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霊獣ドロップの実力
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アレックスはやはりと思った。バルディたちは兵団に、逃げ場の無い平地に誘い出されたのだ。兵団の団長と思われる馬上の男が大声で叫んだ。
「国王陛下に仇なす国賊バルディとその配下の者どもよ。国王陛下の名のもとに、成敗する!」
バルディと部下たちは国王軍に慌てふためいていて、反撃しようとする者もいなかった。剣を構えた国王軍の兵士が元騎士たちに斬りかかる。アレックスは焦った、早く彼らを助けなければ。だがアレックスとバルディたちには距離があった。アレックスの水魔法は自身から一メートル以内でなければ発動できないのだ。アレックスは自分の肩に乗っている、契約霊獣のドロップに叫んだ。
「ドロップ!バルディさんたちを守ってくれ!」
『おう、いいぞ』
ドロップがそう答えた直後、バルディたちと国王軍の間に、巨大な水の壁が現れた。そのあまりの巨大さに、アレックスは口をポカンと開けて立ちつくした。
アレックスは一般的な知識としては、霊獣がものすごい魔力を有する存在だと知っていた。だが目の前のドロップは無邪気で可愛いコツメカワウソにしか見えない。ドロップの魔法はそこまで強くないのではと勝手に思っていた。だが初めて目の当たりにしたドロップの強力な魔法にどぎもを抜かれてしまった。
アレックスが立ち尽くしていると、いち早くバルディがやってきてせきたてた。
「おい!アレックス!早く霊獣に命令して国王軍を一網打尽にせんか!」
アレックスはこりないバルディにため息をついて答えた。
「前にも言っただろう?ドロップの魔法で誰かを傷つけたりさせないって。さぁ、ドロップの水の壁があるうちにこの場から逃げよう。ドロップ、この水の壁はどのくらい持つんだ?」
『オラが一キロ離れたら魔法が解除されるだよ』
「よし、じゃあ皆森を抜けてここを脱出しよう!」
アレックスはドロップと話し合ってからバルディと部下たちに言った。だがバルディはゆずらなかった。
「なんだと?!やっと国王軍にいっしむくいる事ができるのだぞ?!」
「アレックス!俺たちからも頼む!どうか国王軍を一掃してくれないか!」
バルディと共に部下たちがアレックスにはやし立てる。アレックスはほとほと困ってしまった。仕方なくアレックスは肩の上のドロップに聞いた。
「なぁドロップ。国王軍の人たちと戦わずに話し合いがしたいんだ」
『戦うじゃなくて、話すんだな。任せとけ』
アレックスの願いにドロップがうなずくと、目の前に立ちはだかっていた水の壁は一瞬にして消えた。当然国王軍たちはアレックスたち向かって突撃してきた。だが、驚いた事に、国王軍たちはピタリと動きを止めてしまったのだ。まるで国王軍の時間だけ止まってしまったかのようだった。
アレックスはぼう然としながらドロップに聞いた。
「これもドロップの魔法なのか?」
『おう、オラの魔法だぞ?生き物の身体のほとんどが水だからな。オラが水魔法であいつらの動きを止めているんだ。アレックス、あいつらはしゃべれないが目は見えて、耳は聞こえてるぞ?』
「ありがとう、ドロップ。奴らの止まっている時間はどのくらいだ?」
『この人数だと、五分くらいだな』
「充分だ」
アレックスは大声で、ドロップの魔法で動けなくなって焦っている国王軍に言った。
「聞いてくれ!国王軍の皆!俺たちはあんたたちに危害はくわえたくない。俺たちはこのまま姿を消す。どうか俺たちを見逃してくれないか?」
アレックスの言葉に異をとなえたのは、バルディたちだった。
「何を言うアレックス!今が絶好のチャンスではないか、この者どもを皆殺しにして、現国王に己の悪政をしらしめてやるのだ」
「そうだ、アレックス。俺たちに国王軍たちを倒させてくれ!」
アレックスはだんだん腹が立ってきた。何故ここにいる奴らはすぐ相手を殺そうとするのだろうか。何故話し合いで解決しようとしないのか。アレックスは肩に乗ったドロップに言った。
