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指導官
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バレットが指導官を担当した新人冒険者は戦士と魔法使いが多かった。それはバレットの職業が魔法戦士だからだ。バレットが新人の指導官として最初にする事は、新人の鼻っぱしらを徹底的に折る事だ。新人は根拠のない自信に満ちあふれている、そんな考えではすぐに死んでしまう。新人戦士はまだ扱いやすい。根が単純なので、力の差をわからせてやればすぐに大人しくなる。だが新人魔法使いはタチが悪い。しかもしかるべき魔法学校を卒業した国家魔法使いは特にプライドが高く傲慢だ。
バレットは魔法学校に通った事がなかった。バレットは孤児で、空腹でのたれ死に寸前のところを養父に拾われ育てられた。養父はバレットの潜在魔力が高い事に気づき、バレットに魔法の指導をしてくれた。だが養父は魔法使いではなく召喚士だった。召喚士は自身の魔力はそんなに強くない。召喚士は強大な魔力を持つ精霊や霊獣と契約して魔法を使うのだ。
養父自身は風魔法しか使えなかった。そのためバレットが一番最初に学んだのは風魔法だった。その後火のエレメント、水のエレメント、土のエレメント契約をし、四つ全ての属性契約をした。そのためバレットの魔法はほとんど独学だ。だからといってバレットは魔法が苦手というわけではない、沢山の場数を踏んであらゆる魔法を身につけていた。自分は国家魔法使いなのだという傲慢な新人をやりこめるのは愉快だった。
だが今回担当した新人は、戦士でも魔法使いでもなく召喚士だった。物静かで自己肯定感が低い少年だった。聞けばフィンは孤児なのだそうだ。バレットと同じだ、バレットはフィンという新人の冒険者に親近感を覚えた。フィンは小さい頃から近しい人間はおらず、常に寂しい思いをしていたそうだ。だから一生自分の側にいてくれる霊獣と契約できた事が嬉しくて仕方ないらしい。
フィンはおっとりしていて、少し周りとテンポがズレている気がした。だがそれはフィンがぐ鈍な人間だというわけではなく、彼は言われた言葉をじっくり考えてがら言葉に出して返しているようだった。なぜ召喚士なのに魔法戦士の自分を指導官に指名したのか聞くと、女の子を守れるくらい強くなりたいからだと答えた。初めは女にモテたいからかと思い、イヤラシイ奴だと思った。だがフィンと最初に出会った時、フィンの契約霊獣ブランは何故か人間の姿をしていた。そしてフィンが危険にさらされているのに契約者を守りもしないで震えていた。その出来事を思い出してバレットは合点がいった、フィンは自分の契約霊獣を守るために強くなりたいと言っているのだと。だがバレットには、フィンのその考えがとても危ういものに思えた。
本来召喚士と契約霊獣は深い絆で結ばれている。それはお互いを心から信頼しているからだ。バレットの養父と契約霊獣もそんな関係だった。だがフィンと契約霊獣のブランを見ていると、二人はお互いにお互いを守ろうとしているように思えた。それは深い愛情には違いないが、信頼関係とはいえない。バレットはずっとフィンとブランについてやるわけにはいかない。指導官として指導する短い間に、フィンとブランの気持ちが変化してくれればいいと思った。
剣の指導を望んだフィンは全くといっていいほど剣の才能がなかった。運動神経があまりよくないのかとにかくドン臭い。模擬刀での打ち合いをしても、常に目が泳いでいてバレットの剣ばかり目で追っている。剣の斬り合いは相手の全体を見なければいけない。相手の筋肉の動き、呼吸、全てを感じて相手の次の動作を先に読んで剣を打ち込まなければいけないのだ。フィンが剣の上達をするのは絶望的に思えた。
だがフィンにも一つだけバレットの目を引く才能があった。フィンは集中力がとても高い。自身がやり遂げようと決めた事は決してあきらめないのだ。バレットはフィンに剣の打ち込みを一万回するように指導した。剣を握った事のない人間が軽くもない模擬刀を振り上げ振り下ろす動作を急に一万回やれといわれても途中でやめてしまうだろう。だがフィンはやり遂げた。手のひらには沢山の豆ができ、その豆が潰れフィンの手は血だらけだった。バレットは時間の続くかぎりフィンの剣の指導をしようと決めた。
バレットは魔法学校に通った事がなかった。バレットは孤児で、空腹でのたれ死に寸前のところを養父に拾われ育てられた。養父はバレットの潜在魔力が高い事に気づき、バレットに魔法の指導をしてくれた。だが養父は魔法使いではなく召喚士だった。召喚士は自身の魔力はそんなに強くない。召喚士は強大な魔力を持つ精霊や霊獣と契約して魔法を使うのだ。
養父自身は風魔法しか使えなかった。そのためバレットが一番最初に学んだのは風魔法だった。その後火のエレメント、水のエレメント、土のエレメント契約をし、四つ全ての属性契約をした。そのためバレットの魔法はほとんど独学だ。だからといってバレットは魔法が苦手というわけではない、沢山の場数を踏んであらゆる魔法を身につけていた。自分は国家魔法使いなのだという傲慢な新人をやりこめるのは愉快だった。
だが今回担当した新人は、戦士でも魔法使いでもなく召喚士だった。物静かで自己肯定感が低い少年だった。聞けばフィンは孤児なのだそうだ。バレットと同じだ、バレットはフィンという新人の冒険者に親近感を覚えた。フィンは小さい頃から近しい人間はおらず、常に寂しい思いをしていたそうだ。だから一生自分の側にいてくれる霊獣と契約できた事が嬉しくて仕方ないらしい。
フィンはおっとりしていて、少し周りとテンポがズレている気がした。だがそれはフィンがぐ鈍な人間だというわけではなく、彼は言われた言葉をじっくり考えてがら言葉に出して返しているようだった。なぜ召喚士なのに魔法戦士の自分を指導官に指名したのか聞くと、女の子を守れるくらい強くなりたいからだと答えた。初めは女にモテたいからかと思い、イヤラシイ奴だと思った。だがフィンと最初に出会った時、フィンの契約霊獣ブランは何故か人間の姿をしていた。そしてフィンが危険にさらされているのに契約者を守りもしないで震えていた。その出来事を思い出してバレットは合点がいった、フィンは自分の契約霊獣を守るために強くなりたいと言っているのだと。だがバレットには、フィンのその考えがとても危ういものに思えた。
本来召喚士と契約霊獣は深い絆で結ばれている。それはお互いを心から信頼しているからだ。バレットの養父と契約霊獣もそんな関係だった。だがフィンと契約霊獣のブランを見ていると、二人はお互いにお互いを守ろうとしているように思えた。それは深い愛情には違いないが、信頼関係とはいえない。バレットはずっとフィンとブランについてやるわけにはいかない。指導官として指導する短い間に、フィンとブランの気持ちが変化してくれればいいと思った。
剣の指導を望んだフィンは全くといっていいほど剣の才能がなかった。運動神経があまりよくないのかとにかくドン臭い。模擬刀での打ち合いをしても、常に目が泳いでいてバレットの剣ばかり目で追っている。剣の斬り合いは相手の全体を見なければいけない。相手の筋肉の動き、呼吸、全てを感じて相手の次の動作を先に読んで剣を打ち込まなければいけないのだ。フィンが剣の上達をするのは絶望的に思えた。
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