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フィンの恩人
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フィンは大きくなったブランの背に乗ってひたすら走っていた。目指すはグッチに次に狙われるであろう人の所だ。だがその前に、フィンは会っておきたい人たちがいた。
それは幼いフィンを引き取り、働かせてくれた小麦粉工場の夫婦だった。フィンは小さな頃から精一杯小麦粉工場の仕事を手伝った。だが実際には、小さな子供の働きなど取るに足らなかっただろう。だがフィンを引き取ってくれた夫婦は、幼いフィンに仕事をくれ、衣食住の面倒を見、給料までくれたのだ。フィンは彼らの事を思うと、感謝の言葉しか湧いてこなかった。
フィンは懐かしい小麦粉工場の前に到着した。フィンはブランから飛び降りると、小麦粉工場の横に隣接された家のドアを叩いた。中からは目を大きく見開いた、太った男性が現れた。フィンは嬉しくなって言った。
「おじさん、お久しぶりです」
「フィン!お前、とんだ薄情者だ。召喚士になれたって、手紙だけよこしやがって!何で顔を見せねぇんだ!」
小麦粉工場の主人はどう間声でフィンにまくし立てた。だがフィンは知っている。彼は怒っているのではなく、喜んでくれているのだ。主人の大声におかみさんも玄関に出て来た。おかみさんはフィンの姿を見ると、泣き出さんばかりに喜んでくれた。
「フィンちゃん!大きくなったわねぇ」
「おばさん、お久しぶりです」
おかみさんはフィンの事を優しく抱きしめてくれた。だがフィンの記憶の中のおかみさんはもっと背が高かった。だが今のおかみさんはフィンの胸くらいまでしかなかった。フィンは成長したのだ。フィンもおかみさんの背中に手を回した。すると主人が厳しい声で言った。
「母ちゃん!フィンは召喚士になったのにちっともこっちに顔を見せなかったんだぞ?!薄情者だ!」
夫の剣幕におかみさんは笑って言った。
「ごめんねフィンちゃん。この人ねぇ、フィンちゃんから召喚士になれた手紙をもらってからずっと貴方の事を待っていたのよ?フィンはまだか、フィンはまだかって」
フィンは微笑んで答えた。
「おじさん、おばさんごあいさつが遅くなってごめんなさい。僕はあなたたちのおかげで召喚士になれました」
フィンは足元にいるブランに声をかけた。ブランはフィンの肩に飛び乗ると、ニャアンと鳴いた。おかみさんが微笑んでブランを撫でた。ブランも嬉しそうだ。フィンは機嫌が悪そうな主人と、嬉しそうなおかみさんに、しっかりと向き直って言った。
「おじさん、おばさん。僕が召喚士になってすぐにごあいさつに来なかったのは、ちゃんとお礼がしたかったからなんです」
フィンはそう言って、胸ポケットから二つの油紙に包まれた物を取り出した。大きなものは主人に。小さなものはおかみさんに渡した。二人はこれが何かわからず首をかしげながら油紙を開いた。主人のものは、銀製のバングルが二つ。おかみさんのものは、シンプルなメノウのペンダントだった。おかみさんは女性なので、アクセリーを見て喜んでくれたが、主人は気に入らなそうだった。フィンは微笑んで言った。
「おじさん、おばさん。これはただのアクセリーじゃないんです。これは魔法具なんです。おばさん、ぜんそくの調子はどうですか?」
フィンの質問に、おかみさんはあいまいに笑った。おかみさんはぜんそく持ちで、ちょくちょく具合が悪くなった。だが嫁ぎ先は小麦粉工場で、ぜんそくを悪化させていた。フィンが小さい頃も、ぜんそくの発作が起きて、とても苦しそうだったのだ。フィンは幼い頃から、おかみさんのぜんそくを少しでも良くしてあげたいとずっと考えていたのだ。フィンはおかみさんの首にメノウのペンダントをつけてから言った。
「おばさん、ぜんそくで苦しくなったら、そのペンダントに軽く触れてください」
おかみさんは不思議そうにペンダントに触れた。すると、メノウのペンダントが淡く光った。おかみさんは不思議そうにフィンを見て言った。
「あら、さっきまで呼吸が苦しかったのに、楽になったわ?」
「おばさん、この魔法具は風魔法の霊獣が魔法を吹き込んでくれたんです」
フィンは次に、主人の両手首にバングルをはめた。そのバングルは、主人の腕にはまると、一人でに主人の腕に合う大きさになった。フィンは主人とおかみさんをうながして、小麦粉工場に向かった。小麦粉工場には明日出荷すると思われる小麦粉の袋が大量に積んであった。主人はもう大分高齢だ。小麦粉工場の夫婦には娘がいたが、パン屋に嫁に行ってしまった。彼らには跡取りがいないのだ。したがって、夫婦はこれからも二人でこの小麦粉工場を守っていかなければならないのだ。フィンは主人に言った。
「おじさん、小麦粉の袋を持ち上げみてください」
主人は不審がりながらも、フィンの言う通りにしてくれた。主人はいつものように小麦粉の袋を注意深く肩に持ち上げようとして叫んだ。
「何だ!小麦粉の袋がワタのように軽いぞ?!」
「おじさん、この腕につけている魔法具は、僕の指導官になってくれた魔法戦士が魔法を吹き込んでくれたんです。これなら小麦粉を運ぶのも、小麦を粉にするのも楽になるでしょ?」
主人は驚いた顔で両手首にはまったバングルを見た。フィンはリュックサックから麻の袋を取り出して主人に渡した。主人が何気なく麻の袋を開くと、中には金貨が入っていた。主人はキッとフィンをにらんで言った。
「おい、フィン。何だこの金は?」
「これは、おじさんとおばさんが僕を学校に入学させるために支払ってくれたお金のほんの一部です」
「フィン、お前は俺の工場でひたすら働いて学費を稼いだんだ。これは受け取れねぇ!」
フィンは予想はしていたのだ。小麦粉工場の主人は、フィンが持ってきたお金は受け取ってくれないと。だがフィンは、小麦粉工場の夫婦に深くおじぎをして言った。
「おじさん!おばさん!僕が召喚士になれたのはあなた達のおかげなんです。何の役にも立たない子供だった僕を、養い育ててくれました。僕はあなた方に返しても返しきれないご恩があります。どうか定期的持ってくるお金を受け取ってください!」
フィンはそのままおじぎをした姿勢を崩さなかった。見かねた主人がおだやかな声で言った。
「フィン。それは違うぞ?俺たちがフィンの後押しをしようとしたのはなぁ、フィンが召喚士になりたいという、ゆるぎない信念を持っていたからだ。だから俺たちはお前を応援したくなったんた。わかったこの金は受けとる。だがな、そんな事よりたまには顔を見せるんだぞ?」
主人はそう言って、最後には恥ずかしそうにそっぽを向いた。フィンは嬉しくなって主人に抱きついた。主人はかたまりながらもフィンを優しく抱きしめてくれた。
それは幼いフィンを引き取り、働かせてくれた小麦粉工場の夫婦だった。フィンは小さな頃から精一杯小麦粉工場の仕事を手伝った。だが実際には、小さな子供の働きなど取るに足らなかっただろう。だがフィンを引き取ってくれた夫婦は、幼いフィンに仕事をくれ、衣食住の面倒を見、給料までくれたのだ。フィンは彼らの事を思うと、感謝の言葉しか湧いてこなかった。
フィンは懐かしい小麦粉工場の前に到着した。フィンはブランから飛び降りると、小麦粉工場の横に隣接された家のドアを叩いた。中からは目を大きく見開いた、太った男性が現れた。フィンは嬉しくなって言った。
「おじさん、お久しぶりです」
「フィン!お前、とんだ薄情者だ。召喚士になれたって、手紙だけよこしやがって!何で顔を見せねぇんだ!」
小麦粉工場の主人はどう間声でフィンにまくし立てた。だがフィンは知っている。彼は怒っているのではなく、喜んでくれているのだ。主人の大声におかみさんも玄関に出て来た。おかみさんはフィンの姿を見ると、泣き出さんばかりに喜んでくれた。
「フィンちゃん!大きくなったわねぇ」
「おばさん、お久しぶりです」
おかみさんはフィンの事を優しく抱きしめてくれた。だがフィンの記憶の中のおかみさんはもっと背が高かった。だが今のおかみさんはフィンの胸くらいまでしかなかった。フィンは成長したのだ。フィンもおかみさんの背中に手を回した。すると主人が厳しい声で言った。
「母ちゃん!フィンは召喚士になったのにちっともこっちに顔を見せなかったんだぞ?!薄情者だ!」
夫の剣幕におかみさんは笑って言った。
「ごめんねフィンちゃん。この人ねぇ、フィンちゃんから召喚士になれた手紙をもらってからずっと貴方の事を待っていたのよ?フィンはまだか、フィンはまだかって」
