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潜入捜査
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フィンはリリーとフレイヤを見た、彼女たちもうなずく。フィンは自分の腕の中のブランを見る、ブランもうなずいていた。フィンたちの思いは一つなのだ。ジェシカはそんなフィンたちを嬉しそうに見て言った。
「フィンたちにお願いしたいのはね、人外語図書館に潜入して、フードの男がコンタクトを取りそうな人物を探し出してほしいの」
「人外語図書館?」
聞きなれない図書館の名前に、フィンが首をかしげるとジェシカが言葉を続けた。
「この世界には人間以外の種族が沢山いるわ。その多種族の言語を研究している言語研究者も大勢いるの。人外語図書館には貴重な蔵書があるわ。図書館で働く人たちの中には、召喚士になれなかった人たちもいるのよ。フィンには新人司書として人外語図書館で働いてほしいの」
フィンがうなずいて答えるよりも、リリーが先に言葉を発した。
「ジェシカさん。その潜入、私にさせてもらえないですか?フィンではちょっと」
ジェシカは困ったように笑ってから言った。
「そうね。フィンは見るからに人が良さそうで嘘がつけなさそうだものね。リリーが心配するのも無理ないわ?でもね、リリーみたいな綺麗なお嬢さんが司書になると、別な騒動が起きそうだからね」
フィンは心配そうなリリーに向きなおって言った。
「大丈夫だよリリー。僕はフードの男の手がかりをつかむためなら嘘だってためらわないよ?」
なおも心配で顔をくもらせるリリーの肩に、ジェシカは優しく手をおいて言った。
「ここはフィンに任せましょうリリー。頼んだわよフィン。人外語図書館の館長には話を通しているから。それとブラン?」
『なんだわよ』
フィンの腕の中のブランが返事をする。ジェシカは小さな子供に言い聞かせるように優しい声で言った。
「フィンは今から召喚士になれなくて、霊獣語と精霊語をいかして司書になるの。だからねブラン、フィンがどんなに危険な目に合っても、フィンの前に姿を現しちゃダメよ?」
『そんなの嫌だわよ!アタシは姿隠しの魔法でずっとフィンと一緒にいるんだわよ!』
フィンの腕の中のブランはダダっ子のように答えた。機嫌を損ねたブランに、フィンは優しい声で言った。
「大丈夫だよブラン。僕は危ない目になんか合わないよ?きっと無事に依頼をやりとげるからね」
フィンの言葉に、ブランはふてくされながらうなずいた。
ジェシカの霊獣保護団体の本部に着いたその足で、フィンは人外語図書館に向かった。ジェシカの紹介状をたずさえて。
人外語図書館の館長は、ぶっきらぼうな老人だった。一言、ジェシカから話は聞いている。と言っただけだった。そして一人の若者を呼んだ。館長は若者に言った。
「ザラ、新人のフィンだ。面倒を見てやれ」
ザラは館長にお辞儀をしてから、フィンに向きなおって言った。
「やぁフィン、僕はザラだ。わからない事があったら何でも聞いてくれ」
ザラはとても面倒見がよくて親切な青年だった。聞けば召喚士になれなかったらしい。フィンから見れば、何故真面目で親切なザラが召喚士になれなかったのか不思議でならなかった。
ザラはとても優秀な司書で、館長からの信頼も厚く、難しい翻訳の仕事も任されているのだそうだ。ザラは将来、霊獣や精霊の本を書く事が夢だとはにかみながら話してくれた。フィンはザラの書いた本を読んでみたいと思った。
司書見習いのフィンの仕事は多忙だ。ぼうだいな書物の整理整頓、分類ごとにリスト化、そして精霊語、霊獣語の本の翻訳だ。フィンに振り分けられる仕事は、ザラが簡単なものをわりふってくれるが、慣れないフィンには大仕事だった。
ザラはフィンが書いた書類を見て、困った顔をした。フィンはその原因に思いいたって謝った。
