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エイミーの特訓5

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 アレックスは後ろ手にしばられたまま、微動だにしないで立ち、ボロボロのエイミーに言った。

「エイミー。貴女は私の攻撃をすべて予知してる。だけどどうして私に勝てないかわかる?」
「はい。私の行動よりも、アレックスの動きが速いからです。私はアレックスの未来の行動が視えても、対応できません」
「そうね。では、どうしたら私に勝てると思う?」
「それは、アレックスの行動をかくらんします!」

 エイミーはそう言うと、それまでのふらふらの状態から素早く走ってアレックスに近づいた。

 ポケットから石を取り出すとアレックスの顔に向かって投げた。きっと、地面に倒れた時に拾っていたのだろう。

 反射神経のいいアレックスは、本能的に石をよけた。エイミーはすかさずアレックスの足にかじりつこうとする。アレックスを引き倒そうとしているのだ。

 アレックスはエイミーの行動を、華麗なバックステップでよけ、ちょうど膝のあたりにきていたエイミーの頭を思いっきりけった。

 エイミーは横に吹っ飛んで倒れ、動かなくなった。

「キャアッ!エイミー!」

 レイチェルはうずくまったまま動かないエイミーを抱き起こした。エイミーの顔は、何度もけられた事により、パンパンに腫れていた。レイチェルはたまらずアレックスをにらんだ。

「アレックス!いくらなんでもひどすぎよ!エイミーは特訓一日目なのよ?!」

 アレックスはナイフを取り出して、手に巻きついたひもを切ってレイチェルたちに近づいて来た。

「レイチェル。どうしてエイミーが強くなる事を焦っているかわかる?」
「・・・。わからないわ。私、こんな姿のエイミー耐えられない」
「エイミーがね、がむしゃらに強くなりたいと願うのは、レイチェル。貴女のためなのよ?」
「私の?、」
「ええ。エイミーはレイチェルを助けるために命をかけたのよ?そしてエイミーは再び生き返った。エイミーにはね、もうレイチェルしかいないの。エイミーはレイチェルのためにがむしゃらに強くなろうとしているのよ?エイミーの気持ちをくんであげて」
「・・・」

 アレックスの言葉に、レイチェルは返事を返す事ができずに黙っていた。

 アレックスはそんなレイチェルを無視してキティを呼んだ。エイミーの傷の手当てをしてもらうためだ。

「わぁ、肋骨骨折に、頬の骨も折れてる。エイミー、こんな状態でアレックスと戦っていたんだね。すごいねぇ、アドレナリンって!」

 キティは関心したように言いながら、テキパキとエイミーに治癒を施してくれた。

 エイミーの治療が完了した頃、アレックスがエイミーを抱き上げようとしたが、レイチェルはそれを無言で制してエイミーを抱き上げた。

 

 

 
 

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