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プリシラの信念
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プリシラは風魔法を身体にまとうと、ものすごい速さで移動する事ができる。横目で、姉のエスメラルダが火攻撃魔法を、契約霊獣のタップが風攻撃魔法を放ったのを確認した。
プリシラは、棒立ちになっている山賊たちの前におどり出ると、自身の最大魔力を使って風防御魔法を使った。
プリシラが作った風の壁に、尋常じゃない圧力がかかる。これが姉と霊獣の攻撃魔法なのだ。プリシラの魔力では、おそらく三十秒、いや十五秒持たせるのが限界だろう。プリシラはうめくように山賊たちに言った。
「山賊さんたち、逃げて、ください」
山賊たちは目を大きく見開いて言った。
「おじょうちゃん。俺たちを助けてくれるのか?」
「おじょうちゃんを捕まえて売ろうとした俺たちを、」
プリシラは歯を食いしばりながら言った。
「真面目に生きるのは、とても大変です。誰もほめてくれないし。だけど、悪い人間は、問答無用で殺そうとする姉と契約霊獣もいます。だから、皆さん、どうかこれからは真面目に生きて、ください」
「おじょうちゃん、恩にきる」
山賊たちはきびすを返して逃げ出した。あの山賊たちが心を入れ替えて真面目に生きてくれるのは疑問だが、プリシラは目の前で人が死ぬのを見ずに済んだのだ。
プリシラの風防御魔法に圧力をかけていた攻撃魔法が止んだ。エスメラルダとタップが、違和感に気づいて攻撃魔法を解除したのだ。プリシラは風防御魔法を解除すると、その場に倒れこんだ。
「キャア!プリシラ、大丈夫?!」
『プリシラ!大丈夫か?!』
エスメラルダとタップがプリシラの側に駆け寄って来た。
「何で山賊なんかかばったの?!あんな奴らは死んで当然の奴らなのよ?」
エスメラルダは目に涙を浮かべながら怒って言った。
「お姉ちゃん。悪人だって生きているわ?悪人にも五分の魂って言うでしょ?」
「それを言うなら、一寸の虫にも五分の魂じゃないかしら。でもお姉ちゃんはね、悪人は虫けら以下だと思うわ?」
『俺もそう思うぜ?悪い人間はどこまで行ってもクズなんだよ』
手きびしいエスメラルダに、タップも続く。プリシラは苦笑しながら答えた。
「確かに、さっきの山賊さんたちがこれから真面目に働いてくれるかどうかはわからないわ。でも、私は思うの。どんなに悪い人間でも、気持ちが変わる時があるんだって。だからお姉ちゃん、タップ。もし悪い人間がいたとしても、できるだけ殺さないでほしいの。もしお姉ちゃんとタップの身が危険だったら自分たちの安全を最優先にして?だけど、少しでも余裕があるのならば、悪人たちにも少しだけ手ごころを加えてあげてほしいの」
プリシラを見下ろすエスメラルダは、美しい瞳から涙を流しながら言った。
「プリシラ、あんたって子は、」
『プリシラ、お前は本当にお人好しだなぁ。まぁ、そんなトコが気に入って俺は契約したんだけどよ』
エスメラルダのぼやきにタップも続く。プリシラは全身が鉛のように重く、起き上がる事ができなかった。無理もないだろう。最恐の魔女と霊獣の攻撃を受け止めたのだから。
しかしプリシラはこれで良かったと思った。仲の悪かったエスメラルダとタップが仲良くなってくれたからだ。プリシラはエスメラルダの事もタップの事も大好きだ。二人には仲良しでいてもらいたいのだ。
エスメラルダは人差し指で涙をぬぐってから、微笑んで言った。
「見たところケガはしていないようね?さすが私の妹だわ。回復魔法をしてあげましょう」
『ちょい待ち!プリシラは俺の契約者だぞ!俺がプリシラに回復魔法をする!』
「何よ毛玉!プウプウうるさいわね!私の邪魔をする気?!」
