殺人鬼から逃げ切ったら超能力が目覚めた件〜ファイナルガールズの逆襲

盛平

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救助

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 カールが死の恐怖に震えてから、しばらくが経った。だがいくら待ってもカールは死なない。カールはブルブル震えながら後ろを振り向くと、そこには誰かがいた。

 カールを守るように立ちはだかる人物の後ろ姿は、一目で女性とわかった。長いブロンドの髪、細く引き締まった腰、女性らしい丸みをおびた臀部から、長いスラリとした足が伸びている。

 突然現れた女は、カールとライオンマスクの男の間に立って、両手を前に突き出していた。

 おかしな事に、ライオンマスクの男は斧を振り上げたまま動かなくなっていた。まるで目の前の女が見えない手で、ライオンマスクの男の動きを止めているようだった。

 カールがうつ伏せに倒れたままぼう然としていると、誰かに助け起こされた。

「大丈夫ですか?」

 カールが相手を見ると、短い銀髪の少女だった。大きな茶色い瞳の美しい少女。耳には痛々しいほどのピアスをあけていて、見た目はパンクなのに、ものいいや立ち振る舞いは育ちのよいお嬢さんのようだった。

 銀髪の少女は、女性とは思えない力でカールを引っ張り立たせてから言った。

「先に二人のお友達がいます。後は、貴方だけですか?」

 カールの脳裏にキャシーの笑顔が浮かぶ。カールが無意識に顔をゆがませると、銀髪少女はハッとした表情になり、悲しげに目をふせた。まるで仲間はもう一人いて、キャシーはもう死んでいるのだと気づいているようにも見えた。

 銀髪少女は厳しい表情になって言った。

「さぁ、貴方もお友達のところに」

 カールはうなずいて歩こうとしたが、ふらふらとしてうまく歩けなかった。銀髪少女はカールの現状を理解したのか、小柄な身体でカールに肩を貸し、一緒に歩いてくれた。

 しばらくすると森の中で、マッドとメアリの姿があった。マッドたちのかたわらに小さな子供がいた。黒髪の女の子だ。黒髪の女の子はカールを見るとしたったらずな声でカールに言った。

「けがはしていない?」

 カールが声を出せずに首を振ると、黒髪の女の子は小さくうなずいてから、銀髪少女と一緒にどこかにいってしまった。

 しばらく沈黙が続いたのち、メアリが震える声で言った。

「ねぇ、本当なの?キャシー、死んじゃったの?」

 マッドは答えない。カールは突然激しい怒りにかられて叫んだ。

「ああ、死んじまったよ!背中から斧で斬られたんだ。もう生きてるわけねぇよ!残念だったな、メアリ!自分を引き立たせる取り巻きが死んじまってさ!」

 カールは怒りのあまり、それまで腹の底にしまっていたわだかまりが吹き出した。それまでシクシクと泣いていたメアリの目に憤怒の色が浮かんだ。

「カール、その言葉もう一度言ってみなさいよ。アンタの鼻の骨を折ってやるから」

 マッドはメアリの肩を抱きながら、カールから彼女を引き離した。カールはやり場のない怒りと悲しみで叫び続けた。
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