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あやかしの恋
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亜子は舞台のそでて幕が上がるのを、かたずを飲んで待っていた。ゆっくりと幕があがり、観客席が見えた。座席の後ろに大きな父の姿が見えた。きっととなりには母が座っているのだろう。
舞台には小さな白ヘビがいた。これは清姫がヘビに変化した姿だ。反対の舞台そでから、子狼に変身した狼牙が現れた。狼牙は、白ヘビを見つけると、背後を振り返ってワンワンと鳴いた。続いて主人公である狐太郎が登場する。
狐太郎は猟師をなりわいとしている。狐太郎は狼牙に言った。
「どうしたんだ狼牙?そんなに鳴いて」
狐太郎は狼牙の視線の先に白ヘビがいる事に気づいた。
「ああ、白ヘビだ。ケガをしているな。よし、家に帰って手当てをしてやろう」
狐太郎は白ヘビを抱き上げた。
舞台が暗くなり、場面が変わる。狐太郎は自分の家でわらゾウリを作っていた。今は冬で獲物は獲れないのだ。冬の間はゾウリやミノがさを作っているのだ。囲炉裏の側では狼牙が丸くなって眠っている。
ヒュー、ヒュー。外は吹雪だ。吹雪の音は山彦が出している。狐太郎の家の戸を誰かが叩いた。家には美しい娘が入って来た。清姫だ。清姫は狐太郎に言った。
「道に迷ってしまい、難儀しております。どうか一夜の宿をおかしいただけませんでしょうか?」
「こんな吹雪の夜に。さぁ、囲炉裏の側へ」
狐太郎は清姫を囲炉裏の前まで案内した。狐太郎と清姫は、見つめ合って微笑んだ。
悟のナレーションがはいる。
「弥吉の元にやって来た娘は、吹雪が去っても、弥吉の家にとどまった。二人はやがて恋に落ち、めおとになった」
舞台が暗くなり、場面が変わる。いよいよ亜子の出番だ。亜子と音子とみなもは村娘として登場する。
亜子たちは、清姫演じるお清と川で洗濯をしていた。亜子はとなりで洗濯をしている清姫を見て言った。
「お清さんって美人よね?肌が雪のように白いわ」
清姫は亜子の言葉に、恥ずかしそうに顔を赤くする。亜子の言葉に音子とみなもも続く。
「本当にお清さんは綺麗。うらやましいわ」
「お清さんをお嫁にもらった弥吉さんは幸せ者ね」
亜子たちの賛辞に、清姫は恥ずかしそうに答える。
「そんな事ないわ。貴女たちだっで、若くて美しいわ?」
清姫の言葉に、亜子たちはキャアッと言って嬉しそうに笑った。
舞台は暗くなり、暗転する。
舞台には小さな白ヘビがいた。これは清姫がヘビに変化した姿だ。反対の舞台そでから、子狼に変身した狼牙が現れた。狼牙は、白ヘビを見つけると、背後を振り返ってワンワンと鳴いた。続いて主人公である狐太郎が登場する。
狐太郎は猟師をなりわいとしている。狐太郎は狼牙に言った。
「どうしたんだ狼牙?そんなに鳴いて」
狐太郎は狼牙の視線の先に白ヘビがいる事に気づいた。
「ああ、白ヘビだ。ケガをしているな。よし、家に帰って手当てをしてやろう」
狐太郎は白ヘビを抱き上げた。
舞台が暗くなり、場面が変わる。狐太郎は自分の家でわらゾウリを作っていた。今は冬で獲物は獲れないのだ。冬の間はゾウリやミノがさを作っているのだ。囲炉裏の側では狼牙が丸くなって眠っている。
ヒュー、ヒュー。外は吹雪だ。吹雪の音は山彦が出している。狐太郎の家の戸を誰かが叩いた。家には美しい娘が入って来た。清姫だ。清姫は狐太郎に言った。
「道に迷ってしまい、難儀しております。どうか一夜の宿をおかしいただけませんでしょうか?」
「こんな吹雪の夜に。さぁ、囲炉裏の側へ」
狐太郎は清姫を囲炉裏の前まで案内した。狐太郎と清姫は、見つめ合って微笑んだ。
悟のナレーションがはいる。
「弥吉の元にやって来た娘は、吹雪が去っても、弥吉の家にとどまった。二人はやがて恋に落ち、めおとになった」
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「本当にお清さんは綺麗。うらやましいわ」
「お清さんをお嫁にもらった弥吉さんは幸せ者ね」
亜子たちの賛辞に、清姫は恥ずかしそうに答える。
「そんな事ないわ。貴女たちだっで、若くて美しいわ?」
清姫の言葉に、亜子たちはキャアッと言って嬉しそうに笑った。
舞台は暗くなり、暗転する。
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