。俺の通訳にケチつけるってのか?〕
〔・・・。いや、通訳を頼む。娘は何故わしを助けたのか聞いてくれ〕
プリシラはタップとドワーフの会話をかたずを飲んで見守っていた。タップがプリシラを見上げてから言った。
『ドワーフのおっさんが、何で自分を助けたのか知りたいって』
プリシラはうなずいてから口を開いた。
「本当の事言うと、あの時の事はあまり覚えていないんです。兵士がドワーフさんに斬りかかった時、とっさに止めなきゃって思ったんです。身体が勝手に動いたっていうか。あいまいな答えでごめんなさい」
〔とっさの行動だったから、とくに意味はねぇ、だとよ〕
ドワーフは、プリシラの言葉を通訳してくれているはずのタップを、じっと見つめながら口を開いた。
〔もっと長くしゃべってなかったか?本当にそれだけか?〕
〔いちいちうるせぇ奴だなぁ。言っただろ?プリシラってのはこういう奴なんだよ。悪人だろうが善人だろうが、ドワーフだろうがエルフだろうが、霊獣や精霊だって、危険にさらされていたら、迷わず助けに行っちまうんだよ〕
〔そんな、人間の中に、そのような者がいるのか?わしは、人間は浅ましくごう慢で、いやしい存在だと思っていた〕
〔人間は世の中にうじゃうじゃいるからな〕
プリシラは、タップとドワーフの会話が落ち着いたのを見計らってからタップに言った。
「タップ。私の言葉をドワーフさんに伝えて?私は人間の中で、下の部類に属しています。だからドワーフさんたちの森を返す事ができません。だけど、必ずドワーフさんたちの森をお返しできるように行動します。どうかドワーフさんにも力を貸してほしいです」
〔プリシラはお前たちの森を返したいが、自分にはその力も権限もないと言っている。だけど必ずお前らに森を返すから、お前らも協力しろと言っている〕
ドワーフは驚いた表情でプリシラを見つめた。プリシラが微笑むと、ドワーフも少し表情をゆるめた。
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