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日菜子
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日菜子は頬が緩みそうになるのを必死でこらえた。にやついていたら、クラスの友達に不審がられるだろう。
日菜子はうら若き女子大生だ。最近始めたバイト先のカフェに、イケメンのバイトが入ったのだ。名前は潮山響。名前からしてカッコいい。彼は長身のハンサムで、何より優しかった。日菜子が重い荷物を運ぼうとしていると、すぐに響が駆けつけて代わりに持ってくれるのだ。
同じバイトの舞香がすぐさま探りを入れた。響に彼女がいるのかと。日菜子が聞き耳を立てていると、響は照れたように笑って答えた。同棲している彼女がいると。
舞香はその言葉にガックリしていたようだが、日菜子はがぜんやる気が出た。日菜子は自身が美人だという事を充分理解していたからだ。彼女がいるなら、彼女から響を奪ってしまえばいい。日菜子はにやりとほくそえんだ。
日菜子にはつい最近まで彼氏がいた。同じサークルの男だ。だがこの間フッてやった。なんと元彼は浮気をしていたのだ。これにはプライドの高い日菜子は頭にきた。すぐさま元彼の頬を引っ叩いて引導を渡してやった。
日菜子は自分を一番にしてくれる男しか必要ではなかった。日菜子は男に愛してもらいたい訳ではなかった。男から崇拝される女でいたかったのだ。
それでいうと響はおあつらえ向きだ。他の女に目が行っている男を自分に釘つげにするのだ。相手がどんな女かは知らないが、きっと日菜子の敵ではないだろう。日菜子は響がバイトに入って来てから猛アタックをした。
「ねぇ、響くんて休日何してるの?」
「うぅん。彼女がインドアだから家でDVD観てるかな?」
「えぇ。それってつまんなくないですかぁ?今度一緒に遊びに行きましょうよぉ」
日菜子の最大限あざと可愛く見える上目遣いにも、響には苦笑一つですまされてしまった。
敵は中々手強かった。そんなある日捨ておけない情報が入った。バイトの舞香が響の彼女を目撃したというのだ。
「ちょっと、日菜子!すごいのよ!響くんの彼女!なんと外国人、しかもメチャクチャ美人なの!」
舞香の話しでは、響がバイトを終えた時に店に来ていたというのだ。彼女は舞香たちにあいさつをして、仲睦まじそうに帰って行ったという。
日菜子はギリギリと歯ぎしりした。何としても自分の目で品定めをしなければ。日菜子は機会をうかがっていた。ある日格好の場面に遭遇した。日菜子がバイト先に向かっていると、響と彼女がバイト先に二人でやって来たのだ。日菜子は道の角から顔を出して二人をうかがった。
日菜子は口をあんぐりと開けた。響の彼女がこの世のものとは思えないくらいの美人だったからだ。絹のようなブロンドの髪、白磁のような肌、魅惑的な紫の瞳。
まるで作られた芸術品のようだった。これはきっと整形だろう。日菜子は舌打ちをした。もっと近くで彼女を見ようとして、ある事に気がついた。響と彼女が街灯の下を通った。響の影はあるのに、彼女の影がないのだ。日菜子は目をこすってもう一度見るが、二人はすでに街灯の下を通り過ぎてしまった。
目の錯覚だったのだろうか。日菜子は首をかしげながら後をついていくと、決定的な瞬間を目の当たりにしてしまった。
響がバイト先のカフェに到着し、彼女と別れる時、カフェのガラスに響の姿は映るのに、彼女の姿は映らなかったのだ。
にわかに信じがたいが、響の彼女は人間ではなかった。
日菜子はうら若き女子大生だ。最近始めたバイト先のカフェに、イケメンのバイトが入ったのだ。名前は潮山響。名前からしてカッコいい。彼は長身のハンサムで、何より優しかった。日菜子が重い荷物を運ぼうとしていると、すぐに響が駆けつけて代わりに持ってくれるのだ。
同じバイトの舞香がすぐさま探りを入れた。響に彼女がいるのかと。日菜子が聞き耳を立てていると、響は照れたように笑って答えた。同棲している彼女がいると。
舞香はその言葉にガックリしていたようだが、日菜子はがぜんやる気が出た。日菜子は自身が美人だという事を充分理解していたからだ。彼女がいるなら、彼女から響を奪ってしまえばいい。日菜子はにやりとほくそえんだ。
日菜子にはつい最近まで彼氏がいた。同じサークルの男だ。だがこの間フッてやった。なんと元彼は浮気をしていたのだ。これにはプライドの高い日菜子は頭にきた。すぐさま元彼の頬を引っ叩いて引導を渡してやった。
日菜子は自分を一番にしてくれる男しか必要ではなかった。日菜子は男に愛してもらいたい訳ではなかった。男から崇拝される女でいたかったのだ。
それでいうと響はおあつらえ向きだ。他の女に目が行っている男を自分に釘つげにするのだ。相手がどんな女かは知らないが、きっと日菜子の敵ではないだろう。日菜子は響がバイトに入って来てから猛アタックをした。
「ねぇ、響くんて休日何してるの?」
「うぅん。彼女がインドアだから家でDVD観てるかな?」
「えぇ。それってつまんなくないですかぁ?今度一緒に遊びに行きましょうよぉ」
日菜子の最大限あざと可愛く見える上目遣いにも、響には苦笑一つですまされてしまった。
敵は中々手強かった。そんなある日捨ておけない情報が入った。バイトの舞香が響の彼女を目撃したというのだ。
「ちょっと、日菜子!すごいのよ!響くんの彼女!なんと外国人、しかもメチャクチャ美人なの!」
舞香の話しでは、響がバイトを終えた時に店に来ていたというのだ。彼女は舞香たちにあいさつをして、仲睦まじそうに帰って行ったという。
日菜子はギリギリと歯ぎしりした。何としても自分の目で品定めをしなければ。日菜子は機会をうかがっていた。ある日格好の場面に遭遇した。日菜子がバイト先に向かっていると、響と彼女がバイト先に二人でやって来たのだ。日菜子は道の角から顔を出して二人をうかがった。
日菜子は口をあんぐりと開けた。響の彼女がこの世のものとは思えないくらいの美人だったからだ。絹のようなブロンドの髪、白磁のような肌、魅惑的な紫の瞳。
まるで作られた芸術品のようだった。これはきっと整形だろう。日菜子は舌打ちをした。もっと近くで彼女を見ようとして、ある事に気がついた。響と彼女が街灯の下を通った。響の影はあるのに、彼女の影がないのだ。日菜子は目をこすってもう一度見るが、二人はすでに街灯の下を通り過ぎてしまった。
目の錯覚だったのだろうか。日菜子は首をかしげながら後をついていくと、決定的な瞬間を目の当たりにしてしまった。
響がバイト先のカフェに到着し、彼女と別れる時、カフェのガラスに響の姿は映るのに、彼女の姿は映らなかったのだ。
にわかに信じがたいが、響の彼女は人間ではなかった。
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