182 / 298
人殺し霊獣
しおりを挟む
その依頼をリタから聞いた時、フィンは耳を疑った。フィンは不安を隠せないままリタに聞いた。
「リタ、その話は本当なの?」
リタは鎮痛な顔でうなずいた。リタは王都にある冒険者協会の美人受付だ。フィンと白猫の霊獣ブランが、新たな依頼を探しに冒険者協会に来た時にリタに声をかけられたのだ。
最近王都の外れで殺人が起きている。その殺人はどうやら霊獣の仕業らしいという事。フィンはにわかに信じる事ができなかった。
フィンは霊獣ブランと契約して召喚士になってから、多くの霊獣に出会った。その霊獣たちは、皆心があたたかく慈悲深かった。そんな霊獣が人間を殺すなど考えられなかった。
その霊獣には霊獣の考えがあるのかもしれない。フィンはこの依頼を受ける事にした。フィンは通信魔法具で、友達の召喚士リリーとその契約精霊フレイヤにも助力を求めた。
城下町の待ち合わせ場所で、リリーは顔を青ざめた顔でフィンに言った。
「フィン。それは本当の話なの?」
「うん、リタから聞いたんだ。死体の側には動物の毛が落ちていたって。動物学者の先生に見てもらったら、どうやらライオンの毛らしいんだ。だけど、この城下町にライオンがうろついているなんておかしいだろ?」
「サーカスから猛獣が逃げたんじゃないの?」
「いや、死体は猛獣に噛み殺されていたんじゃないんだ。・・・、魔法で殺されているんだ。死体は皆火魔法で焼き殺されていた」
リリーはショックを受けた顔をしてから悲しそうに言った。
「私たちもこの依頼受けるわ。もし本当に霊獣の仕業なら、その霊獣に会ってみたい」
フィンはうなずいた。フィンも同じ気持ちだったからだ。
フィンはブランに大きくなってもらい、リリーと一緒に飛び乗った。フレイヤとは現地で落ちあう事にする。
フィンたちは最初の殺人事件があった場所に到着した。そこは王都のはずれの住宅街だった。フィンたちは最初に死体の見聞をした医者を訪ねた。
医者は高齢の老人だった。フィンが殺された死体の死亡診断書を見ると、死体の年齢は推定三十歳くらいの男性、高身長、やせ形、死因は焼死だった。死体の側にはライオンと思われる猛獣の体毛が落ちていたと書かれていた。
フィンは医者に質問した。
「先生。この死体の身元はわかったんですか?」
「いいや。わからずじまいで無縁仏として葬ったよ」
「持ち物は何かありましたか?」
「ああ。持ち物は剣に、魔法具が数点あった。どうも冒険者のようないでたちだったなぁ」
死体は冒険者。フィンはなおの事疑問がわいた。殺したのが霊獣だと仮定して、何故冒険者を襲ったのだろうか。
フィンたちは他の被害者の死体の確認をすべく、検死をした医者をたずね続けた。被害者は全員で五人いた。皆冒険者のようないでたちで、焼死していた。
被害者は皆どこの誰かわからなかったが、唯一最後の五人目には知人がいた。フィンたちは五人目の死体の知り合いに会いに行く事にした。
その知人は冒険者だった。フィンたちはブランに乗って、再び王都に戻った。冒険者協会のリタに事前に連絡を入れていたので、その冒険者にすぐに会う事ができた。
その男はゴンザという身体の大きな冒険者だった。ゴンザはフィンの質問にのんびり答えた。どうやら見た目に反しておだやかな人物のようだ。
「ああそうだ。俺が王都のはしっこまで行って用心棒の依頼をしていた時だ。近くで人死にが出たって言うから、依頼主に危険が及ばないか心配で死体を見に行ったんだ。そしたら、見た事ある顔だから驚いちまってなぁ。いや、そんなに親しい奴でもなかったよ。ある依頼で一緒になったんだ。うーん、剣の腕はそんなでもなかったなぁ。だが、悪知恵が働くというか、金のためなら何でもするって感じの奴だった。名前は確か、タンナ」
ようやく被害者の一人の身元がわかった。
「リタ、その話は本当なの?」
リタは鎮痛な顔でうなずいた。リタは王都にある冒険者協会の美人受付だ。フィンと白猫の霊獣ブランが、新たな依頼を探しに冒険者協会に来た時にリタに声をかけられたのだ。
最近王都の外れで殺人が起きている。その殺人はどうやら霊獣の仕業らしいという事。フィンはにわかに信じる事ができなかった。
