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戦闘スーツの破壊

戦闘スーツ破壊未遂作戦

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爆破で粉々になったと思われる青山の身柄は、作戦勝ちで、爆発のホログラフィ映像に隠され、軽傷を追っただけで、無事だった。僕は、軽い青山の傷の手当をした。
「青山さん、でも、あの映像はショックになりますね。」
「どう?」
青山は、僕の感想に興味深く聞き入った。
「何だか、トラウマになりそうです。」
僕が、素直に答えると、
「そっか。大丈夫、これからも、あんな爆発で死ぬことは、絶対ねえよ。」
青山は、僕を安心させるように答えた。

一方、ギャングスターを二人倒したと思い込んだ犯人の男は、戦闘スーツ破壊の様子を、自ら撮影した映像を頼りに、分析していた。映像の様子では、イエローギャング、ブルーギャング共に、胸の辺りから発火しているように見えた。

ギャングスターと僕は、多摩地区で黄島の治療に当たっている病院に集まった。
「黄島さんの様子は、どうですか?」
僕が、野々宮に心配そうに尋ねると、
「命には別状はねえらしい。様態も安定してるらしくて、明日にでも動けるようになるみてえた。」
と、野々宮は答えた。
「でも、戦闘スーツがあんなに破壊されてるのに、身体を守れるくらい優れているんですね。」
僕は、以前からギャングスターの格好には好奇心を抱いていたが、戦闘スーツの科学的な効果などを垣間見れるとは、思ってもいなかった。

その後、野々宮と青山は、病院の近くにある仮のアジトに身を置き、黄島とはブレスレットの通信を使いながら、ギャングスターの作戦を練った。
「あとは、俺が狙われるだけか…。」
野々宮は、自らの闘いを暗示した。白馬が制作したホログラフィの映像は巧妙で、戦闘スーツの同じ場所から発火するような映像になっていたのだ。しかし、野々宮が同じ作戦で迎え撃つと、逃げることは出来るが、男を逮捕することまでは出来ないことに気付かされた。
「青山、俺が着るスーツ、胸に小型爆弾を仕掛けるとか出来ねえか?」
「どうするんだ?」
青山は、野々宮の提案を深堀りした。
「俺がやられる振りをして、奴に隙を与えるところを取り押さえられねえかと。」
「そっか。やっぱり、それしかねえか。」
実は、青山も同じ作戦を考えていたのだ。
「どうだ?俺と青山は、破壊されたスーツで現れるのは?」
黄島も、男を陥れる取っておきな作戦を伝えた。

その頃、シンガポール支局では、ギャングスターからの情報を元に、東京に身柄を潜める犯罪者の情報を特定した。すると、一ヶ月ほど前に、多摩地区に近いある街に移住してきた、出身地不明な人物が割り当てられた。

情報は、直ぐにギャングスターの元にも届いた。
「今の住居は、府中という街にあるのか。よし、俺が先回りして、迎え撃とう。」
野々宮は、府中市へ向かう準備をした。青山と黄島も、破壊されたスーツに身を包み、迎え撃つ準備を整えた。
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