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夢を操る犯罪

例えば僕が死んだら

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その時、事件は既に動こうとしていた。
「出来た、ドリームマシン。これで、ギャングスターを一気に葬り去ってやる。今に見てろ。」
その人物は、宇宙の科学者で、人の夢を操る装置を作り上げた。そして、その機械を使って、ギャングスターに刃を向けようとしていた。

「不味い、青山、メカがやられた!」
「くそ!制御不能!」
ブルーギャングとイエローギャングは、敵を前に戦闘スーツを破壊され、メカから投げ出された。
「はっ!?」
その時、青山と黄島は、同時に目を覚ました。
「大丈夫か?汗まみれだぞ?」
野々宮が、その様子を心配そうに見ていた。
「青山さん、黄島さん。これ飲んで、ゆっくりしてください。」
僕も、カルピスを準備して、青山と黄島に渡した。

一方、宇宙の科学者の犯行は、既に動いていた。そのターゲットとして、僕が選ばれたらしく、僕は、外部で不思議な体験をした。それは、僕が飲んだ缶ジュースの中に入っていたらしく、家に帰るまでは、何もなく過ごした。

しかし、夜の寝静まった頃。僕は、突然の胸の痛みで、眠れなくなった。
「剛史、どうした?」
僕の様子に気付いてくれたのは、青山だった。青山は、昨夜僕がやった様に、カルピスを持ってきた。
「どうだ?眠れそうか?」
野々宮と黄島も、心配そうに僕に覗き込んだ。
「眠れると思うけど、何だか、胸が痛くて…。」
「そっか。明日、俺が病院に連れてってやろう。」
青山が、そう言って僕を安心させてくれた。

翌日、僕は、青山と一緒に病院へ向かった。その頃、野々宮たちの事務所に、宇宙警察からの通達が来た。
「新たな事件か?」
それは、宇宙から未確認な物質が送り込まれたという内容だった。そして、その物質は、地球上では猛毒となることが知らされた。
一方、青山は、病院で僕の診察の結果を知らされた。
「もしかして、癌細胞が!?」
医師からの話によると、僕の体内に癌細胞と思われる物質があるかも知れないと教えられた。そして、精密検査のため、暫く入院と聞かされた。

青山は、何も知らない僕の前にやってきた。
「…剛史、検査のために、暫く入院らしいんだ。」
「入院?僕、そんなに悪いのか?」
僕の言葉に、青山は黙ってしまった。
「青山さん?」
僕が、青山に話しかけると、青山は、突然僕を抱きしめた。
「俺、お前を失いたくない。でも、俺にはどうにも出来ねれんだ。」
僕は、青山の号泣する姿を見て、すぐに僕の様態を察した。でも、
「青山さん、心配するなよ。とりあえず、今は生きてるんだし、あとのことは、これから考えれば。」
と、僕は、青山を説得した。青山が抱いた時の温かな胸が、僕の耳元から離れなかった。その間に、ブレスレットに野々宮からの連絡が入っているようであった。
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