フィンは霊獣ブランと契約して召喚士になってから、多くの霊獣に出会った。その霊獣たちは、皆心があたたかく慈悲深かった。そんな霊獣が人間を殺すなど考えられなかった。
その霊獣には霊獣の考えがあるのかもしれない。フィンはこの依頼を受ける事にした。フィンは通信魔法具で、友達の召喚士リリーとその契約精霊フレイヤにも助力を求めた。
城下町の待ち合わせ場所で、リリーは顔を青ざめた顔でフィンに言った。
「フィン。それは本当の話なの?」
「うん、リタから聞いたんだ。死体の側には動物の毛が落ちていたって。動物学者の先生に見てもらったら、どうやらライオンの毛らしいんだ。だけど、この城下町にライオンがうろついているなんておかしいだろ?」
「サーカスから猛獣が逃げたんじゃないの?」
「いや、死体は猛獣に噛み殺されていたんじゃないんだ。・・・、魔法で殺されているんだ。死体は皆火魔法で焼き殺されていた」
リリーはショックを受けた顔をしてから悲しそうに言った。
「私たちもこの依頼受けるわ。もし本当に霊獣の仕業なら、その霊獣に会ってみたい」
フィンはうなずいた。フィンも同じ気持ちだったからだ。
フィンはブランに大きくなってもらい、リリーと一緒に飛び乗った。フレイヤとは現地で落ちあう事にする。
フィンたちは最初の殺人事件があった場所に到着した。そこは王都のはずれの住宅街だった。フィンたちは最初に死体の見聞をした医者を訪ねた。
医者は高齢の老人だった。フィンが殺された死体の死亡診断書を見ると、死体の年齢は推定三十歳くらいの男性、高身長、やせ形、死因は焼死だった。死体の側にはライオンと思われる猛獣の体毛が落ちていたと書かれていた。
フィンは医者に質問した。
「先生。この死体の身元はわかったんですか?」
「いいや。わからずじまいで無縁仏として葬ったよ」
「持ち物は何かありましたか?」
「ああ。持ち物は剣に、魔法具が数点あった。どうも冒険者のようないでたちだったなぁ」
死体は冒険者。フィンはなおの事疑問がわいた。殺したのが霊獣だと仮定して、何故冒険者を襲ったのだろうか。
フィンたちは他の被害者の死体の確認をすべく、検死をした医者をたずね続けた。被害者は全員で五人いた。皆冒険者のようないでたちで、焼死していた。
被害者は皆どこの誰かわからなかったが、唯一最後の五人目には知人がいた。フィンたちは五人目の死体の知り合いに会いに行く事にした。
その知人は冒険者だった。フィンたちはブランに乗って、再び王都に戻った。冒険者協会のリタに事前に連絡を入れていたので、その冒険者にすぐに会う事ができた。
その男はゴンザという身体の大きな冒険者だった。ゴンザはフィンの質問にのんびり答えた。どうやら見た目に反しておだやかな人物のようだ。
「ああそうだ。俺が王都のはしっこまで行って用心棒の依頼をしていた時だ。近くで人死にが出たって言うから、依頼主に危険が及ばないか心配で死体を見に行ったんだ。そしたら、見た事ある顔だから驚いちまってなぁ。いや、そんなに親しい奴でもなかったよ。ある依頼で一緒になったんだ。うーん、剣の腕はそんなでもなかったなぁ。だが、悪知恵が働くというか、金のためなら何でもするって感じの奴だった。名前は確か、タンナ」
ようやく被害者の一人の身元がわかった。
0
お気に入りに追加
771
あなたにおすすめの小説
断罪されているのは私の妻なんですが?
すずまる
恋愛
仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。
「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」
ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?
そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯?
*-=-*-=-*-=-*-=-*
本編は1話完結です(꒪ㅂ꒪)
…が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる