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お茶会
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デムーロ伯爵は貴族とは思えないほど気さくで、緊張しているプリシラにたくさん話しかけてくれた。
「トビーはとてもやんちゃ坊主だな。風魔法を見せてほしいと言ったら、部屋の中を飛び回るものだから、部屋の装飾品が壊れてしまったのだ」
デムーロ伯爵は笑いながら話すが、プリシラはトビーのしでかした事に恐れおののいて、失神寸前だった。
しばらくデムーロ伯爵の世間話が続き、一息つくと彼は改まった声で言った。
「その、ダニエラの様子はどうだ?彼女は達者か?」
そこでプリシラはようやく意識がしっかりした。デムーロ伯爵はダニエラの様子が知りたいから、プリシラをお茶に招待したのだ。
どうやらデムーロ伯爵にとってもダニエラは大切な存在らしい。プリシラはダニエラの話しをできるだけ詳しく話した。デムーロ伯爵は目尻に笑いじわを浮かべて喜んでくれた。
「プリシラ、礼を言う。トビーの話しはいつもダニエラの作ったお菓子の話しでな」
プリシラは苦笑してから、はたと思い出し、ポシェットからハンカチを取り出してデムーロ伯爵に見せた。
「これはダニエラさんが刺繍をしてくれたハンカチです。ダニエラさんは裁縫が得意で、私が素敵ですねと言ったら、作ってくれたんです」
プリシラは薄ピンクのハンカチをデムーロ伯爵に手渡した。ハンカチのはじには、赤いバラと白いバラ、そしてピンクのバラが可愛らしく刺繍されていた。
デムーロ伯爵はハンカチの刺繍を、思いつめた顔で見つめていた。プリシラは控えめに提案した。
「あの、ダニエラさんにハンカチを刺繍してもらえるように頼んでみましょうか?このハンカチは、ダニエラさんが私にくださったものなので、おゆずりするわけにはいきませんが、デムーロ伯爵の名前はふせて、仕事の依頼としてお願いしてみます」
「!。まことか、いくら値段がかかってもかまわない。頼む、プリシラ」
デムーロ伯爵の必死な表情に、プリシラは小さく微笑んだ。
お茶会が進み、プリシラはデムーロ伯爵と打ち解けていった。プリシラは気になった事をデムーロ伯爵に質問した。
「伯爵さまは魔法使いでいらっしゃるんですよね?先ほど私ごときの風魔法が面白いとおっしゃっていましたが」
プリシラはデムーロ伯爵に会った時から疑問に思っていたのだ。プリシラの風浮遊魔法を面白いと言い、トビーの風飛行魔法を見てみたいと話したデムーロ伯爵の言動が。
貴族とは、とても高い魔力を有している。プリシラは魔力が無くて貴族の家を追い出されたのだ。デムーロ伯爵が魔法使いである事を信じて疑わなかったからだ。デムーロ伯爵は苦笑しながら答えた。
「プリシラは貴族が高い魔力を持っているというウワサを信じておるのだな?あんなもの迷信だ。事実私は伯爵家に生まれたが、魔力なんてこれっぽっちもないぞ?」
プリシラは驚いてしまった。デムーロ伯爵は魔法使いどころかエレメント使いでもないというのだ。プリシラはデムーロ伯爵がうらやましかった。彼は魔力が無いのにもかかわらず、伯爵家で大切に育てられたのだ。
「まぁ、私には魔力は無いか、息子のリベリオは魔法使いだぞ?とんだバカ息子でな、プリシラのような美女を見るとすぐにちょっかいをかけようとするのだ」
プリシラは驚いてデムーロ伯爵の話しの続きをあまり聞いていなかった。デムーロ伯爵には息子がいる。つまり妻がいるという事に他ならない。
プリシラは勝手にデムーロ伯爵は独身だと勘違いしていた。妻がいるのにダニエラに花を贈り続けている。これはあまりにも妻に対して失礼ではないのだろうか。