プリシラはげんなりしながら、またもや始まってしまった姉と契約霊獣のケンカを見上げていた。どちらでもいいから早く回復魔法をかけてほしいと心から思った。
プリシラは、棒立ちになっている山賊たちの前におどり出ると、自身の最大魔力を使って風防御魔法を使った。
プリシラが作った風の壁に、尋常じゃない圧力がかかる。これが姉と霊獣の攻撃魔法なのだ。プリシラの魔力では、おそらく三十秒、いや十五秒持たせるのが限界だろう。プリシラはうめくように山賊たちに言った。
「山賊さんたち、逃げて、ください」
山賊たちは目を大きく見開いて言った。
「おじょうちゃん。俺たちを助けてくれるのか?」
「おじょうちゃんを捕まえて売ろうとした俺たちを、」
プリシラは歯を食いしばりながら言った。
「真面目に生きるのは、とても大変です。誰もほめてくれないし。だけど、悪い人間は、問答無用で殺そうとする姉と契約霊獣もいます。だから、皆さん、どうかこれからは真面目に生きて、ください」
「おじょうちゃん、恩にきる」
山賊たちはきびすを返して逃げ出した。あの山賊たちが心を入れ替えて真面目に生きてくれるのは疑問だが、プリシラは目の前で人が死ぬのを見ずに済んだのだ。
プリシラの風防御魔法に圧力をかけていた攻撃魔法が止んだ。エスメラルダとタップが、違和感に気づいて攻撃魔法を解除したのだ。プリシラは風防御魔法を解除すると、その場に倒れこんだ。
「キャア!プリシラ、大丈夫?!」
『プリシラ!大丈夫か?!』
エスメラルダとタップがプリシラの側に駆け寄って来た。
「何で山賊なんかかばったの?!あんな奴らは死んで当然の奴らなのよ?」
エスメラルダは目に涙を浮かべながら怒って言った。
「お姉ちゃん。悪人だって生きているわ?悪人にも五分の魂って言うでしょ?」
「それを言うなら、一寸の虫にも五分の魂じゃないかしら。でもお姉ちゃんはね、悪人は虫けら以下だと思うわ?」
『俺もそう思うぜ?悪い人間はどこまで行ってもクズなんだよ』
手きびしいエスメラルダに、タップも続く。プリシラは苦笑しながら答えた。
「確かに、さっきの山賊さんたちがこれから真面目に働いてくれるかどうかはわからないわ。でも、私は思うの。どんなに悪い人間でも、気持ちが変わる時があるんだって。だからお姉ちゃん、タップ。もし悪い人間がいたとしても、できるだけ殺さないでほしいの。もしお姉ちゃんとタップの身が危険だったら自分たちの安全を最優先にして?だけど、少しでも余裕があるのならば、悪人たちにも少しだけ手ごころを加えてあげてほしいの」
プリシラを見下ろすエスメラルダは、美しい瞳から涙を流しながら言った。
「プリシラ、あんたって子は、」
『プリシラ、お前は本当にお人好しだなぁ。まぁ、そんなトコが気に入って俺は契約したんだけどよ』
エスメラルダのぼやきにタップも続く。プリシラは全身が鉛のように重く、起き上がる事ができなかった。無理もないだろう。最恐の魔女と霊獣の攻撃を受け止めたのだから。
しかしプリシラはこれで良かったと思った。仲の悪かったエスメラルダとタップが仲良くなってくれたからだ。プリシラはエスメラルダの事もタップの事も大好きだ。二人には仲良しでいてもらいたいのだ。
エスメラルダは人差し指で涙をぬぐってから、微笑んで言った。
「見たところケガはしていないようね?さすが私の妹だわ。回復魔法をしてあげましょう」
『ちょい待ち!プリシラは俺の契約者だぞ!俺がプリシラに回復魔法をする!』
「何よ毛玉!プウプウうるさいわね!私の邪魔をする気?!」
プリシラはげんなりしながら、またもや始まってしまった姉と契約霊獣のケンカを見上げていた。どちらでもいいから早く回復魔法をかけてほしいと心から思った。
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