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路線バス爆破予告

黄島の赤い近鉄バス

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翌日。その日は、ちょうどバスの日だった。
危険物取締違反の犯人は、犯行を行うべく、阪急の石橋阪大前駅を降りた。そして、茨木行きの阪急バスに乗り込み、カードに忍ばせた、小型の時限爆弾を置いた。

バスは、定刻通り茨木駅に着いたが、犯人は、そのバスが直ぐに回送で営業所に戻ったことには、気付かなかった。

茨木駅では、黄島がバスの運転手に扮して運行される、河内松原駅行きの近鉄バスが停まっていた。
「すみません。河内松原駅まで、行きますか?」
犯人が、黄島に確認すると、
「行きますよ。」
黄島は、ギャングとは思えない礼儀正しい態度で、犯人を迎え入れた。車内では、僕も乗客の振りで乗っていた。これこそ、青山がおとりサイトで紹介した、おとり用の近鉄バスだった。
僕は、犯人の様子をさり気なく伺った。すると、カードのような時限爆弾を、阪急バスに設置した時と同じように、座席の隅に置いた。

茨木から河内松原までは、かなり距離があったため、黄島の運転でも数時間掛かった。そして、河内松原駅に着き、犯人が降りていくと、僕は、怪しく伺ったカード型の爆弾を除去した。そして、野々宮の指示通りに、阪急バスの茨木営業所に連絡して、犯人が乗って、安全のために回送した路線バスから、同じように設置された爆弾を除去して貰った。

犯人は、最後の爆弾を仕掛けるべく、堺東駅行きの南海バスに乗り込んだ。その後ろから、青山が、乗客の振りをして同じ南海バスに乗り込んだ。

堺東駅。犯人が、バスから降りようとすると、犯行が成功したと思い、心の中で笑みを浮かべた。しかし、
「おい、忘れ物だそ?」
青山が、カード型の爆弾を、犯人の前に見せた。犯人は、抵抗したが、青山はブルーギャングに変身して、応戦した。犯人は、犯行がバレたことを知り、バスの運転手にナイフを向けた。
「犯行を知った以上は、ここの乗客も道連れだ!」
そして、犯人は、ブルーギャングも含めて南海バスに盾籠った。

僕は、南海バスの様子を見て、
「なかなか、動きがないですね。」
と、野々宮、黄島と一緒に、青山の行方を心配した。

僕は、南海バスに近づいた。すると、犯人が突然降りてきて、僕を人質にした。
「貴様、何者か知らないが、俺の犯行を妨害した以上、生かしてはおかんぞ。」
そして、犯人は、僕を道連れに、裏道へ入った。

裏道では、変身したブルーギャングが、僕を庇いながら、犯人に銃を向けていた。
「貴様!武器を捨てろ!仲間の命はないぞ。」
ブルーギャングは、僕が殺されるのを恐れ、武器を捨てた。
「貴様らには、誤算だったようだが、そのカード型の爆弾の他に、もうひとつ装置をセットしたことには、気付かなかったようだな?間もなく、その装置で営業所や路線バスが、吹っ飛ぶぞ!」
犯人は、そう言って、高らかに笑った。果たして、犯人がセットした装置とは?ギャングスターにとって、誤算があるかのように見えた。
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