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お互いの街へ帰るとき

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青山と黄島は、ボロボロになった身体を震わせ、海岸の近くでもがき苦しんだ。
「うっ、ぐはっ!」
特に、青山は、持病の発症で吐血までしていた。
「うっ、あ、青山!?大丈夫か?」
黄島は、傷だらけの身体を無理に起こし、弱まった青山を抱え上げた。
「き、黄島、すまねえ。じ、実は、俺、あと数日の命だったんだ…。」
黄島は、かつてのギャングスターのリーダー・野々宮が死んだ時の感触を思い出した。そして、青山の口を、そっと塞いた。
「もう、何も言うな。俺には、分かってた。大丈夫。一人で死なせねえ。」
黄島は、そう伝えると、青山をおぶって、再びギャングスターのメカに乗り込んだ。そして、メカを発信させた時、青山と黄島を乗せたまま、メカは爆破した。

その様子を見ていた御堂筋は、
「悪党同士にも、友情の心があったんやな?」
と、呟いた。函館も、
「ああ、そうだな。」
御堂筋の意見に共感した。

 そして、戦士たちは、素顔の姿に戻り、それぞれの街へ帰る準備をした。
「あの街で食べはったジンギスカン、ホンマめっちゃ旨いねん。」
堺筋が、東の店で食べたジンギスカンの話をすると、
「何や?ジンギスカンって。」
と中央が、不思議そうに聞き返した。
「御堂筋さんとこのお好み焼きも、美味しかったよな。」
豊が、御堂筋の店で食べたお好み焼きの話をすると、
「御堂筋の店より、俺のとこの方が、もっと旨いで。」
千日前が、自慢気に自分の店を推した。
「また時間つくって、いつでも大阪に遊びに来てや!」
御堂筋が、函館たちが来るのを待ちわびた。
「ああ、御堂筋さんたちも、北海道はいい場所だから、きっとまた来てくれ!」
函館も、御堂筋たちが遊びに来るのを、楽しみにした。そして、御堂筋たちと函館たちは、それぞれ自分の街へ戻っていった。

あれから、青山や黄島のように、地球の人間が悪となって平和を乱すようなことはなかった。それは、ナニワレンジャーとカムイレンジャーが、それぞれの街に住みながら、地球の平和を守っているからであった。そして、東京の街にも平和が訪れた世の中で、ナニワレンジャーとカムイレンジャーは、永遠の平和を願って止まなかった。
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