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プリシラの信念
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ドンッと背中に衝撃を感じた後、背中が焼けるように熱かった。背中を斬られたのだ。プリシラはズルズルとドワーフにもたれかかった。ドワーフはしきりに何か叫んでいた。
〔おい!人間の娘!何故わしをかばったのだ!〕
プリシラはドワーフの言葉がわからなかったので、荒く呼吸をしながら、微笑んだ。
プリシラの背後で、エスメラルダとタップの怒りの叫び声が聞こえた。
「よくも私の妹を斬ってくれたわね?!死ぬ覚悟はできているんでしょうね?!」
『テメェ!俺の契約者を傷つけやがったな!生かしちゃおけねぇ!粉々にしてやる!』
プリシラは薄れゆく意識の中、必死に姉と契約霊獣を呼んだ。お姉ちゃん、タップ。殺しちゃだめ。プリシラはか細い声で声をかけ続けた。
「まったく!どいつもこいつも使えないな!冷静なのはわたくしだけだ」
突然、プリシラの横にドリスがやって来た。ドリスのブレスレットの宝石が光りだした。焼けるように痛む背中の辛さが少し和らいだ。
ドリスは治癒魔法の入った魔法具で、プリシラを治療してくれているのだ。プリシラは震える声でドリスに言った。
「ドリスさま、早く姉とタップを止めてください。兵士が死んでしまう」
「お前はバカか?!人の事より、自分の心配をしろ!プリシラ、お前死にかけているんだぞ?!」
ドリスの苦言にプリシラは首をふった。ドリスはため息をついてから、スクッと立ち上がって叫んだ。
「エスメラルダ!タップ!早くプリシラに治癒魔法を!」
そこでようやくエスメラルダとタップがプリシラの側に駆け寄って来た。
「プリシラ!お姉ちゃんが治癒魔法ですぐに痛いのを治してあげる!」
『プリシラ!俺が治してやるからな!』
プリシラは、エスメラルダとタップの姿を見てホッとした。兵士も死なず、プリシラも治癒魔法をしてもらえると思ったからだ。だがエスメラルダとタップはお互いに顔を見合わせると、口論を始めた。
「毛玉は引っ込んでなさい!私がプリシラに治癒魔法をするの!」
『悪魔姉ちゃんは引っ込んでろよ!俺がプリシラに治癒魔法をするんだ!』
プリシラはお決まりの展開に小さく笑った。ドリスは顔を真っ赤にして怒鳴った。
「お前たち!いい加減にしろ!命令だ!早くプリシラに治癒魔法をしろ!」
プリシラが目を覚ますと、そこには泣きはらした姉とタップがいた。プリシラは姉の膝の上に頭を乗せて、仰向けに寝ていた。どうやらプリシラは助かったようだ。姉のエスメラルダはグズグズと鼻をすすりながら怒って言った。
「プリシラ!アンタって子は!何で生身で剣を受けたりするの?!風防御魔法でキチンと自分の身を守りなさい!」
「お姉ちゃん、心配かけてごめんなさい」
タップはプリシラの頬に顔をすりつけながら怒っていた。
『プリシラ!お前、何で俺を悪魔姉ちゃんにほっぽったんだよ!俺が側にいれば、剣を持った人間なんて簡単に吹き飛ばせたんだぞ?!』
「ごめんね?タップ。もしタップがケガをしたらと思って、とっさにお姉ちゃんに預けちゃった」
『プリシラ!今度から絶対に俺の側を離れるんじゃないぞ!離れたら許さないからな!』
タップはプリシラの頬にグイグイと頭を押し続けた。プリシラはうんうんと言いながら、なまりのように重い手で、タップの背中を優しく撫でた。
〔おい!人間の娘!何故わしをかばったのだ!〕
プリシラはドワーフの言葉がわからなかったので、荒く呼吸をしながら、微笑んだ。
プリシラの背後で、エスメラルダとタップの怒りの叫び声が聞こえた。
「よくも私の妹を斬ってくれたわね?!死ぬ覚悟はできているんでしょうね?!」
『テメェ!俺の契約者を傷つけやがったな!生かしちゃおけねぇ!粉々にしてやる!』
プリシラは薄れゆく意識の中、必死に姉と契約霊獣を呼んだ。お姉ちゃん、タップ。殺しちゃだめ。プリシラはか細い声で声をかけ続けた。
「まったく!どいつもこいつも使えないな!冷静なのはわたくしだけだ」
突然、プリシラの横にドリスがやって来た。ドリスのブレスレットの宝石が光りだした。焼けるように痛む背中の辛さが少し和らいだ。
ドリスは治癒魔法の入った魔法具で、プリシラを治療してくれているのだ。プリシラは震える声でドリスに言った。
「ドリスさま、早く姉とタップを止めてください。兵士が死んでしまう」
「お前はバカか?!人の事より、自分の心配をしろ!プリシラ、お前死にかけているんだぞ?!」
ドリスの苦言にプリシラは首をふった。ドリスはため息をついてから、スクッと立ち上がって叫んだ。
「エスメラルダ!タップ!早くプリシラに治癒魔法を!」
そこでようやくエスメラルダとタップがプリシラの側に駆け寄って来た。
「プリシラ!お姉ちゃんが治癒魔法ですぐに痛いのを治してあげる!」
『プリシラ!俺が治してやるからな!』
プリシラは、エスメラルダとタップの姿を見てホッとした。兵士も死なず、プリシラも治癒魔法をしてもらえると思ったからだ。だがエスメラルダとタップはお互いに顔を見合わせると、口論を始めた。
「毛玉は引っ込んでなさい!私がプリシラに治癒魔法をするの!」
『悪魔姉ちゃんは引っ込んでろよ!俺がプリシラに治癒魔法をするんだ!』
プリシラはお決まりの展開に小さく笑った。ドリスは顔を真っ赤にして怒鳴った。
「お前たち!いい加減にしろ!命令だ!早くプリシラに治癒魔法をしろ!」
プリシラが目を覚ますと、そこには泣きはらした姉とタップがいた。プリシラは姉の膝の上に頭を乗せて、仰向けに寝ていた。どうやらプリシラは助かったようだ。姉のエスメラルダはグズグズと鼻をすすりながら怒って言った。
「プリシラ!アンタって子は!何で生身で剣を受けたりするの?!風防御魔法でキチンと自分の身を守りなさい!」
「お姉ちゃん、心配かけてごめんなさい」
タップはプリシラの頬に顔をすりつけながら怒っていた。
『プリシラ!お前、何で俺を悪魔姉ちゃんにほっぽったんだよ!俺が側にいれば、剣を持った人間なんて簡単に吹き飛ばせたんだぞ?!』
「ごめんね?タップ。もしタップがケガをしたらと思って、とっさにお姉ちゃんに預けちゃった」
『プリシラ!今度から絶対に俺の側を離れるんじゃないぞ!離れたら許さないからな!』
タップはプリシラの頬にグイグイと頭を押し続けた。プリシラはうんうんと言いながら、なまりのように重い手で、タップの背中を優しく撫でた。
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