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エイミーの気持ち2

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 エイミーとレイチェルは同じクラスだった。エイミーのクラスには目立つ女生徒が二人いた。一人は美人で頭のいいレイチェル。

 もう一人は、美人でお金持ちのリンダ。リンダはたくさんの取り巻きを周りにはべらせ女王のように振る舞っていた。

 リンダは目立つレイチェルを自身の配下につけようと、しきりに話しかけているが、レイチェルがリンダと仲良くなる事はなかった。

 リンダは自身のグループを拡大するのと同時に、目ざわりな人間をいじめる事も積極的にしていた。

 いじめられる人間。エイミーのような何の取りえもない、弱い人間の事だ。エイミーはリンダのいじめのターゲットにならないよう、必死に気配を消して暮らしていた。

 ある時リンダがクラスのホームルームで提案したのだ。

「私のパパに相談したらね、この学校に大きなダンスルームを寄付してくれるっていうの。建てる場所はね、グランドのはしに生えている大きなイチョウの木を切り倒した場所がいいと思うの。皆、賛成してくれる?」

 クラスの生徒たちは口々にリンダの提案に賛同した。リンダが切り倒そうとしているのは、見事な大イチョウの木だ。エイミーはこの学校に入学してきて、イチョウの木が黄金色に輝く日をひそかに楽しみにしていた。

 エイミーはたまらなくなり、手をあげて席を立った。

「あ、あの。イチョウの木を切るのは、可哀想だよ」

 教室の黒板の前に立っていたリンダはギロリとエイミーをにらんだ。これまでリンダに目をつけられないように必死で過ごしてきたのに。これからはリンダに目をつけられてしまうのは確実だ。

「キャハハ、可哀想ですって?バカじゃないの。木に感情があるわけないじゃない」

 リンダはエイミーを小馬鹿にするようにあざけった。エイミーがそのまま棒立ちになって固まっていると、レイチェルがスッと立って言った。

「私も反対。あんなに見事な大イチョウを切り倒すなんて、許せないわ」

 それまでエイミーを批判的ににらんでいたクラスメイトたちが、一気に視線をレイチェルに向けた。クラスの人気者であるレイチェルがリンダに反対意見を言ったのだ。

「ついでに言うと、バカはリンダの方よ。植物にだって感情はあるわ。枝を切られそうになったら恐怖を感じるし、切られた悲しいと感じるの。綺麗ねって言われたら美しく花を咲かせるわ。それにあの大イチョウはこの学校の創立記念の記念樹よ。校長の許可なんておりるわけがない」

 レイチェルは言うだけで言って席についた。クラスはしんと静まり返った。

 結果的にレイチェルの読みが当たり、リンダの提案は激怒した校長により却下された。

 事はそれだけで済めばよかったのだが、恥をかかされたリンダの怒りのほこ先は、エイミーに向かった。

 レイチェルもリンダの怒りを買ったのだが、彼女はクラスの人気者だったので、表立ってリンダはレイチェルを攻撃できないようだった。

 エイミーはリンダとその取り巻きに執拗にいじめられるようになった。

 エイミーが廊下を歩いていれば足を引っかけて転ばされ、私物を隠された。エイミーは傷ついている事がばれないように無表情をきめこんだ。

 エイミーが嘆き悲しめば、相手は喜んでさらにエスカレートするからだ。

 
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