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旅立ち
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プリシラは召喚士養成学校を無事卒業し、相棒のタップと共に新たな道を歩み出した。
『プリシラ。これからどうするんだ?』
「これから私たちはお仕事を探さなければいけないの」
『仕事?』
「そうよ?働いてお金を稼ぐの」
『おう、そうか!どこに行けば仕事ができるんだ?』
「そうね。仕事を探すには大きな街にいかなけらばいけないわ。まずは王都にいきたいの、タップ連れて行ってくれる?」
『まかしとけ!』
タップはそう言うと、ムクムク大きくなり始めた。プリシラは抱っこしていたタップを優しく地面に下ろす。タップはどんどん大きくなり、ついには牛ほどの大きさになった。プリシラは思わず歓声をあげて大きなタップに抱きついた。
「キャァ!タップすごい!」
『へへん。大きさだけじゃないぞ。俺は風魔法でどんなところでも飛んでいけるんだ。王都というところなんてひとっ飛びだぞ?』
プリシラはおっかなびっくりタップの背中に乗った。タップの背中はフワフワで、乗り心地が良かった。タップはプリシラが乗ったのを確認すると、ものすごい速度で大空に飛び立った。
プリシラは驚いてキャッと悲鳴をあげた。タップは空をかけあがり続け、プリシラはタップの背中からおっこちないように、目をつむり必死にしがみついていた。
タップがようやく並行に飛び始めたので、プリシラがようやく目を開くと、眼下には広大な森が広がっていた。森の木々は、日の光を浴びて、キラキラと宝石のように輝いていた。綺麗。プリシラは思わずつぶやいた。
『ん?何か言ったか?プリシラ』
プリシラを乗せているタップが正面を向いたまま言った。プリシラは、日を浴びて輝いて見えるタップの毛並みを優しく撫でながら答えた。
「ううん。空からの景色がとても素敵だったから」
『へへん。そうだろう!俺は偉大なる霊獣だからな!プリシラ、どんな願い事も言ってみろ。俺が叶えてやるからな?プリシラ、お前は何をしたいんだ?』
「私の、したい事?そうね、困っている誰かの役に立って、ありがとうって言ってもらいたい。かな?」
『ほう、承認欲求を満たしたいという事だな?』
「そんな身もふたもない。でも、そうかもしれない。私は、出来損ないだから、誰かの役に立って、私がこの世に生まれてきた存在価値がほしいのかもしれない」
『何だと!プリシラが出来損ないなわけないだろう!プリシラは、高貴な霊獣である俺が見込んだ人間だぞ!誰だそんな事を言った奴は!』
タップの突然の剣幕に、プリシラはポカンとしてしまった。プリシラは小さな声で、両親と答えた。それを聞いたタップはさらに怒り出した。
『プリシラの両親は、自分の娘の事を出来損ないと言ったのか?!おい、プリシラ!両親のところに案内しろ!死なない程度にぶっ殺してやる!』
霊獣であるタップと契約したプリシラには、タップの怒りの気持ちが伝わってきた。タップは心からプリシラの事を愛してくれているのだ。プリシラの胸の奥で、氷のように冷えているかたまりが、じわりと温かくなった気がした。
プリシラはポロポロと涙を流しながらタップに言った。
「タップ、ありがとう。私のために怒ってくれて。でも両親の事はもういいの」
『いいわけないだろ!プリシラ、泣いてるじゃねぇか!』
「ううん。この涙はね、タップが私の事を心から心配してくれているのが嬉しくて泣いているの。私はね、タップが味方でいてくれたら、それで充分なの」
『そんな事ならおやすいご用だ。俺はずっとプリシラの味方だからな』
「ありがとう、タップ。ずっと、ずっと一緒よ?」
プリシラは、タップのフワフワの首元に顔をうずめると、しくしくと泣き出した。タップは何も言わずに空を飛び続けてくれた。
『プリシラ。これからどうするんだ?』
「これから私たちはお仕事を探さなければいけないの」
『仕事?』
「そうよ?働いてお金を稼ぐの」
『おう、そうか!どこに行けば仕事ができるんだ?』
「そうね。仕事を探すには大きな街にいかなけらばいけないわ。まずは王都にいきたいの、タップ連れて行ってくれる?」
『まかしとけ!』
タップはそう言うと、ムクムク大きくなり始めた。プリシラは抱っこしていたタップを優しく地面に下ろす。タップはどんどん大きくなり、ついには牛ほどの大きさになった。プリシラは思わず歓声をあげて大きなタップに抱きついた。
「キャァ!タップすごい!」
『へへん。大きさだけじゃないぞ。俺は風魔法でどんなところでも飛んでいけるんだ。王都というところなんてひとっ飛びだぞ?』
プリシラはおっかなびっくりタップの背中に乗った。タップの背中はフワフワで、乗り心地が良かった。タップはプリシラが乗ったのを確認すると、ものすごい速度で大空に飛び立った。
プリシラは驚いてキャッと悲鳴をあげた。タップは空をかけあがり続け、プリシラはタップの背中からおっこちないように、目をつむり必死にしがみついていた。
タップがようやく並行に飛び始めたので、プリシラがようやく目を開くと、眼下には広大な森が広がっていた。森の木々は、日の光を浴びて、キラキラと宝石のように輝いていた。綺麗。プリシラは思わずつぶやいた。
『ん?何か言ったか?プリシラ』
プリシラを乗せているタップが正面を向いたまま言った。プリシラは、日を浴びて輝いて見えるタップの毛並みを優しく撫でながら答えた。
「ううん。空からの景色がとても素敵だったから」
『へへん。そうだろう!俺は偉大なる霊獣だからな!プリシラ、どんな願い事も言ってみろ。俺が叶えてやるからな?プリシラ、お前は何をしたいんだ?』
「私の、したい事?そうね、困っている誰かの役に立って、ありがとうって言ってもらいたい。かな?」
『ほう、承認欲求を満たしたいという事だな?』
「そんな身もふたもない。でも、そうかもしれない。私は、出来損ないだから、誰かの役に立って、私がこの世に生まれてきた存在価値がほしいのかもしれない」
『何だと!プリシラが出来損ないなわけないだろう!プリシラは、高貴な霊獣である俺が見込んだ人間だぞ!誰だそんな事を言った奴は!』
タップの突然の剣幕に、プリシラはポカンとしてしまった。プリシラは小さな声で、両親と答えた。それを聞いたタップはさらに怒り出した。
『プリシラの両親は、自分の娘の事を出来損ないと言ったのか?!おい、プリシラ!両親のところに案内しろ!死なない程度にぶっ殺してやる!』
霊獣であるタップと契約したプリシラには、タップの怒りの気持ちが伝わってきた。タップは心からプリシラの事を愛してくれているのだ。プリシラの胸の奥で、氷のように冷えているかたまりが、じわりと温かくなった気がした。
プリシラはポロポロと涙を流しながらタップに言った。
「タップ、ありがとう。私のために怒ってくれて。でも両親の事はもういいの」
『いいわけないだろ!プリシラ、泣いてるじゃねぇか!』
「ううん。この涙はね、タップが私の事を心から心配してくれているのが嬉しくて泣いているの。私はね、タップが味方でいてくれたら、それで充分なの」
『そんな事ならおやすいご用だ。俺はずっとプリシラの味方だからな』
「ありがとう、タップ。ずっと、ずっと一緒よ?」
プリシラは、タップのフワフワの首元に顔をうずめると、しくしくと泣き出した。タップは何も言わずに空を飛び続けてくれた。
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