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雅樹の喜び
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「何?父上が亡くなられただと?!」
雅樹は嬉しさに顔がほころぶのを必死にこらえながら部下に聞いた。部下は低頭して答えた。
「はっ。蘭玉さまが婚姻の契約を解除された事により、正勝さまは術の代償で亡くなられました」
「・・・。そうか。至急葬儀の手配をしろ」
「はっ!」
部下が雅樹の部屋を出て行くと、雅樹はついにガマンの限界を超えて笑い転げた。
「あはは、ついに、ついに正勝が死んだ!あのもうろくジジイが死ねば、明神家は俺のものだ!」
やっとこの日がやって来たのだ。雅樹は父の正勝に見捨てられてから、父の死ばかりをひたすら望んでいた。だが正勝は百歳を越えてもまだ健在で、あり得ない事に妖狐との間に子供を作ってしまったのだ。
生まれた狐太郎は妖力も霊能力も強大だった。正勝はあろう事か、次男の狐太郎に明神家の跡を継がせると宣言した。
雅樹は激怒した。正勝が自身を後継と認めなかっただけでも許せないのに、新たな後継者を作ったのだ。
雅樹が何とかして狐太郎を亡き者にしようとしていたある日、ある事を耳にした。正勝が何故狐太郎を作ったのか、雅樹はずっと疑問だったのだ。正勝はあやかしを毛嫌いしていたからだ。
正勝は狐太郎を自分の魂が入る器として作ったのだ。これで納得がいった。だが同時に別の問題が持ち上がった。
正勝が狐太郎の身体に入ってしまえば、半妖の寿命により長生きをしてしまうだろう。そうなれば雅樹が明神家を継ぐ日は永遠に来ないだろう。
そこで雅樹は、狐太郎に正勝の計画を話したのだ。お前など父上の器にしかすぎないのだ、と。
聡い狐太郎はすぐに正勝の真意に気づいたようだ。狐太郎に正勝の計画を話せば、狐太郎も自身を守ろうと、正勝の意思には従わないだろう。
正勝が生きているうちは、狐太郎が生きているのは不安材料だったが、正勝が死んだ今となっては、狐太郎か生きていようが死んでいようがどうでも良くなってしまった。
雅樹が気分よく過ごしていると、廊下が騒がしくなった。雅樹は楽しい気分を邪魔されて、不機嫌にふすまを開けると、血まみれの部下が廊下に倒れていた。その後ろから弟の狐太郎と、巨大な狼になった狼牙がやって来た。
雅樹は恐怖のあまり悲鳴をあげながら叫んだ。
「こ、狐太郎!貴様、何しに来た!」
「何って、兄さんか明神家の新当主になったお祝いに来たんだよ」
雅樹は狐太郎の真意をはかりかねて、いぶかる表情をした。雅樹の心を読んだのだろう、狐太郎は笑って言った。
「含みはないよ?本心から兄さんの当主になったお祝いがしたかったんだ。俺にとっては明神家なんてどうでもいいからね?」
雅樹はすばやく頭をめぐらせた。確かに狐太郎が明神家の当主になったところで、狐太郎にメリットは特にない。雅樹はニヤリと笑って言った。
「狐太郎、俺が明神家の当主だと認めるというんだな?」
「ああ、さっきからそう言ってるだろ?だけどね、これだけは覚えておいてくれ」
狐太郎はそれだけ言ってから言葉を切った。狐太郎の手から、大きな狐火が出現した。雅樹は狐太郎の意図がわからず、ヒィッと小さな悲鳴をあげた。
狐太郎は狐火を、雅樹の座っている横にある文机に投げつけた。文机は瞬時に焼けてくずれ落ちた。狐太郎は厳しい声で言い放った。
「だけどね、兄さん。これだけは覚えておいて?もし俺の大切な、母さんとオルガ、狼牙。そしてあやかし学園の皆に傷一つつけてみろ。兄さんの机のように、跡形もなく消してやるからな?」
そこまで言うと、狐太郎はニッコリ笑って言った。
「言いたい事はそれだけだよ?じゃあ、兄さん。永遠にさようなら」
狐太郎は巨大な狼の狼牙の背中に乗ると、廊下から外に出て行った。
