8 / 91
リーダー
しおりを挟む
亜子は狼牙を連れて、自分のグループに向かった。三人のメンバーは、河童の半妖の大沼河太郎。河太郎は小柄の優しげな少年だ。やまびこの半妖の小峠山彦。山彦は身体が大きくて、きびしい表情の少年だ。最後はうわばみの半妖の石鐘清姫。清姫は長い黒髪の美しい少女だ。亜子と同い年の十三歳とは思えないくら色っぽい。
亜子は同じグループの仲間を見てある事に気がついた。このグループ分けは、仲の良い者たちを引き離したグループなのだ。
亜子は友達の音子と離され、狼牙は狐太郎と離された。河太郎は幼なじみの人魚の海野みなもと分けられ、山彦は同郷のさとりの十和田悟と分かれた。清姫は友達の鬼蜘蛛の依網菊花と離された。
担任の雪奈がパンパンと手を叩く。皆雪奈に視線を向けた。雪奈は皆が静かになったのを見てから口を開いた。
「これからグループのリーダーを発表します」
亜子はグループのリーダーは山彦ではないかなと思った。リーダーというものは、男子がやるものだと思っていた。それも強い男の子。狼牙と河太郎は少し頼りなさそうなので、山彦が適任だと思っていた。だが雪奈はとんでもない発言をした。
「グループのリーダーは、狐太郎くん。亜子さんにやってもらいます」
狐太郎はすぐさま席を立ち、黙礼した。狐太郎のグループの者たちは手を叩いて賛同している。
亜子はぼう然としていた。普通の女の子である亜子が半妖同士の戦闘訓練のリーダー。あまりの重い責任に亜子は震える声で雪奈に言った。
「先生、グループのリーダーなんて私には荷が重すぎます」
今にも泣き出しそうな亜子に対して、雪奈は笑顔で答えた。
「校長先生の意見は絶対です」
亜子がぐったりとうなだれていると、清姫が亜子の肩にポンと手をおいて言った。
「亜子ちゃん。そう構えないで大丈夫よ?皆貴女に協力するわ。ねぇ?」
清姫は残りのメンバーを見た。山彦と河太郎と狼牙はうなずいてくれた。山彦が少しきつい口調で亜子に言った。
「亜子!決まっちまった事は仕方ねぇ。俺たちがお前をフォローする。大船に乗ったつもりでいろ!」
「そぉだぞ。オラたちもがんばるぞ」
「亜子、リーダー」
山彦の言葉に、河太郎も狼牙も続いてくれた。亜子はホッと息をはいて、気持ちを切り替えた。決まってしまったものは仕方がない。亜子はグループのリーダーをやりとげなければいけないのだ。
亜子は同じグループの仲間を見てある事に気がついた。このグループ分けは、仲の良い者たちを引き離したグループなのだ。
亜子は友達の音子と離され、狼牙は狐太郎と離された。河太郎は幼なじみの人魚の海野みなもと分けられ、山彦は同郷のさとりの十和田悟と分かれた。清姫は友達の鬼蜘蛛の依網菊花と離された。
担任の雪奈がパンパンと手を叩く。皆雪奈に視線を向けた。雪奈は皆が静かになったのを見てから口を開いた。
「これからグループのリーダーを発表します」
亜子はグループのリーダーは山彦ではないかなと思った。リーダーというものは、男子がやるものだと思っていた。それも強い男の子。狼牙と河太郎は少し頼りなさそうなので、山彦が適任だと思っていた。だが雪奈はとんでもない発言をした。
「グループのリーダーは、狐太郎くん。亜子さんにやってもらいます」
狐太郎はすぐさま席を立ち、黙礼した。狐太郎のグループの者たちは手を叩いて賛同している。
亜子はぼう然としていた。普通の女の子である亜子が半妖同士の戦闘訓練のリーダー。あまりの重い責任に亜子は震える声で雪奈に言った。
「先生、グループのリーダーなんて私には荷が重すぎます」
今にも泣き出しそうな亜子に対して、雪奈は笑顔で答えた。
「校長先生の意見は絶対です」
亜子がぐったりとうなだれていると、清姫が亜子の肩にポンと手をおいて言った。
「亜子ちゃん。そう構えないで大丈夫よ?皆貴女に協力するわ。ねぇ?」
清姫は残りのメンバーを見た。山彦と河太郎と狼牙はうなずいてくれた。山彦が少しきつい口調で亜子に言った。
「亜子!決まっちまった事は仕方ねぇ。俺たちがお前をフォローする。大船に乗ったつもりでいろ!」
「そぉだぞ。オラたちもがんばるぞ」
「亜子、リーダー」
山彦の言葉に、河太郎も狼牙も続いてくれた。亜子はホッと息をはいて、気持ちを切り替えた。決まってしまったものは仕方がない。亜子はグループのリーダーをやりとげなければいけないのだ。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【完結】生贄娘と呪われ神の契約婚
乙原ゆん
キャラ文芸
生け贄として崖に身を投じた少女は、呪われし神の伴侶となる――。
二年前から不作が続く村のため、自ら志願し生け贄となった香世。
しかし、守り神の姿は言い伝えられているものとは違い、黒い子犬の姿だった。
生け贄など不要という子犬――白麗は、香世に、残念ながら今の自分に村を救う力はないと告げる。
それでも諦められない香世に、白麗は契約結婚を提案するが――。
これは、契約で神の妻となった香世が、亡き父に教わった薬草茶で夫となった神を救い、本当の意味で夫婦となる物語。
パーフェクトアンドロイド
ことは
キャラ文芸
アンドロイドが通うレアリティ学園。この学園の生徒たちは、インフィニティブレイン社の実験的試みによって開発されたアンドロイドだ。
だが俺、伏木真人(ふしぎまひと)は、この学園のアンドロイドたちとは決定的に違う。
俺はインフィニティブレイン社との契約で、モニターとしてこの学園に入学した。他の生徒たちを観察し、定期的に校長に報告することになっている。
レアリティ学園の新入生は100名。
そのうちアンドロイドは99名。
つまり俺は、生身の人間だ。
▶︎credit
表紙イラスト おーい

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。

ニンジャマスター・ダイヤ
竹井ゴールド
キャラ文芸
沖縄県の手塚島で育った母子家庭の手塚大也は実母の死によって、東京の遠縁の大鳥家に引き取られる事となった。
大鳥家は大鳥コンツェルンの創業一族で、裏では日本を陰から守る政府機関・大鳥忍軍を率いる忍者一族だった。
沖縄県の手塚島で忍者の修行をして育った大也は東京に出て、忍者の争いに否応なく巻き込まれるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる