あやかし学園

盛平

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将来の職業

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 亜子たち女子は、早々に展望台の見学を終えて下降エレベーターに乗った。展望台からの眺めはとても素晴らしかった。だが亜子たちのお目当ては他にあったのだ。ウィングタワーの一階に建設されているショッピング施設だ。

 亜子たちはキャァキャァ言いながら、手近の雑貨のお店に入って行った。付き添いの雪奈が苦笑しながらついて来る。

 店内には沢山の雑貨が所狭しと並んでいた。ウィングタワーをキャラクターにしたキャラクター商品や、ウィングタワーの置物や記念品があった。

 中には外国人客をターゲットにした和小物もあった。その中に可愛いちりめんで作ったがまぐちがあった。亜子は桜色のがまぐちを手に取ってしげしげと眺めた。とても可愛い。亜子が値段を見て見ると、可愛くなかった。

 亜子はそっとがまぐちを陳列棚に戻した。別な商品を見ていた音子が戻って来て言った。

「亜子!来て!あっちに可愛いのがある!」

 亜子が音子について行くと、清姫も菊花もみなももそこにいた。そこはガラスの陳列ケースが並んでいた。きっとがまぐちよりも高価な商品が入っているのだろう。

 亜子はガラスケースの中を覗きこんでため息をついた。ケースの中には美しいジュエリーが並んでいた。大きなグリーンのエメラルドのペンダント。透き通ったブルーのサファイヤの指輪。真っ赤なルビーのイヤリング。

 土産物店に陳列されている宝石だから、おそらくイミテーションジュエリーだろう。だが中学生である亜子たちからすれば、憧れのジュエリーだ。

 亜子たちはうっとりとガラスケースの中を覗き込んでいた。清姫が、ダイヤのネックレスを見つめながら、つぶやくように言った。

「私、大人になったらいっぱいお金稼いで、本物のダイヤのネックレスを買うんだわ」
「清姫ちゃん、ダイヤのネックレスを買うの?!」

 清姫の発言に、亜子は驚いてたずねた。中学生の亜子にはわからないが、ダイヤのネックレスとはきっととても高価なのだろう。清姫は美しい笑顔を浮かべて亜子に言った。

「ええ。沢山お金を稼いで、きっと買うわ。私将来、菊花と一緒にキャバ嬢になるの」
「きゃばじょうって何?」

 亜子は清姫のなろうとする職業の意味がわからなくて質問した。質問には、菊花が答えてくれた。

「亜子ちゃん。私と清姫がなろうとしているのは、男の人にお酒の給仕をする仕事なの。綺麗なドレスを着て、お化粧もするのよ?」
「へぇ?綺麗なドレスが着られるんだ!素敵!でも、私もパパにビールを注いであげるけど、それが仕事になるの?」
「そうね。不思議だけどそういう仕事もあるのよ」

 亜子は菊花の説明に納得すると同時に、菊花も清姫も、将来の仕事の事まで考えているのだと知って驚いた。
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