雅樹は自身の股間が濡れている事に気づいた。自分は失禁していたのだ。
雅樹は嬉しさに顔がほころぶのを必死にこらえながら部下に聞いた。部下は低頭して答えた。
「はっ。蘭玉さまが婚姻の契約を解除された事により、正勝さまは術の代償で亡くなられました」
「・・・。そうか。至急葬儀の手配をしろ」
「はっ!」
部下が雅樹の部屋を出て行くと、雅樹はついにガマンの限界を超えて笑い転げた。
「あはは、ついに、ついに正勝が死んだ!あのもうろくジジイが死ねば、明神家は俺のものだ!」
やっとこの日がやって来たのだ。雅樹は父の正勝に見捨てられてから、父の死ばかりをひたすら望んでいた。だが正勝は百歳を越えてもまだ健在で、あり得ない事に妖狐との間に子供を作ってしまったのだ。
生まれた狐太郎は妖力も霊能力も強大だった。正勝はあろう事か、次男の狐太郎に明神家の跡を継がせると宣言した。
雅樹は激怒した。正勝が自身を後継と認めなかっただけでも許せないのに、新たな後継者を作ったのだ。
雅樹が何とかして狐太郎を亡き者にしようとしていたある日、ある事を耳にした。正勝が何故狐太郎を作ったのか、雅樹はずっと疑問だったのだ。正勝はあやかしを毛嫌いしていたからだ。
正勝は狐太郎を自分の魂が入る器として作ったのだ。これで納得がいった。だが同時に別の問題が持ち上がった。
正勝が狐太郎の身体に入ってしまえば、半妖の寿命により長生きをしてしまうだろう。そうなれば雅樹が明神家を継ぐ日は永遠に来ないだろう。
そこで雅樹は、狐太郎に正勝の計画を話したのだ。お前など父上の器にしかすぎないのだ、と。
聡い狐太郎はすぐに正勝の真意に気づいたようだ。狐太郎に正勝の計画を話せば、狐太郎も自身を守ろうと、正勝の意思には従わないだろう。
正勝が生きているうちは、狐太郎が生きているのは不安材料だったが、正勝が死んだ今となっては、狐太郎か生きていようが死んでいようがどうでも良くなってしまった。
雅樹が気分よく過ごしていると、廊下が騒がしくなった。雅樹は楽しい気分を邪魔されて、不機嫌にふすまを開けると、血まみれの部下が廊下に倒れていた。その後ろから弟の狐太郎と、巨大な狼になった狼牙がやって来た。
雅樹は恐怖のあまり悲鳴をあげながら叫んだ。
「こ、狐太郎!貴様、何しに来た!」
「何って、兄さんか明神家の新当主になったお祝いに来たんだよ」
雅樹は狐太郎の真意をはかりかねて、いぶかる表情をした。雅樹の心を読んだのだろう、狐太郎は笑って言った。
「含みはないよ?本心から兄さんの当主になったお祝いがしたかったんだ。俺にとっては明神家なんてどうでもいいからね?」
雅樹はすばやく頭をめぐらせた。確かに狐太郎が明神家の当主になったところで、狐太郎にメリットは特にない。雅樹はニヤリと笑って言った。
「狐太郎、俺が明神家の当主だと認めるというんだな?」
「ああ、さっきからそう言ってるだろ?だけどね、これだけは覚えておいてくれ」
狐太郎はそれだけ言ってから言葉を切った。狐太郎の手から、大きな狐火が出現した。雅樹は狐太郎の意図がわからず、ヒィッと小さな悲鳴をあげた。
狐太郎は狐火を、雅樹の座っている横にある文机に投げつけた。文机は瞬時に焼けてくずれ落ちた。狐太郎は厳しい声で言い放った。
「だけどね、兄さん。これだけは覚えておいて?もし俺の大切な、母さんとオルガ、狼牙。そしてあやかし学園の皆に傷一つつけてみろ。兄さんの机のように、跡形もなく消してやるからな?」
そこまで言うと、狐太郎はニッコリ笑って言った。
「言いたい事はそれだけだよ?じゃあ、兄さん。永遠にさようなら」
狐太郎は巨大な狼の狼牙の背中に乗ると、廊下から外に出て行った。
雅樹は自身の股間が濡れている事に気づいた。自分は失禁していたのだ。
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