2 / 298
霊獣ブラン
しおりを挟む
カーテンの隙間から漏れる朝の光が顔にあたり、フィンはゆっくりと目を覚ました。枕元には昨夜と同じように美しい白猫がいた。彼女は軽やかな声で言った。
『おはよう、フィン』
フィンは朝日に照らされた美しい白猫を見てため息をつくように言った。
「おはようブラン。今日の君もとっても綺麗だ」
白猫はフフンと鼻を鳴らしてフィンの頬にすり寄った。フィンは大きく伸びをしてから勢いよくベッドからとび起きた。今日はフィンにとって記念すべき日なのだ。今日フィンは五年間過ごしたこの学校去るのだ。フィンは素早く自身の荷物をまとめた、リュックサックに衣類と日用品をつめて終了だ。霊獣のブランは、それだけなの?と呆れ顔だ。孤児だったフィンは自分の私物はほとんど持っていなかった。教科書や辞書は学校から借り受けた物だ、いずれ後輩が使う事になる。
フィンは食堂で学生最期の朝食を食べると、職員室に行き担任の女教師に別れの挨拶をした。フィンを五年間見守ってくれた女教師は、孤児のフィンを何かと気にかけてくれていた。学費が滞りそうになると、学校内での仕事をあっせんしてくれた。その甲斐あってフィンは五年間の学生生活を続ける事ができたのだ。女教師は泣きながらフィンの門出を祝福してくれた。
フィンは最後に会っておきたいクラスメイトがいた。同じ町で育ったリリーという女生徒だ。フィンは孤児のため何かと学校と担任教師に目をかけてもらっていた。そのためクラスメイトからはやっかまれ、友達らしい者もいなかった。だがリリーだけは違った。彼女はフィンと同じ町の出身だが、境遇はまるで違う。フィンは孤児で、彼女は大金持ちの商人の娘だった。だがリリーはお金持ち特有の傲慢さはこれっぽっちもなく、明るくて優しくて、そして何よりとても美しい少女だった。リリーはクラスの人気者だった。フィンが学校内をキョロキョロしていると声をかけられた。
「フィン!間に合って良かった。今日出発なんでしょ?」
フィンが声のする方に振り向くと、はたして探していたリリーがいた。
「リリー、会えて良かった。君に別れのあいさつをしたかったんだ。五年間僕の事を助けてくれてありがとう」
「そんな事ないわ、私こそフィンに沢山助けてもらったわ」
リリーの言葉にフィンは面はゆい気持ちになって話題を変えた。
「それにしてもリリーはすごいよ!なんたって火の精霊と契約しちゃんうんだもの」
リリーはフィンのクラスで、一番強い精霊と契約できたのだ。リリーは控えめに笑って、素早く呪文を詠唱した。リリーのとなりに美しい女性が現れた。その女性は炎に包まれていた。だが攻撃的な炎ではない、柔らかな温かさをまとっていた。
『はあい!貴方がフィンね。私は火の精霊フレイヤ。よろしくね』
フィンはリリーの契約精霊フレイヤにあいさつをし、自身の契約霊獣ブランを紹介しようとした。だがブランは機嫌が悪いようで、ツンッと顔を背けてしまった。困ったフィンはリリーとフレイヤにわびを入れた。リリーは気にしないでとしきりに言ってくれ、フレイヤはニヤニヤと意味ありげな笑いを浮かべていた。
フィンとリリーがいた最高学年のクラスメイトは全員で三十五名だった。昨日の召喚の儀式で精霊か霊獣と契約できた者は二十二名。召喚はできたが対価の折り合いがつかず、契約がご破算になった生徒が五名。その生徒たちは後日改めて召喚の儀式を執りおこない、新たな精霊か霊獣との契約を試みる事になる。だがそれ以外の生徒は召喚の儀式を行っても、精霊や霊獣に見向きもされなかったという事だ。そのためもう一年学校に残るか、はたまた退学するのかを迫られる事になる。
フィンは五年間世話になった学校の門を出ると、深々とお辞儀をした。そして自身の契約霊獣白猫のブランと共に新たなスタートをきった。フィンはブランに、先ほどのリリーたちに対する態度を注意した。
「ブラン、リリーは僕の唯一の友達だったんだよ?あんな態度は失礼じゃないか」
『彼女美人だわね?』
「ああ、美人で優しくてクラスの人気者だったんだ」
フィンはブランの返答が、てんで質問の答えになっていない事に目を白黒させながら答えた。ブランは機嫌悪そうに言った。
『フィンはリリーの事好きだったの?』
「うん、勿論」
ブランは目に見えてギクリと身体を震わせて、そしてこわごわというようにフィンを見上げて聞いた。
『・・・、恋愛感情って事?』
「ははっ。まさか!孤児の僕なんかが思いをよせていい相手なんかじゃないよ。彼女はいい所のお嬢さんなんだ。きっとしかるべき相手と結婚するんだろう。僕は彼女に勉強の面でも、クラスで浮いていた時も、いつも助けになってくれたんだ。僕の恩人なんだよ」
