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誓い

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 レイチェルは自分の下にいる愛しい存在にくすりと笑みをもらしてから言葉を続けた。

「エイミー、お願いがあるの。もし、私がバケモノになって、どうしても元に戻らなかったら、私を殺して?」

 それまで大人しくしていたエイミーが、ガバリと勢いよく起きた。レイチェルは驚いてエイミーからどくと、エイミーは茶色の瞳をギラギラさせて怒っていた。

「そんな願い、絶対に聞かない」
「私はエイミーたちを傷つけたくないの」

 冷静な今ならわかる。アレックスはレイチェルに銃を渡さなかったのは、レイチェルを撃とうとしていたからなのだ。

 アレックスはレイチェルがバケモノになりかけている事に気づいて、レイチェルがバケモノになりきらないうちに殺そうとしていたのだ。

 アレックスの決断を非難する気持ちはこれっぽっちもない。アレックスはレイチェルたちのリーダーだ。アレックスの判断は正しかった。

 レイチェルは少し気弱な声で言った。

「エイミー。私、ニワトリ男たちみたいなバケモノになんかなりたくない。それよりももっともっと嫌なのは、大切なエイミーたちを殺してしまう事。エイミーたちを殺してしまうくらいなら、私は死んだ方がましなの」
「勝手な事いわないでよ!」

 エイミーはレイチェルの両手首をギュッとつかんで、鋭い瞳でレイチェルの目を見つめた。

「レイチェルは絶対にバケモノになんかならない。もしバケモノになりそうでも、私が絶対に人間に戻してみせる。だから二度とバカな事は言わないで」
「・・・。エイミー」
「レイチェル、返事は?」
「・・・。うん、約束する」

 レイチェルは自分がいつの間にか震えている事に気づいた。レイチェルはとても怖かったのだ。自分が自分でない何かになってしまいそうだった事が。

 レイチェルの一番大切な存在であるエイミーたちを殺してしまうかもしれないと気づいた事が。

 レイチェルは怖くて怖くてしかたなかった。だから死ぬ事に逃げようとした。エイミーに、きっと殺してあげると約束してほしかったのだ。

 だがエイミーの答えは違った。レイチェルを必ず人間に引き戻してくれるというのだ。レイチェルはいつしかポロポロと涙を流していた。

 エイミーはゆっくりとレイチェルの手首から手を離すと、レイチェルをしっかり抱きしめた。

 レイチェルはおずおずとエイミーの背中に手を回して泣き続けた。

 
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