僕とギャングスターの大冒険

宇宙忍者

夢と現実の狭間

それから、ギャングスターは、再び宇宙警察の基地へ呼ばれた。
「諸君、よくやってくれた。実は、地球は犯罪者に狙われやすい星と位置づけられたんだ。そこで、暫く君たちの力を貸して欲しいと思ってる。」
野々宮は、
「俺たちには、全国統一の野望があるんだ。」
と言った。しかし、青山が、
「良いじゃねえか。警察の力を手に入れたってことは、ある意味、野望達成じゃねえか？」
と助言した。
「そっか。それなら、次の野望を考えねえとな！」
黄島も、青山の意見を尊重すると、野々宮も折れ、宇宙警察の一員として続けることを決めた。

僕は、海賊の一件が終わり、自分の元へ帰されると思っていた。
「お前は、どこから来たんだ？」
野々宮が、僕に尋ねた。
「東京から。だから、帰らないと。」
僕は、野々宮たちには迷惑をかけられないと思い、わざと帰る素振りを見せた。
「ご両親が、心配してるかもしれない。電話してみたらどうだ？」
両親…。実際には、僕が社会人だった頃に、五年前に他界していた。しかし、例えば、これがタイムスリップなら、両親はいるかも。そう思った僕は、覚えている自宅の番号をダイヤルした。しかし、
「おかけになった電話番号は、現在使われておりません。」
なんと、いないどころか、自宅の存在さえもなかった。僕は、
「…実は僕、皆さんにお会いする前は、社会人として生活してたんです。」
と、正直なところを説明した。すると、青山が、
「それは、お前の夢の世界だったんじゃねえか？だって、お前は、今ここに生きてるじゃねえか？俺も、病気で死ぬ夢を、一度見た事あるしな。」
と、不思議な体験談を話した。
「俺は、巨大なロボットに突進して死ぬ夢を見たな。」
「俺は、青山に殺された夢をな。」
三人は、共通して死ぬ夢を見ていたと言った。しかも、その夢では、皆既にギャングスターとなって、全国統一の野望を抱き、お互いに繋がりのある夢を見ていたという。
僕は、想像した。もし、今の世界が、死後の世界であるとしたら…。しかし、考えると疲れてしまいそうだったので、今の世界を受け入れ続けることにした。
「そんで、要するに、お前の帰る場所がねえんだろ？だったら、ずっと俺たちのそばにいれば良いじゃねえか？」
野々宮が、僕に優しい言葉をかけた。
「そうさ。ずっと、俺たちをサポートしてくれよ。」
青山も歓迎し、黄島も首を縦に振った。僕は、新たな家族を持った気持ちになって、嬉しくなった。
「僕、剛史です。」
そして、僕は、初めて三人に自己紹介した。

その頃、新たな宇宙の侵略者が、地球に向かっていた。
「この星は、我らが宇宙忍者が支配するのだ！」
それは、忍者の力を手に入れた、犯罪組織だった。宇宙忍者は、手始めに、忍者の実績のある日本を狙った。ギャングスターは、まだその影には、気づく術もなかった。