フィンは柔らかな笑顔でブランを見た。ブランは眉間にシワを寄せながら、深いため息をついて言った。
『まぁいいわ、そういう事にしておいてあげる。だけどフィン、いい事?これからはアタシだけを見ているのよ?他の女の子に目移りなんかしちゃダメよ!わかった?』
フィンはよくわからないブランの剣幕に、あわててうなずいた。するとブランは満足したようで、じゃあ許してあげる。と言った。
フィンたちは召喚士養成学校を後にして、森の中をひたすら歩き続けた。ブランがフィンに聞く。
『ねぇフィン、一体どこに向かっているの?』
「ああ言ってなかったね。これからこの国の王都に行こうと思うんだ。王都の冒険者協会で、冒険者の登録をしようと思ってね」
『フィンは冒険者になる事が夢だったものね』
「?、ブランに僕の夢を話したっけ?」
『!、ううん初めて聞くわ。ただそうかなって思っただけ』
フィンはとなりをついてきてくれるブランに微笑んで答えた。
「うん、僕は召喚士になって世界を冒険する事がずっと夢だったんだ。ブラン一緒に行ってくれる?」
『ええ勿論よ。貴方にずっとついていくわ。所で王都までどのくらいなの?』
「歩いて三日って所かな」
『三日?!そんなにかかるの?!』
「ブラン歩くの疲れる?それなら僕が抱っこしてあげる」
ブランはビクリと身じろいでから、照れたように言った。
『違うわよフィン、アタシが貴方を乗せてあげるわ』
ブランはそう言うと、ムクムクと大きくなった。小さかった白猫は、虎ほどの大きさになった。フィンは驚いてブランに聞いた。
「これはブランの魔法なの?ブランは土魔法の霊獣じゃないの?」
『ええ、アタシは土属性の霊獣よ、使うのは土魔法。フィンと同じ。だけど他にも沢山魔法が使えるの、だからフィンが困った事があったらなんでも言ってね?』
フィンは間近で見る霊獣の魔法に大喜びして、ありがとうと言った。ブランは得意そうにニャァッと鳴くと、フィンを背中に乗るようにうながした。
『おはよう、フィン』
フィンは朝日に照らされた美しい白猫を見てため息をつくように言った。
「おはようブラン。今日の君もとっても綺麗だ」
白猫はフフンと鼻を鳴らしてフィンの頬にすり寄った。フィンは大きく伸びをしてから勢いよくベッドからとび起きた。今日はフィンにとって記念すべき日なのだ。今日フィンは五年間過ごしたこの学校去るのだ。フィンは素早く自身の荷物をまとめた、リュックサックに衣類と日用品をつめて終了だ。霊獣のブランは、それだけなの?と呆れ顔だ。孤児だったフィンは自分の私物はほとんど持っていなかった。教科書や辞書は学校から借り受けた物だ、いずれ後輩が使う事になる。
フィンは食堂で学生最期の朝食を食べると、職員室に行き担任の女教師に別れの挨拶をした。フィンを五年間見守ってくれた女教師は、孤児のフィンを何かと気にかけてくれていた。学費が滞りそうになると、学校内での仕事をあっせんしてくれた。その甲斐あってフィンは五年間の学生生活を続ける事ができたのだ。女教師は泣きながらフィンの門出を祝福してくれた。
フィンは最後に会っておきたいクラスメイトがいた。同じ町で育ったリリーという女生徒だ。フィンは孤児のため何かと学校と担任教師に目をかけてもらっていた。そのためクラスメイトからはやっかまれ、友達らしい者もいなかった。だがリリーだけは違った。彼女はフィンと同じ町の出身だが、境遇はまるで違う。フィンは孤児で、彼女は大金持ちの商人の娘だった。だがリリーはお金持ち特有の傲慢さはこれっぽっちもなく、明るくて優しくて、そして何よりとても美しい少女だった。リリーはクラスの人気者だった。フィンが学校内をキョロキョロしていると声をかけられた。
「フィン!間に合って良かった。今日出発なんでしょ?」
フィンが声のする方に振り向くと、はたして探していたリリーがいた。
「リリー、会えて良かった。君に別れのあいさつをしたかったんだ。五年間僕の事を助けてくれてありがとう」
「そんな事ないわ、私こそフィンに沢山助けてもらったわ」
リリーの言葉にフィンは面はゆい気持ちになって話題を変えた。
「それにしてもリリーはすごいよ!なんたって火の精霊と契約しちゃんうんだもの」
リリーはフィンのクラスで、一番強い精霊と契約できたのだ。リリーは控えめに笑って、素早く呪文を詠唱した。リリーのとなりに美しい女性が現れた。その女性は炎に包まれていた。だが攻撃的な炎ではない、柔らかな温かさをまとっていた。
『はあい!貴方がフィンね。私は火の精霊フレイヤ。よろしくね』
フィンはリリーの契約精霊フレイヤにあいさつをし、自身の契約霊獣ブランを紹介しようとした。だがブランは機嫌が悪いようで、ツンッと顔を背けてしまった。困ったフィンはリリーとフレイヤにわびを入れた。リリーは気にしないでとしきりに言ってくれ、フレイヤはニヤニヤと意味ありげな笑いを浮かべていた。
フィンとリリーがいた最高学年のクラスメイトは全員で三十五名だった。昨日の召喚の儀式で精霊か霊獣と契約できた者は二十二名。召喚はできたが対価の折り合いがつかず、契約がご破算になった生徒が五名。その生徒たちは後日改めて召喚の儀式を執りおこない、新たな精霊か霊獣との契約を試みる事になる。だがそれ以外の生徒は召喚の儀式を行っても、精霊や霊獣に見向きもされなかったという事だ。そのためもう一年学校に残るか、はたまた退学するのかを迫られる事になる。
フィンは五年間世話になった学校の門を出ると、深々とお辞儀をした。そして自身の契約霊獣白猫のブランと共に新たなスタートをきった。フィンはブランに、先ほどのリリーたちに対する態度を注意した。
「ブラン、リリーは僕の唯一の友達だったんだよ?あんな態度は失礼じゃないか」
『彼女美人だわね?』
「ああ、美人で優しくてクラスの人気者だったんだ」
フィンはブランの返答が、てんで質問の答えになっていない事に目を白黒させながら答えた。ブランは機嫌悪そうに言った。
『フィンはリリーの事好きだったの?』
「うん、勿論」
ブランは目に見えてギクリと身体を震わせて、そしてこわごわというようにフィンを見上げて聞いた。
『・・・、恋愛感情って事?』
「ははっ。まさか!孤児の僕なんかが思いをよせていい相手なんかじゃないよ。彼女はいい所のお嬢さんなんだ。きっとしかるべき相手と結婚するんだろう。僕は彼女に勉強の面でも、クラスで浮いていた時も、いつも助けになってくれたんだ。僕の恩人なんだよ」
フィンは柔らかな笑顔でブランを見た。ブランは眉間にシワを寄せながら、深いため息をついて言った。
『まぁいいわ、そういう事にしておいてあげる。だけどフィン、いい事?これからはアタシだけを見ているのよ?他の女の子に目移りなんかしちゃダメよ!わかった?』
フィンはよくわからないブランの剣幕に、あわててうなずいた。するとブランは満足したようで、じゃあ許してあげる。と言った。
フィンたちは召喚士養成学校を後にして、森の中をひたすら歩き続けた。ブランがフィンに聞く。
『ねぇフィン、一体どこに向かっているの?』
「ああ言ってなかったね。これからこの国の王都に行こうと思うんだ。王都の冒険者協会で、冒険者の登録をしようと思ってね」
『フィンは冒険者になる事が夢だったものね』
「?、ブランに僕の夢を話したっけ?」
『!、ううん初めて聞くわ。ただそうかなって思っただけ』
フィンはとなりをついてきてくれるブランに微笑んで答えた。
「うん、僕は召喚士になって世界を冒険する事がずっと夢だったんだ。ブラン一緒に行ってくれる?」
『ええ勿論よ。貴方にずっとついていくわ。所で王都までどのくらいなの?』
「歩いて三日って所かな」
『三日?!そんなにかかるの?!』
「ブラン歩くの疲れる?それなら僕が抱っこしてあげる」
ブランはビクリと身じろいでから、照れたように言った。
『違うわよフィン、アタシが貴方を乗せてあげるわ』
ブランはそう言うと、ムクムクと大きくなった。小さかった白猫は、虎ほどの大きさになった。フィンは驚いてブランに聞いた。
「これはブランの魔法なの?ブランは土魔法の霊獣じゃないの?」
『ええ、アタシは土属性の霊獣よ、使うのは土魔法。フィンと同じ。だけど他にも沢山魔法が使えるの、だからフィンが困った事があったらなんでも言ってね?』
フィンは間近で見る霊獣の魔法に大喜びして、ありがとうと言った。ブランは得意そうにニャァッと鳴くと、フィンを背中に乗るようにうながした。
0
お気に入りに追加
771
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
断罪されているのは私の妻なんですが?
すずまる
恋愛
仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。
「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」
ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?
そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯?
*-=-*-=-*-=-*-=-*
本編は1話完結です(꒪ㅂ꒪)
…が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる