殺人鬼から逃げ切ったら超能力が目覚めた件〜ファイナルガールズの逆襲

対決

　エイミーの言葉通り、それまで全く開く事のなかったカールのアパートのドアが開き、死人のようにやつれたカールが出てきた。

　カールはフラフラと歩きながら、夜の街に向かっている。レイチェルとエイミーとキティは、すかさず車から降りた。運転席のアレックスがレイチェルに指示する。

「レイチェル。ライオン男が現れたら連絡して」
「ええ、わかったわ」

　アレックスはショットガンと拳銃二丁を手渡した。レイチェルは慣れた手つきで銃を受け取り、エイミーとキティに手渡した。二人とも心得たようにズボンの後ろに銃をはさみこんだ。

　カールに追いつくのは容易だった。カールはまるで酔っ払いのようにフラフラと歩道を歩いていた。

　レイチェルたちは息を殺してカールの後をつけた。カールには目的地がとくに決まっていないようで、右に曲がる道があらわれれば右に曲がり、行き止まりになれば引き返すを繰り返していた。

　レイチェルたちが、そろそろカールを保護して帰ろうかと相談している矢先、変化が起きた。カールの後をつける者が現れたのだ。

　その者はとても大きく、そのくせ静かにカールを目指して歩いている。レイチェルの後ろを歩くエイミーが、ヒッと声をあげた。レイチェルとキティが驚いて振り向くと、エイミーは真っ青な顔で言った。

「あの曲がり角を曲がったら、カールさんは殺される。ライオン男に、」

　エイミーが言葉を言い終わらないうちに、レイチェルは自身に念動力をかけて、空高く飛び上がった。

　カールは嫌な人間だった。ライオン男の恐怖から助けにきたレイチェルたちをグスとののしったのだ。

　だからといって、これから殺されるのを見て見ぬふりはできない。レイチェルが上空から地上を見下ろすと、カールが尻もちをついていた。その前には憎きライオン男。

　カールは尻もちをつきながらも拳銃を構えていた。レイチェルはヒュウと口笛を吹いた。カールを少し見直したからだ。

　レイチェルはカールを守るように着地すると、ライオン男に向かって、ありったけの念動力を発動した。

　ライオン男の斧を振り下ろす力はとても強かった。だが負けてしまえばレイチェルが真っ二つになってしまう。

　エイミーがカールを保護してくれたのを見届けると、先ほど地面に放り投げたショットガンに念動力をかけた。

　レイチェルはライオン男への念動力はゆるめず、ショットガンを空中に浮かせて念動力で引き金を引いた。

　ライオン男はレイチェルの目の前から吹っ飛んだ。