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いさかい

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「何だお前ら!不満そうだな!どうせキャシーじゃなくて俺が死ねばよかったと思っているんだろう!?」
 
 メアリはギッとカールをにらんで噛みつくように言った。

「ええ、その通りよ。キャシーじゃなくてアンタが死ねばよかった。カール、私はアンタが大嫌い。根暗でひがみっぽくって、自分の運が悪いのはすべて他人のせいだと思ってる。だけどね、キャシーがアンタを好きだって言うから、だから、今回だってアンタの気分を変えさせるためにロッジ行きを提案したの!アンタのためじゃない!キャシーのためよ!キャシーはね、とっても素敵な女の子だけど、唯一男の趣味が悪かったわ!何で、何で、キャシーが死ななきゃいけないの、何で、何でよぉ」

 メアリはそこまで言うとくずおれるようにしゃがみこんで、小さな子供のように泣きじゃくった。マッドが心配そうに彼女を抱きしめる。

「私と、キャシーはハイスクールの頃からの親友なのよ。私に群がってくる奴らは、私のパパの財力にあやかろうとするクズばかりだったわ。だけどキャシーだけは違った。キャシーは私を金持ちの家の娘じゃなくって、私として見てくれたの。キャシーみたいな心の綺麗な女の子どこにもいないわ。キャシーは私の描いた絵を褒めてくれたわ。とてもあたたかい、いい絵だねって。私は絵を描く事が好きだった。だけど上手いわけじゃない。絵で食べていくなんてできるわけがない。パパも、絵はお遊び程度にして、自分の仕事を手伝えと言っていたわ。だけど、キャシーは私に絵を描いてとよくせがんだわ。キャシーが誕生日の時、私は高価なプレゼントを贈ろうと考えたわ。キャシーにずっと友達でいてほしかったから、だけどキャシーが欲しいと言ったものは、私の描いた絵だった。私か描いたつたないお花の絵」

 メアリはカールに話すというよりも、一人事のように話し続けていた。まるでもうこの世にはいないキャシーに語りかけるように。

 花の絵はキャシーの家でカールも見た事がある。カールが下手くそな絵だとバカにしたら、珍しくキャシーが怒ったのだ。この絵は、メアリが私のためだけに描いてくれたこの世にたった一枚の絵なのよ、と。

 メアリは本当にキャシーの事を大切な親友だと思っていたのだ。カールは罪悪感にさいなまれ、無言でその場にたたずんでいた。

 突然ガサリと草音がした。カールたちはギクリと身体をこわばらせた。ライオンマスクの男がやってきたのかもしれない。

 そうだ、カールたちは何故少女たちの言葉をまに受けて、この場で待機していたのだろう。このようなおかしな状況から早く脱出するために、少しでも遠くに逃げるべきだった。

 

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