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メディーナ魔法学校長
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イエーリははらわたが煮えくりかえるような怒りを感じていた。せっかく魔力の強い魔法使いを操り人形にして、シュロム国中の金持ちの屋敷を襲い、金品を強奪していたのに、思わぬ横やりが入ったのだ。
赤髪のセミル。レムーリア国で名の知れた大悪党だ。イエーリはセミルのせいでレムーリア国を追われるはめになってしまった。殺しても飽き足らない憎むべき相手だ。
セミルは魔法使いと召喚士の弟子を引き連れて、屋敷の人間と騎士団を守っていた。イエーリがセミルの事が気に食わないのは、偽善的行為をこれみよがしに行う事も多分にある。
セミルはレムーリア国の貴族や金持ちの屋敷の財宝を盗んでいた。だがセミルは殺しは決してしなかった。屋敷の人間、護衛の用心棒、皆動けないようにして金品を奪った。しかも狙われる金持ちは悪いウワサの絶えない者たちばかりなので、義賊と呼ばれる事もあった。
もう一つ気に食わないのが、貴族の女たちがセミルにのぼせ上がっていた事だ。セミルが盗みに入ると、屋敷の女たちはセミルを一目見たいとキャーキャー騒いでいた。魔法使いの外見なんて魔法でいくらでも変えられる。セミルは派手な赤い髪に美男子の顔をしていた。どうせ本当の顔ではないだろうに。
イエーリがブツブツ言っていると、部屋のドアがノックもそこそこに開いた。
「ボス、失礼します」
イエーリが不機嫌に顔をあげると、部下のバンスだった。イエーリは厳しい声で言った。
「バンス!ボスと呼ぶな。学校では校長と呼べと何度も言っているだろう!」
バンスは心のこもらない声ですみませんと言った。バンスは潜在魔力の強さと残忍な性格を見込んで仲間に引き入れたが、頭が悪かった。バンスは表向きにメディーナ魔法学校の教師の職を与えているが、気に食わない男子生徒はぶんなぐり、気に入った女子生徒は手を出そうとする無能ぶりだった。
バンスが教師ではなく魔法使いのゴロツキである事が露見する前に、始末してしまった方がいいのではないかと近頃は思っている。
イエーリはメディーナ魔法学校の校長だった。だが最初から校長だったわけではない。メディーナ魔法学校の校長を殺して、校長になり代わったのだ。表向きは魔法学校の校長だが、裏では操り人形に出来そうな学生を物色していたのだ。
今回は十七人も人形を失ってしまっている。早く補充をしなければいけない。イエーリはバンスを呼び出した理由を思い出して言った。
「それで、校内を見学しているユーリとグリフィンの素性はわかったのか?」
「いいえ、それがさっぱり。ですがユーリもグリフィンもとても強い魔法使いと召喚士です。薬を飲ませて操り人形にしちまいましょうよ?」
「ならん!奴らは俺たちのやっている事に勘づいて送り込まれたスパイかもしれないのだぞ?体よく追い返さらければいけない」
ユーリが持っていたシュロム国第一王子の書状は本物だった。もしかすると国王にもイエーリの悪事がバレているのかもしれない。イエーリが内心やきもきしていると、何の緊張感もないバンスがのん気に言った。
「そういえばこの間戦った生意気な召喚士、グリフィンに似ていたなぁ」
「な、何!?それは本当か?!」
「?、はい。グリフィンに似た小僧が、白猫の霊獣を連れていたんで」
イエーリはそこでがく然とした。憎っくき赤髪のセミルが連れていた若い弟子、あの小僧は髪と瞳の色は違っていたがユーリとそっくりだった。
イエーリの悪事に気づいたのはセミルだったのだ。学校での生徒の誘拐を調べるために自分の弟子を送り込んできたのだ。
イエーリは低く笑った。おそらくイエーリたちが再び金持ちの屋敷を襲えば、セミルたちがやって来るだろう。その時にセミル共々皆殺しにしてやればいい。イエーリはニヤリと笑った。
赤髪のセミル。レムーリア国で名の知れた大悪党だ。イエーリはセミルのせいでレムーリア国を追われるはめになってしまった。殺しても飽き足らない憎むべき相手だ。
セミルは魔法使いと召喚士の弟子を引き連れて、屋敷の人間と騎士団を守っていた。イエーリがセミルの事が気に食わないのは、偽善的行為をこれみよがしに行う事も多分にある。
セミルはレムーリア国の貴族や金持ちの屋敷の財宝を盗んでいた。だがセミルは殺しは決してしなかった。屋敷の人間、護衛の用心棒、皆動けないようにして金品を奪った。しかも狙われる金持ちは悪いウワサの絶えない者たちばかりなので、義賊と呼ばれる事もあった。
もう一つ気に食わないのが、貴族の女たちがセミルにのぼせ上がっていた事だ。セミルが盗みに入ると、屋敷の女たちはセミルを一目見たいとキャーキャー騒いでいた。魔法使いの外見なんて魔法でいくらでも変えられる。セミルは派手な赤い髪に美男子の顔をしていた。どうせ本当の顔ではないだろうに。
イエーリがブツブツ言っていると、部屋のドアがノックもそこそこに開いた。
「ボス、失礼します」
イエーリが不機嫌に顔をあげると、部下のバンスだった。イエーリは厳しい声で言った。
「バンス!ボスと呼ぶな。学校では校長と呼べと何度も言っているだろう!」
バンスは心のこもらない声ですみませんと言った。バンスは潜在魔力の強さと残忍な性格を見込んで仲間に引き入れたが、頭が悪かった。バンスは表向きにメディーナ魔法学校の教師の職を与えているが、気に食わない男子生徒はぶんなぐり、気に入った女子生徒は手を出そうとする無能ぶりだった。
バンスが教師ではなく魔法使いのゴロツキである事が露見する前に、始末してしまった方がいいのではないかと近頃は思っている。
イエーリはメディーナ魔法学校の校長だった。だが最初から校長だったわけではない。メディーナ魔法学校の校長を殺して、校長になり代わったのだ。表向きは魔法学校の校長だが、裏では操り人形に出来そうな学生を物色していたのだ。
今回は十七人も人形を失ってしまっている。早く補充をしなければいけない。イエーリはバンスを呼び出した理由を思い出して言った。
「それで、校内を見学しているユーリとグリフィンの素性はわかったのか?」
「いいえ、それがさっぱり。ですがユーリもグリフィンもとても強い魔法使いと召喚士です。薬を飲ませて操り人形にしちまいましょうよ?」
「ならん!奴らは俺たちのやっている事に勘づいて送り込まれたスパイかもしれないのだぞ?体よく追い返さらければいけない」
ユーリが持っていたシュロム国第一王子の書状は本物だった。もしかすると国王にもイエーリの悪事がバレているのかもしれない。イエーリが内心やきもきしていると、何の緊張感もないバンスがのん気に言った。
「そういえばこの間戦った生意気な召喚士、グリフィンに似ていたなぁ」
「な、何!?それは本当か?!」
「?、はい。グリフィンに似た小僧が、白猫の霊獣を連れていたんで」
イエーリはそこでがく然とした。憎っくき赤髪のセミルが連れていた若い弟子、あの小僧は髪と瞳の色は違っていたがユーリとそっくりだった。
イエーリの悪事に気づいたのはセミルだったのだ。学校での生徒の誘拐を調べるために自分の弟子を送り込んできたのだ。
イエーリは低く笑った。おそらくイエーリたちが再び金持ちの屋敷を襲えば、セミルたちがやって来るだろう。その時にセミル共々皆殺しにしてやればいい。イエーリはニヤリと笑った。
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