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レイチェルとエイミー3

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 リンダのダンスルーム建設は、激怒した校長によって阻止された。リンダとしては面白くないだろう。リンダの怒り矛先が向かうのは。

 レイチェルは常にエイミーを気にかけていた。だが一人では到底警護できない。そのためクラスの友人たちに、エイミーがリンダたちと話していたら、教えてほしいと頼んでいた。

 レイチェルが帰り支度をしていると、クラスメイトの一人が教室に駆け込んで来た。何でもエイミーが校舎裏で、リンダと仲間たちに取り囲まれているという。

 レイチェルは顔をこわばらせてうなずいた。レイチェルが校舎裏に行ってみると、エイミーがリンダたちに囲まれていた。

 リンダはエイミーを傷つけるような言葉を投げかけていた。レイチェルは怒りで叫び出しそうになるのを必死でこらえて口を開いた。

「あら私も親がいないわ。だから何だっていうのよ。親がいない分、それだけ自分で努力すればいいじゃない」

 レイチェルの声に気づいて振り向いたエイミーの目は今にも泣き出しそうなほど真っ赤だった。レイチェルは怒りを押し込めながら、エイミーの前に立った。

 リンダはみにくい顔でレイチェルをにらんでいる、きっと怒り心頭なのだろう。だがレイチェルだって怒っている。

 リンダは自分のイライラをエイミーにぶつけて、エイミーを傷つけようとしているのだ。

 人を傷つけて喜ぶなど人間として最低の行為だ。レイチェルはリンダをひとにらみしてからエイミーをうながした。早くこの場からエイミーを連れ出さなけれれば。

 エイミーの顔を見ると、もう泣き出す寸前だ。レイチェルは厳しい声で言った。

「エイミー、泣かない」

 エイミーはグッと下唇を噛んで泣くのを耐えていた。それでいい、この場で泣いてはリンダを喜ばせるだけだ。

 レイチェルは寮の近くになると、エイミーの手を引っ張って、寮の裏手に連れて行った。

「エイミー、よくがんばったね。もう泣いていいよ」

 エイミーは大きな茶色の瞳をさらに大きくしてレイチェルを見上げた。瞳には宝石のような涙がたまると、柔らかな頬をつたっていった。

 エイミーの泣き顔は、ハッとするほど美しかった。レイチェルはエイミーの事が可愛くて可哀想で思わず強く抱きしめた。

 エイミーの泣き声は次第に大きくなった。きっとずっと溜め込んでいたのだろう。最愛の祖父母を失った悲しみ。寮暮らしの孤独。すきあらばエイミーに嫌がらせをしようとするリンダたち。

 レイチェルはエイミーが泣き止むまでしっかりと抱きしめていた。レイチェルはエイミーを悪きリンダたちから救い出せた満足感の他に、これでエイミーはレイチェルに好意を抱いてくれるだろうという打算もたしかにあった。

 
 
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