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エイミーの気持ち4
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エイミーは黙々とレイチェルのとなりを歩いた。レイチェルもエイミーと同じ学生寮に帰るのだから、行き先は同じなはずだ。この沈黙が気まずくて、エイミーはレイチェルに声をかけて別な方向を行こうとした。
エイミーが声をかけようとした途端、レイチェルは厳しい顔でエイミーを見つめてから、おもむろにエイミーの手をつかんでぐいぐい引っ張って行った。
どうやらレイチェルには行き先があって、エイミーを連れて行こうとしているようだ。もしかしたらエイミーはレイチェルを怒らせてしまったのかもしれない。
うじうじして何も言い返せないエイミーは、正義感の強いレイチェルからしたらイライラさせてしまうのかもしれない。
エイミーはまた別な意味で涙が出そうになった。レイチェルはエイミーを学校の裏に連れて来た。ここは生徒も教師もあまり通らない場所だ。
エイミーが不安な気持ちで下を向いていると、レイチェルはエイミーの肩に優しく手を置いて言った。
「よくがんばったね、エイミー。もう、泣いてもいいよ?」
エイミーが驚いて顔をあげると、レイチェルは優しげな笑顔で微笑んでいた。レイチェルの優しさに、エイミーは緊張の糸が切れたように、瞳からボロボロと涙がこぼれた。
それまで我慢していてためか、エイミーの涙は中々止まらなかった。レイチェルはエイミーを優しく抱きしめ頭を撫でてくれた。
ようやくエイミーの涙が止まった頃、エイミーは恥ずかしくなって、鼻をすすりながらレイチェルに聞いた。
「レイチェルは、何で私なんかに優しくしてくれるの?」
「何でって、私がエイミーと仲良くなりたいからよ」
「えっ?!人気者のレイチェルが、私みたいなウジウジした奴と友達になりたいの?!」
エイミーは驚きのあまり大声をあげた。レイチェルは顔をしかめて言った。
「エイミー。何よ、さっきから。私なんかとか、ウジウジした奴とか。エイミーはね、声を出せない命にも優しくできる、すごくいい子なんだからね」
「私が、優しい、いい子?そんな事ない。だって、リンダは私の事イライラするって。リンダだけじゃないわ。パパもママも、私の事見てると頭にくるって、」
「リンダはバカだからほうっておけばいいのよ。両親と馬が合わない人間なんて、この世にごまんといるわよ。そんな両親、エイミーの方から捨ててやりなさい。それよりも、エイミーのおじいさんとおばあさんは、何て言ってたの?エイミーの事」
「おじいちゃんとおばあちゃんは私の事、優しいとってもいい子だっていつもいってくれてた」
エイミーの言葉に、レイチェルはさも勝ち誇ったように言った。
「ほらみなさい。エイミーのおじいさんとおばあさんが正しい。エイミー、貴女を悪く言う人間なんかの言葉に耳を貸さないで。エイミーの事を愛している人の言葉に耳をかたむけなさい」
「私を好きな人?」
「ええ、私だってそう。エイミーはいつも学校の花壇の世話をしてるわね。水をやったりお花に声をかけたりしてる。お花に、今日もとっても綺麗ねって。エイミーが世話をしてくれるお花はとっても綺麗に咲いているわ。私はねぇ、心の綺麗な優しいエイミーと友達になりたいの。ねぇ、エイミー。私と友達になってくれる?」
「・・・。私なんかが?レイチェルの、友達?」
「なんか、じゃない!エイミーだから私は友達になりたいの!」
レイチェルの言葉に、エイミーは胸の奥がカァッと熱くなった。エイミーがはにかみながらうなずくと、レイチェルはお日さまみたいな笑顔で笑ってくれた。
エイミーが声をかけようとした途端、レイチェルは厳しい顔でエイミーを見つめてから、おもむろにエイミーの手をつかんでぐいぐい引っ張って行った。
どうやらレイチェルには行き先があって、エイミーを連れて行こうとしているようだ。もしかしたらエイミーはレイチェルを怒らせてしまったのかもしれない。
うじうじして何も言い返せないエイミーは、正義感の強いレイチェルからしたらイライラさせてしまうのかもしれない。
エイミーはまた別な意味で涙が出そうになった。レイチェルはエイミーを学校の裏に連れて来た。ここは生徒も教師もあまり通らない場所だ。
エイミーが不安な気持ちで下を向いていると、レイチェルはエイミーの肩に優しく手を置いて言った。
「よくがんばったね、エイミー。もう、泣いてもいいよ?」
エイミーが驚いて顔をあげると、レイチェルは優しげな笑顔で微笑んでいた。レイチェルの優しさに、エイミーは緊張の糸が切れたように、瞳からボロボロと涙がこぼれた。
それまで我慢していてためか、エイミーの涙は中々止まらなかった。レイチェルはエイミーを優しく抱きしめ頭を撫でてくれた。
ようやくエイミーの涙が止まった頃、エイミーは恥ずかしくなって、鼻をすすりながらレイチェルに聞いた。
「レイチェルは、何で私なんかに優しくしてくれるの?」
「何でって、私がエイミーと仲良くなりたいからよ」
「えっ?!人気者のレイチェルが、私みたいなウジウジした奴と友達になりたいの?!」
エイミーは驚きのあまり大声をあげた。レイチェルは顔をしかめて言った。
「エイミー。何よ、さっきから。私なんかとか、ウジウジした奴とか。エイミーはね、声を出せない命にも優しくできる、すごくいい子なんだからね」
「私が、優しい、いい子?そんな事ない。だって、リンダは私の事イライラするって。リンダだけじゃないわ。パパもママも、私の事見てると頭にくるって、」
「リンダはバカだからほうっておけばいいのよ。両親と馬が合わない人間なんて、この世にごまんといるわよ。そんな両親、エイミーの方から捨ててやりなさい。それよりも、エイミーのおじいさんとおばあさんは、何て言ってたの?エイミーの事」
「おじいちゃんとおばあちゃんは私の事、優しいとってもいい子だっていつもいってくれてた」
エイミーの言葉に、レイチェルはさも勝ち誇ったように言った。
「ほらみなさい。エイミーのおじいさんとおばあさんが正しい。エイミー、貴女を悪く言う人間なんかの言葉に耳を貸さないで。エイミーの事を愛している人の言葉に耳をかたむけなさい」
「私を好きな人?」
「ええ、私だってそう。エイミーはいつも学校の花壇の世話をしてるわね。水をやったりお花に声をかけたりしてる。お花に、今日もとっても綺麗ねって。エイミーが世話をしてくれるお花はとっても綺麗に咲いているわ。私はねぇ、心の綺麗な優しいエイミーと友達になりたいの。ねぇ、エイミー。私と友達になってくれる?」
「・・・。私なんかが?レイチェルの、友達?」
「なんか、じゃない!エイミーだから私は友達になりたいの!」
レイチェルの言葉に、エイミーは胸の奥がカァッと熱くなった。エイミーがはにかみながらうなずくと、レイチェルはお日さまみたいな笑顔で笑ってくれた。
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