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悪と正義、東京に現る

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東京の街。ここでは、不良でしか生きられない野々宮が、幼い頃から悪事を働かせては、警察に補導される日々を過ごしていた。そして、18の頃から、ヤクザとしての生活を送っていた。

ある日、野々宮は、とあるコンビニで別のチンピラに因縁をつけた。
「おい、俺様に楯突くとは、いい度胸だな。表に出ろ!」
そして、裏道に導き、正に喧嘩が始まろうとしていた。しかし、優勢だったのは、野々宮に因縁をつけられたチンピラの方だった。チンピラは、野々宮の腹を蹴り、顔面を叩きつけた。
「グオッ!」
野々宮は、チンピラに負け、床にしがみついた。
「喧嘩を売る割には、弱えんだな!?」
チンピラは、野々宮に止めの蹴りを入れると、警察に見つからないように去っていった。
野々宮は、暴力の痛みに苦しんだ。そこへ、
「大丈夫か?」
黒いスリーピーススーツに身を包んだ、黒幕が現れた。野々宮は、黒幕を睨み、チンピラと同じように因縁をかけようしたが、傷の痛みに耐えられず、床に崩れこんだ。
「こいつを、お前に授ける。あとは、お前次第だ。」
黒幕は、そう言ってひとつのブレスレットを渡し、すぐに去っていった。野々宮は、傷の痛みに耐えることで精一杯だったが、なんの躊躇いもなく、そのブレスレットを腕に着けていた。

翌日。野々宮は、傷に耐えながら、自力で自宅に帰っていた。そして、そのタイミングでブレスレットをじっくり観察した。
「このスイッチは?」
野々宮は、ブレスレットのメインスイッチと思われる部分を押した。すると、一瞬で赤い悪党に変身した。
「何だ、これは?」
野々宮は、夢を見ていると思った。その姿は、幼い頃に見た、戦隊ヒーローのようにも感じた。
ブレスレットを観察すると、野々宮が思い描く、悪の策略を推し進めるために使えそうなメニューが、いろいろ装備されていた。そして、
「フフッ、こいつは、面白いな。」
野々宮は、その姿で東京の街を支配することを思いついた。

野々宮は、早速ブレスレットの力を使い、悪のリーダー・レッドギャングを名乗り、東京の街に躍り出た。そこへ、
「待て!俺たちが許さない!」
野々宮が、声がする方を振り向くと、別の正義の戦隊ヒーローが、姿を表した。
「炎の戦士・チューブレッド!」
「水の戦士・チューブブルー!」
「大地の戦士・チューブブラック!」
「風の戦士・チューブグリーン!」
「花の戦士・チューブホワイト!」
「東京の平和を守る!東京戦隊チューブマン!」
野々宮は、思いもよらない邪魔者に、戸惑った。
「チューブマン?聞いてねえぞ、正義のヒーローが出てくるなんて。戦闘兵、出動!」
野々宮は、ブレスレットの装備のひとつ、ロボットで出来た戦闘兵を、チューブマンと闘わせた。しかし、チューブマンは、個人武器を駆使して、戦闘兵は全滅された。
「一気に決着を付けてやる!チューブバズーカ!」
チューブマンは、個人武器を合体させて、バズーカ砲を野々宮に向けた。野々宮は、盾を出して身を守った。
「おのれ、今回はこの程度で見逃してやる。だが、次は容赦しない!覚悟しろ!」
野々宮は、そう言ってチューブマンの前から去った。

野々宮は、チューブマンに対抗するには、悪側も人数を揃えるべきと考えた。そこへ、再び、黒幕が現れた。そして、野々宮が装着したものと、同じブレスレットが、あと2つ渡された。
「この世の中は、正義も悪も、同じこと。お前の幸運を祈る。」
野々宮は、黒幕の正体が気になった。しかし、まずはブレスレットを装着できる、あと2人の悪党を探すことを先に考えた。
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