フィンは微笑んで答えた。
「おじさん、おばさんごあいさつが遅くなってごめんなさい。僕はあなたたちのおかげで召喚士になれました」
フィンは足元にいるブランに声をかけた。ブランはフィンの肩に飛び乗ると、ニャアンと鳴いた。おかみさんが微笑んでブランを撫でた。ブランも嬉しそうだ。フィンは機嫌が悪そうな主人と、嬉しそうなおかみさんに、しっかりと向き直って言った。
「おじさん、おばさん。僕が召喚士になってすぐにごあいさつに来なかったのは、ちゃんとお礼がしたかったからなんです」
フィンはそう言って、胸ポケットから二つの油紙に包まれた物を取り出した。大きなものは主人に。小さなものはおかみさんに渡した。二人はこれが何かわからず首をかしげながら油紙を開いた。主人のものは、銀製のバングルが二つ。おかみさんのものは、シンプルなメノウのペンダントだった。おかみさんは女性なので、アクセリーを見て喜んでくれたが、主人は気に入らなそうだった。フィンは微笑んで言った。
「おじさん、おばさん。これはただのアクセリーじゃないんです。これは魔法具なんです。おばさん、ぜんそくの調子はどうですか?」
フィンの質問に、おかみさんはあいまいに笑った。おかみさんはぜんそく持ちで、ちょくちょく具合が悪くなった。だが嫁ぎ先は小麦粉工場で、ぜんそくを悪化させていた。フィンが小さい頃も、ぜんそくの発作が起きて、とても苦しそうだったのだ。フィンは幼い頃から、おかみさんのぜんそくを少しでも良くしてあげたいとずっと考えていたのだ。フィンはおかみさんの首にメノウのペンダントをつけてから言った。
「おばさん、ぜんそくで苦しくなったら、そのペンダントに軽く触れてください」
おかみさんは不思議そうにペンダントに触れた。すると、メノウのペンダントが淡く光った。おかみさんは不思議そうにフィンを見て言った。
「あら、さっきまで呼吸が苦しかったのに、楽になったわ?」
「おばさん、この魔法具は風魔法の霊獣が魔法を吹き込んでくれたんです」
フィンは次に、主人の両手首にバングルをはめた。そのバングルは、主人の腕にはまると、一人でに主人の腕に合う大きさになった。フィンは主人とおかみさんをうながして、小麦粉工場に向かった。小麦粉工場には明日出荷すると思われる小麦粉の袋が大量に積んであった。主人はもう大分高齢だ。小麦粉工場の夫婦には娘がいたが、パン屋に嫁に行ってしまった。彼らには跡取りがいないのだ。したがって、夫婦はこれからも二人でこの小麦粉工場を守っていかなければならないのだ。フィンは主人に言った。
「おじさん、小麦粉の袋を持ち上げみてください」
主人は不審がりながらも、フィンの言う通りにしてくれた。主人はいつものように小麦粉の袋を注意深く肩に持ち上げようとして叫んだ。
「何だ!小麦粉の袋がワタのように軽いぞ?!」
「おじさん、この腕につけている魔法具は、僕の指導官になってくれた魔法戦士が魔法を吹き込んでくれたんです。これなら小麦粉を運ぶのも、小麦を粉にするのも楽になるでしょ?」
主人は驚いた顔で両手首にはまったバングルを見た。フィンはリュックサックから麻の袋を取り出して主人に渡した。主人が何気なく麻の袋を開くと、中には金貨が入っていた。主人はキッとフィンをにらんで言った。
「おい、フィン。何だこの金は?」
「これは、おじさんとおばさんが僕を学校に入学させるために支払ってくれたお金のほんの一部です」
「フィン、お前は俺の工場でひたすら働いて学費を稼いだんだ。これは受け取れねぇ!」
フィンは予想はしていたのだ。小麦粉工場の主人は、フィンが持ってきたお金は受け取ってくれないと。だがフィンは、小麦粉工場の夫婦に深くおじぎをして言った。
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「フィン。それは違うぞ?俺たちがフィンの後押しをしようとしたのはなぁ、フィンが召喚士になりたいという、ゆるぎない信念を持っていたからだ。だから俺たちはお前を応援したくなったんた。わかったこの金は受けとる。だがな、そんな事よりたまには顔を見せるんだぞ?」
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