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レッドギャング、脱退

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黒幕・野々宮の父は、チューブマンが身柄を確保し、病院へ運ばれた。しかし、野々宮の父は、意識を戻すことなく、最期の時を迎えた。

父の死は、野々宮の元にも伝えられた。
「親父、俺は、どうすれば…。」
野々宮の困惑は、収まることがなかった。
「野々宮、この先、俺たちはどうしていくつもりだ?」
黄島は、野々宮の思惑を心配した。すると、
「俺の野望は、間違っていたのかもしれない。俺は、この辺りで、組織を解散しようと思っている。」
と、野々宮は、素直な気持ちを伝えた。
「野々宮、ふざけるな!」
青山は、野々宮の言葉に苛立ちを覚え、野々宮の胸ぐらをつかみ、力一杯に野々宮の顔を殴った。
「俺は、野々宮の情熱に憧れたんだ。東京の征服の夢、俺も追いかけたかった。それが、このザマだ。野々宮が足を洗うなら、俺は、一人でも野望をやり遂げる。」
青山の情熱を感じた黄島は、
「青山、俺も、お前について行くぜ。」
と、青山に味方した。

青山と黄島は、野々宮を追い出し、チューブマンの弱点を調べた。
「東京戦隊の力の源は、やはりロボに装着されたメダルのようだ。」
青山は、強化メダルを奪還する方法を考えた。野々宮は、青山たちに隠れ、様子を伺った。
(青山、黄島。俺は、お前らの野望を裏切りたくねえ。でも、どうすれば…。)
野々宮は、青山たちの野望に応えたいと、改めて感じた。そして、チューブロボに装着されている、強化メダルを奪還する手段を考えた。

その頃、チューブレッドは、チューブロボと同じ威力を発揮するメカを開発していた。そして、6番目の戦士である、チューブバイオレットになれる人物を探し始めていた。

結果的に、ギャングスターを脱退する形になった野々宮は、新しい生き様を探すために、東京の街をさまよった。すると、チューブマンと思われる制服を着た男と、街中で遭遇した。
「お前は、悪党の!?」
男は、野々宮の姿を見つけ、警戒した。
「ってことは、やはり貴様は、チューブマンの隊員だな?」
野々宮も、男・チューブマンのメンバーを恐れた。チューブマンは、野々宮が悪を働かせようものなら、すぐにでも戦闘に入れる準備をした。
「おい、待て。俺は、今は闘うつもりはない。」
野々宮は、話を続けた。
「俺は、東京を支配することだけを思い描いていた。だが、それは大きな間違いだった。俺の野望のせいで、ブルーギャングとイエローギャングまでもを仲間にしちまった。俺は、この手でギャングスターを壊滅させねば。」
チューブマンは、野々宮が足を洗ったと思い込んだ。
「それなら、俺たちの仲間にならないか?実は今、6番目の戦士を探しているところだったんだ。」
野々宮は、チューブロボに装着された、強化メダルを奪還するチャンスだと感じた。しかし、チューブマンの前では、正義のフリをして振舞った。

それから、野々宮は、東京戦隊の基地に案内された。そして、6番目の戦士としての装備を教わった。
「俺たちは今、チューブロボと同じ力を持つメカを開発しているんだ。」
野々宮は、メカに装着された、チューブロボと同じタイプの強化メダルに目が止まった。
「あのメダルは?」
「東京戦隊強化メダルだ。あのメダルからパワーを受けて、メカの力を強化させるんだ。そして、このメカは、俺たち5人が揃わなくても、一人でも操縦できるように調整しているんだ。」
野々宮は、チューブマンに味方することで、野望に近づけると確信した。そして、
「チューブマン、お願いだ。俺も、チューブマンの一員として、闘わせてくれないか?残った悪党、二人を倒すためにも。」
野々宮は、野望に気付かれない口調で、チューブマンに味方する決心を伝えた。チューブマンは、野々宮に変身アイテムにもなる、通信機を渡した。
「今日から、お前は東京戦隊の一員だ。チューブマンとして、力を貸してくれ。」
何も知らないチューブマンは、野々宮を受け入れる体制を整えた。
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