「ごめんなさい、ザラ。僕字が汚いですね?」
ザラは苦笑しながら答えた。
「大丈夫だよフィン。ここの仕事は書く事が沢山あるからきっと字は上達するよ」
ザラはとてもいい人だった。これからフィンはザラをだまさなければいけないのだ。フィンは胃のあたりが重くなるのを感じた。
「フィンたちにお願いしたいのはね、人外語図書館に潜入して、フードの男がコンタクトを取りそうな人物を探し出してほしいの」
「人外語図書館?」
聞きなれない図書館の名前に、フィンが首をかしげるとジェシカが言葉を続けた。
「この世界には人間以外の種族が沢山いるわ。その多種族の言語を研究している言語研究者も大勢いるの。人外語図書館には貴重な蔵書があるわ。図書館で働く人たちの中には、召喚士になれなかった人たちもいるのよ。フィンには新人司書として人外語図書館で働いてほしいの」
フィンがうなずいて答えるよりも、リリーが先に言葉を発した。
「ジェシカさん。その潜入、私にさせてもらえないですか?フィンではちょっと」
ジェシカは困ったように笑ってから言った。
「そうね。フィンは見るからに人が良さそうで嘘がつけなさそうだものね。リリーが心配するのも無理ないわ?でもね、リリーみたいな綺麗なお嬢さんが司書になると、別な騒動が起きそうだからね」
フィンは心配そうなリリーに向きなおって言った。
「大丈夫だよリリー。僕はフードの男の手がかりをつかむためなら嘘だってためらわないよ?」
なおも心配で顔をくもらせるリリーの肩に、ジェシカは優しく手をおいて言った。
「ここはフィンに任せましょうリリー。頼んだわよフィン。人外語図書館の館長には話を通しているから。それとブラン?」
『なんだわよ』
フィンの腕の中のブランが返事をする。ジェシカは小さな子供に言い聞かせるように優しい声で言った。
「フィンは今から召喚士になれなくて、霊獣語と精霊語をいかして司書になるの。だからねブラン、フィンがどんなに危険な目に合っても、フィンの前に姿を現しちゃダメよ?」
『そんなの嫌だわよ!アタシは姿隠しの魔法でずっとフィンと一緒にいるんだわよ!』
フィンの腕の中のブランはダダっ子のように答えた。機嫌を損ねたブランに、フィンは優しい声で言った。
「大丈夫だよブラン。僕は危ない目になんか合わないよ?きっと無事に依頼をやりとげるからね」
フィンの言葉に、ブランはふてくされながらうなずいた。
ジェシカの霊獣保護団体の本部に着いたその足で、フィンは人外語図書館に向かった。ジェシカの紹介状をたずさえて。
人外語図書館の館長は、ぶっきらぼうな老人だった。一言、ジェシカから話は聞いている。と言っただけだった。そして一人の若者を呼んだ。館長は若者に言った。
「ザラ、新人のフィンだ。面倒を見てやれ」
ザラは館長にお辞儀をしてから、フィンに向きなおって言った。
「やぁフィン、僕はザラだ。わからない事があったら何でも聞いてくれ」
ザラはとても面倒見がよくて親切な青年だった。聞けば召喚士になれなかったらしい。フィンから見れば、何故真面目で親切なザラが召喚士になれなかったのか不思議でならなかった。
ザラはとても優秀な司書で、館長からの信頼も厚く、難しい翻訳の仕事も任されているのだそうだ。ザラは将来、霊獣や精霊の本を書く事が夢だとはにかみながら話してくれた。フィンはザラの書いた本を読んでみたいと思った。
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「ごめんなさい、ザラ。僕字が汚いですね?」
ザラは苦笑しながら答えた。
「大丈夫だよフィン。ここの仕事は書く事が沢山あるからきっと字は上達するよ」
ザラはとてもいい人だった。これからフィンはザラをだまさなければいけないのだ。フィンは胃のあたりが重くなるのを感じた。
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