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新たなカリキュラム
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「俺は絶対嫌だね!やってられるか!」
山彦の声は教室内に響き渡った。亜子は耳をふさぎたい気持ちをおさえて黙っていた。
クラスメートの山彦が、何故こんなにも怒っているのかというと、担任の雪奈の発言が原因だった。
亜子たちが陰陽師に襲われた翌日、雪奈は唐突に言い放ったのだ。
「これから、狐太郎くんに講師になってもらい、皆さんに陰陽道を学んでもらいます」
クラスの生徒は皆驚きの声をあげた。中でも一番過剰に反応したのは、陰陽師嫌いの山彦だ。
山彦の反論に異を唱えたのは、音子だった。音子は手をあげてから立ち上がると、おずおずと口を開いた。
「あの、あたし狐太郎くんに陰陽道習いたい。昨日、あたしたち陰陽師に襲われたの」
音子の言葉にクラスメートたちは驚きの声をあげた。音子はクラス内が静かになってから再び口を開いた。
「敵の陰陽師たちは、あたしたち半妖の妖術を跳ね返したわ。あたし、また陰陽師に会った時に、対抗できるようになりたい」
音子の次に、狐太郎が席を立って発言した。
「音子の言う通り、陰陽師はあやかしや半妖の妖術に対抗する術を持っている。半妖なら陰陽師の術を知っていれば、それだけ対処の幅も広がるはずだ。学んでおいて損はない」
狐太郎の言葉に、人間の街へいかなければならない清姫と菊花も同調した。
クラスの皆は、山彦以外、陰陽道を学ぶ事に賛成した。雪奈は山彦に向かって微笑んで言った。
「山彦くん。私は無理強いはしたくありません。ですが、山彦くんは陰陽師に怨みを持っている。それなら、敵の手の内を知る事は大切ではないかしら?」
山彦は顔をしかめてから、ふしょうぶしょううなずいた。雪奈は山彦が了承したと見てとると、狐太郎に目配せした。狐太郎はうなずいて、教壇に立っている雪奈の横に立って言った。
「校長の命により、これから俺は皆に陰陽道を教える。だが俺は、皆も戦闘訓練の時に目にしていると思うが、陰陽師としてはひよっこだ。だから俺は昨日の二人の陰陽師に負けた。亜子と音子、狼牙がいてくれなけらば殺されていた」
狐太郎のショッキングな発言に、クラス内は静かになった。狐太郎はクラス内を見回してから言った。
「陰陽師は術を発動させる時、必ず呪文や手の動きがある。他に呪符の札を使用する。陰陽師が術をかける前に、相手を止める事ができれば、術をかけられる事はない」
「へっ。何だ、陰陽師なんてたいした事ねぇじゃねぇか」
山彦が憎まれ口をたたく。狐太郎は素早い動作で、胸元から札を取り出し、呪文を唱えてから山彦に投げつけた。札は山彦の胸にピタリとくっつくと、山彦はまるで石になってしまったかのように動きを止めてしまった。
クラスの女子たちはキャアッと悲鳴をあげた。狐太郎は、山彦の机に近づくと、胸の札をはがした。
山彦は顔を真っ赤にして叫んだ。
「狐太郎!テメェ、よくも俺に術をかけたな?!」
「山彦がぼんやりしているからだろう?俺が敵の陰陽師なら、お前は殺されていたんだぞ?」
山彦は悔しそうに黙った。
山彦の声は教室内に響き渡った。亜子は耳をふさぎたい気持ちをおさえて黙っていた。
クラスメートの山彦が、何故こんなにも怒っているのかというと、担任の雪奈の発言が原因だった。
亜子たちが陰陽師に襲われた翌日、雪奈は唐突に言い放ったのだ。
「これから、狐太郎くんに講師になってもらい、皆さんに陰陽道を学んでもらいます」
クラスの生徒は皆驚きの声をあげた。中でも一番過剰に反応したのは、陰陽師嫌いの山彦だ。
山彦の反論に異を唱えたのは、音子だった。音子は手をあげてから立ち上がると、おずおずと口を開いた。
「あの、あたし狐太郎くんに陰陽道習いたい。昨日、あたしたち陰陽師に襲われたの」
音子の言葉にクラスメートたちは驚きの声をあげた。音子はクラス内が静かになってから再び口を開いた。
「敵の陰陽師たちは、あたしたち半妖の妖術を跳ね返したわ。あたし、また陰陽師に会った時に、対抗できるようになりたい」
音子の次に、狐太郎が席を立って発言した。
「音子の言う通り、陰陽師はあやかしや半妖の妖術に対抗する術を持っている。半妖なら陰陽師の術を知っていれば、それだけ対処の幅も広がるはずだ。学んでおいて損はない」
狐太郎の言葉に、人間の街へいかなければならない清姫と菊花も同調した。
クラスの皆は、山彦以外、陰陽道を学ぶ事に賛成した。雪奈は山彦に向かって微笑んで言った。
「山彦くん。私は無理強いはしたくありません。ですが、山彦くんは陰陽師に怨みを持っている。それなら、敵の手の内を知る事は大切ではないかしら?」
山彦は顔をしかめてから、ふしょうぶしょううなずいた。雪奈は山彦が了承したと見てとると、狐太郎に目配せした。狐太郎はうなずいて、教壇に立っている雪奈の横に立って言った。
「校長の命により、これから俺は皆に陰陽道を教える。だが俺は、皆も戦闘訓練の時に目にしていると思うが、陰陽師としてはひよっこだ。だから俺は昨日の二人の陰陽師に負けた。亜子と音子、狼牙がいてくれなけらば殺されていた」
狐太郎のショッキングな発言に、クラス内は静かになった。狐太郎はクラス内を見回してから言った。
「陰陽師は術を発動させる時、必ず呪文や手の動きがある。他に呪符の札を使用する。陰陽師が術をかける前に、相手を止める事ができれば、術をかけられる事はない」
「へっ。何だ、陰陽師なんてたいした事ねぇじゃねぇか」
山彦が憎まれ口をたたく。狐太郎は素早い動作で、胸元から札を取り出し、呪文を唱えてから山彦に投げつけた。札は山彦の胸にピタリとくっつくと、山彦はまるで石になってしまったかのように動きを止めてしまった。
クラスの女子たちはキャアッと悲鳴をあげた。狐太郎は、山彦の机に近づくと、胸の札をはがした。
山彦は顔を真っ赤にして叫んだ。
「狐太郎!テメェ、よくも俺に術をかけたな?!」
「山彦がぼんやりしているからだろう?俺が敵の陰陽師なら、お前は殺されていたんだぞ?」
山彦は悔しそうに黙った。
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