「ドロップ、バルディさんたちも動きを止める魔法できるか?」
『ああ、できるぞ?』
「ならバルディさんたち止めてくれ」
『ああ、いいぞ』
ドロップが答えると、騒ぎ立てていたバルディたちはピタリと動きを止めてしまった。
「国王陛下に仇なす国賊バルディとその配下の者どもよ。国王陛下の名のもとに、成敗する!」
バルディと部下たちは国王軍に慌てふためいていて、反撃しようとする者もいなかった。剣を構えた国王軍の兵士が元騎士たちに斬りかかる。アレックスは焦った、早く彼らを助けなければ。だがアレックスとバルディたちには距離があった。アレックスの水魔法は自身から一メートル以内でなければ発動できないのだ。アレックスは自分の肩に乗っている、契約霊獣のドロップに叫んだ。
「ドロップ!バルディさんたちを守ってくれ!」
『おう、いいぞ』
ドロップがそう答えた直後、バルディたちと国王軍の間に、巨大な水の壁が現れた。そのあまりの巨大さに、アレックスは口をポカンと開けて立ちつくした。
アレックスは一般的な知識としては、霊獣がものすごい魔力を有する存在だと知っていた。だが目の前のドロップは無邪気で可愛いコツメカワウソにしか見えない。ドロップの魔法はそこまで強くないのではと勝手に思っていた。だが初めて目の当たりにしたドロップの強力な魔法にどぎもを抜かれてしまった。
アレックスが立ち尽くしていると、いち早くバルディがやってきてせきたてた。
「おい!アレックス!早く霊獣に命令して国王軍を一網打尽にせんか!」
アレックスはこりないバルディにため息をついて答えた。
「前にも言っただろう?ドロップの魔法で誰かを傷つけたりさせないって。さぁ、ドロップの水の壁があるうちにこの場から逃げよう。ドロップ、この水の壁はどのくらい持つんだ?」
『オラが一キロ離れたら魔法が解除されるだよ』
「よし、じゃあ皆森を抜けてここを脱出しよう!」
アレックスはドロップと話し合ってからバルディと部下たちに言った。だがバルディはゆずらなかった。
「なんだと?!やっと国王軍にいっしむくいる事ができるのだぞ?!」
「アレックス!俺たちからも頼む!どうか国王軍を一掃してくれないか!」
バルディと共に部下たちがアレックスにはやし立てる。アレックスはほとほと困ってしまった。仕方なくアレックスは肩の上のドロップに聞いた。
「なぁドロップ。国王軍の人たちと戦わずに話し合いがしたいんだ」
『戦うじゃなくて、話すんだな。任せとけ』
アレックスの願いにドロップがうなずくと、目の前に立ちはだかっていた水の壁は一瞬にして消えた。当然国王軍たちはアレックスたち向かって突撃してきた。だが、驚いた事に、国王軍たちはピタリと動きを止めてしまったのだ。まるで国王軍の時間だけ止まってしまったかのようだった。
アレックスはぼう然としながらドロップに聞いた。
「これもドロップの魔法なのか?」
『おう、オラの魔法だぞ?生き物の身体のほとんどが水だからな。オラが水魔法であいつらの動きを止めているんだ。アレックス、あいつらはしゃべれないが目は見えて、耳は聞こえてるぞ?』
「ありがとう、ドロップ。奴らの止まっている時間はどのくらいだ?」
『この人数だと、五分くらいだな』
「充分だ」
アレックスは大声で、ドロップの魔法で動けなくなって焦っている国王軍に言った。
「聞いてくれ!国王軍の皆!俺たちはあんたたちに危害はくわえたくない。俺たちはこのまま姿を消す。どうか俺たちを見逃してくれないか?」
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『ああ、できるぞ?』
「ならバルディさんたち止めてくれ」
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ドロップが答えると、騒ぎ立てていたバルディたちはピタリと動きを止めてしまった。
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