プリシラは何だかモヤモヤしてしまい、次の仕事を理由にお茶会を切り上げて帰る事にした。
「トビーはとてもやんちゃ坊主だな。風魔法を見せてほしいと言ったら、部屋の中を飛び回るものだから、部屋の装飾品が壊れてしまったのだ」
デムーロ伯爵は笑いながら話すが、プリシラはトビーのしでかした事に恐れおののいて、失神寸前だった。
しばらくデムーロ伯爵の世間話が続き、一息つくと彼は改まった声で言った。
「その、ダニエラの様子はどうだ?彼女は達者か?」
そこでプリシラはようやく意識がしっかりした。デムーロ伯爵はダニエラの様子が知りたいから、プリシラをお茶に招待したのだ。
どうやらデムーロ伯爵にとってもダニエラは大切な存在らしい。プリシラはダニエラの話しをできるだけ詳しく話した。デムーロ伯爵は目尻に笑いじわを浮かべて喜んでくれた。
「プリシラ、礼を言う。トビーの話しはいつもダニエラの作ったお菓子の話しでな」
プリシラは苦笑してから、はたと思い出し、ポシェットからハンカチを取り出してデムーロ伯爵に見せた。
「これはダニエラさんが刺繍をしてくれたハンカチです。ダニエラさんは裁縫が得意で、私が素敵ですねと言ったら、作ってくれたんです」
プリシラは薄ピンクのハンカチをデムーロ伯爵に手渡した。ハンカチのはじには、赤いバラと白いバラ、そしてピンクのバラが可愛らしく刺繍されていた。
デムーロ伯爵はハンカチの刺繍を、思いつめた顔で見つめていた。プリシラは控えめに提案した。
「あの、ダニエラさんにハンカチを刺繍してもらえるように頼んでみましょうか?このハンカチは、ダニエラさんが私にくださったものなので、おゆずりするわけにはいきませんが、デムーロ伯爵の名前はふせて、仕事の依頼としてお願いしてみます」
「!。まことか、いくら値段がかかってもかまわない。頼む、プリシラ」
デムーロ伯爵の必死な表情に、プリシラは小さく微笑んだ。
お茶会が進み、プリシラはデムーロ伯爵と打ち解けていった。プリシラは気になった事をデムーロ伯爵に質問した。
「伯爵さまは魔法使いでいらっしゃるんですよね?先ほど私ごときの風魔法が面白いとおっしゃっていましたが」
プリシラはデムーロ伯爵に会った時から疑問に思っていたのだ。プリシラの風浮遊魔法を面白いと言い、トビーの風飛行魔法を見てみたいと話したデムーロ伯爵の言動が。
貴族とは、とても高い魔力を有している。プリシラは魔力が無くて貴族の家を追い出されたのだ。デムーロ伯爵が魔法使いである事を信じて疑わなかったからだ。デムーロ伯爵は苦笑しながら答えた。
「プリシラは貴族が高い魔力を持っているというウワサを信じておるのだな?あんなもの迷信だ。事実私は伯爵家に生まれたが、魔力なんてこれっぽっちもないぞ?」
プリシラは驚いてしまった。デムーロ伯爵は魔法使いどころかエレメント使いでもないというのだ。プリシラはデムーロ伯爵がうらやましかった。彼は魔力が無いのにもかかわらず、伯爵家で大切に育てられたのだ。
「まぁ、私には魔力は無いか、息子のリベリオは魔法使いだぞ?とんだバカ息子でな、プリシラのような美女を見るとすぐにちょっかいをかけようとするのだ」
プリシラは驚いてデムーロ伯爵の話しの続きをあまり聞いていなかった。デムーロ伯爵には息子がいる。つまり妻がいるという事に他ならない。
プリシラは勝手にデムーロ伯爵は独身だと勘違いしていた。妻がいるのにダニエラに花を贈り続けている。これはあまりにも妻に対して失礼ではないのだろうか。
プリシラは何だかモヤモヤしてしまい、次の仕事を理由にお茶会を切り上げて帰る事にした。
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