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国家魔法使いバレット
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バレットがセバスティアンとの試合を終えて控室を出ると、アレックスとリタと弟のフィンが待ち構えていた。三人は口々におめでとうと言ってくれて、バレットは何だかおもはゆかった。
「バレットすごいねぇ!剣を使わずに魔法だけで皆やつけちゃうんだもの!」
中でもフィンはすごく興奮しているようで、目をキラキラさせて喜んでくれた。兄としてこんな嬉しい事はない。
バレットたちが控室の廊下で話していると、かしこまった服装をした中年の男と、小柄な老人がやってきた。中年男はおうようにバレットに言った。
「バレット。この度の実技試験、実に見事であった。私は魔法省長官のラザールだ。お前は国家魔法使いになった。ついては今後の事なのだが、国王直属魔法団長に推薦しようと思うのだ」
バレットは突然やってきて偉そうな態度を取っているラザールが気に食わなくて、にらみながら答えた。
「はぁ?魔法団長だって?俺はそんなかったるい事ごめんだね。そんなのはセバスティアンて、野郎にやらせときゃいんだよ」
「な、何だと!この話をけるというのか?バレット。魔法団長になれば地位と名声が手に入るのだぞ?」
「地位?名声?んなもんちっともいらねぇ」
「オーバン国王陛下への覚えもめでたくなるのだぞ?!」
「俺はなぁ、国王だからって、仕えたくなんかねぇ。俺が仕えるのは俺が認めた奴だけだ」
バレットは言うだけ言うと、ぼう然としているラザールを通りすぎようとした。アレックスがラザールに声をかける。
「ラザールさん。バレットの暴言を謝ります。ですがバレットは冒険者として困っている人たちを助ける事が信念なんです。バレットは勇者レオリオの意志を継いでいるんです。どうか国家魔法使いの資格を取り立てのバレットをあたたかく見守ってやってくれないでしょうか?」
アレックスが取りなしてくれた事により、ラザールの面目はどうやら保たれたようだ。バレットは小さく息を吐いた。こういう手合いはアレックスに丸投げするにかぎる。
バレットはアレックスたちをうながして、未だにぼう然としているラザールたちを置いてレムーリア城を後にした。
アレックスは、バレットが国家魔法使いになった祝いをベンジの店でやってくれた。店主のベンジも、バレットが国家魔法使いになれた事をたいそう喜んで、エールとビーフシチューをサービスしてくれた。
バレットは店の皆に祝われて気恥ずかしい気持ちになったが、嬉しくもあった。仕事中のくせに、エール片手にベンジがやって来て言った。
「おい、バレット。お前が国家魔法使いになったら、これからどうなるんだ?」
「ああ?どうもならねぇよ!俺は俺のまま、何も変わんねぇの!」
じゃあ何で国家魔法使いの試験を受けたんだよ。という疑問がベンジの顔に浮かんでいたが、バレットは気づかないふりをしてジョッキをかたむけた。
「バレットすごいねぇ!剣を使わずに魔法だけで皆やつけちゃうんだもの!」
中でもフィンはすごく興奮しているようで、目をキラキラさせて喜んでくれた。兄としてこんな嬉しい事はない。
バレットたちが控室の廊下で話していると、かしこまった服装をした中年の男と、小柄な老人がやってきた。中年男はおうようにバレットに言った。
「バレット。この度の実技試験、実に見事であった。私は魔法省長官のラザールだ。お前は国家魔法使いになった。ついては今後の事なのだが、国王直属魔法団長に推薦しようと思うのだ」
バレットは突然やってきて偉そうな態度を取っているラザールが気に食わなくて、にらみながら答えた。
「はぁ?魔法団長だって?俺はそんなかったるい事ごめんだね。そんなのはセバスティアンて、野郎にやらせときゃいんだよ」
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バレットは言うだけ言うと、ぼう然としているラザールを通りすぎようとした。アレックスがラザールに声をかける。
「ラザールさん。バレットの暴言を謝ります。ですがバレットは冒険者として困っている人たちを助ける事が信念なんです。バレットは勇者レオリオの意志を継いでいるんです。どうか国家魔法使いの資格を取り立てのバレットをあたたかく見守ってやってくれないでしょうか?」
アレックスが取りなしてくれた事により、ラザールの面目はどうやら保たれたようだ。バレットは小さく息を吐いた。こういう手合いはアレックスに丸投げするにかぎる。
バレットはアレックスたちをうながして、未だにぼう然としているラザールたちを置いてレムーリア城を後にした。
アレックスは、バレットが国家魔法使いになった祝いをベンジの店でやってくれた。店主のベンジも、バレットが国家魔法使いになれた事をたいそう喜んで、エールとビーフシチューをサービスしてくれた。
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「おい、バレット。お前が国家魔法使いになったら、これからどうなるんだ?」
「ああ?どうもならねぇよ!俺は俺のまま、何も変わんねぇの!」
じゃあ何で国家魔法使いの試験を受けたんだよ。という疑問がベンジの顔に浮かんでいたが、バレットは気づかないふりをしてジョッキをかたむけた。
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