あやかし学園

盛平

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スイーツ

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 亜子たちは雪奈たちと合流し、スイーツ店に向かった。その店はパンケーキの専門店で、フルーツやクリームをふんだんに使った見た目にも可愛いスイーツだ。

 休日な事もあり、人気スイーツ店は混み合っていた。亜子たちは長い時間を待ってから、席に案内された。亜子はいちごのパンケーキを頼んだ。真っ赤でつややかないちごがパンケーキとホイップクリームの上にふんだんに乗っていた。

 クリームは見た目ほど甘すぎず、いちごと一緒に食べると甘酸っぱかった。とても美味しかったが、母親の作ったパンケーキの次に美味しいと思った。

 スイーツを食べ終わった後、清姫と菊花はもっとショッピングをしたいと雪奈にただをこねた。雪奈はあごに人差し指を当てながら、そうねぇと呟いた。

 それまでぽやんとした顔をしていた雪奈の顔が突然厳しくなった。雪奈は低い声でするどく言った。

「皆!後ろを振り向かないで!ゆっくりと歩き続けて」

 亜子たちは訳が分からず、目を白黒させながら歩き続けた。雪奈はハンドバッグからスマートホンを取り出し、どこかに電話をした。

「さぁちゃん?お姉ちゃん、そろそろ帰るわ?待っていて?」

 雪奈は手早くスマートホンをしまうと、亜子たちをうながし、ショッピングモールを離れ、遊歩道まで歩いた。遊歩道の終わりの角を曲がると、目の前に異空間の出入り口が出現していた。

 雪奈は亜子たちを急かして異空間の中に入らせた。異空間の先は、あやかし学園の結界内である草原に変わっていた。

 きらびやかな街中から、突然のどかな緑の平原に出て、亜子はほうっと息をはいた。清姫と菊花は不満そうだったが、普段の調子に戻った雪奈が優しく諭していた。

「皆さん、街に行くのはまた今度。だけど決して学生だけでは行かない事。必ず私が付き添います。いいですね?」

 雪奈の真剣な表情に、亜子たちはうなずいた。女子寮に戻る時、音子は不思議そうに言った。

「さっきの雪奈先生、何か変だったね」
「そうなのよ。これまで街に行くのは私と菊花の二人で行っていたの。だけど最近は、必ず雪奈先生が付き添っているの」

 音子の質問に、清姫がうなずいて答えた。菊花もうなずいて言った。

「雪奈先生、何かに警戒していたみたい」
「警戒?何か危険な事があったのかなぁ」

 菊花の不安に、みなもがあっけらかんと聞いた。亜子たちは不安もあったが、次第にきらびやかな街の楽しさを思い出し、話しに花がさいた。

 夕食の後、亜子は左手の中指にガラスの指輪をはめてながめた。

 綺麗。亜子はため息をついた。亜子の座っているベッドのとなりに座った音子が、自分も指輪をはめて亜子に見せた。

 音子の指輪は、黄色とオレンジに輝いていた。音子は嬉しそうに言った。

「亜子の指輪も綺麗。この指輪、亜子とみなもちゃんとおそろい。あたしの宝物」
「うん。私、この指輪大切にする!」

 亜子は音子と、また街に行こうと約束してからベッドに入った。亜子はこんな穏やかな日常が続くと思ってうたがわなかった。


 
 

 
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