16 / 29
after 未来へ
季節は、巡る。
しおりを挟む
-3年後-
俺は無事に高校を卒業した。
いつぶりだろうか、ここに来るのは。
覚えているだろうか。
船が進む。
この3年。苦しいことは色々あった。
時には逃げ出したくもなった。
でも、案外楽しかった。
俺は変われたのかもしれない。
今ではこの島は冬に桜が咲くという都市伝説が広がり、観光地となっている。
広めたのは1人の老人だとか。真相は分からないが。
おかけで船は混んでいる。
「年頃じゃの」
おじいさんが話しかけてきた。
「あなたもこの島へ?」
「ふぉふぉ、そんな所じゃ。」
懐かしい…。のだろうか。
俺は笑っていた。
おじいさんはもう居なかった。代わりに桜の花びらが1枚落ちていた。
「桜…か。」
冬のはずなのに、桜が散っている。
あと時、舞っていたのは紙の桜。だったはず。
もしかしたら、本当に来てたのかもしれない。
あの冬、色んな奇跡が起きた。
俺は忘れない。
この思い出を。
船が着く。
「真琴ぉ、ひさしぶりだなおぃ。」
蒼太だ。
賢人も奏もいる。
みんな覚えててくれた。
俺たち4人で、また新しい季節が始まる。
4人?
ふと、空を見上げる。
みんなも見る。
桜の花びらが1枚降ってきた。
何故だろう、涙が出てきた。
理由は分からない。
でも、分かる。
理屈じゃわからなくても、心が覚えている。
そうだ。俺らは知っている。
あの冬に起きた。奇跡を。
冬に来て、春に旅立つ、かわいいかわいい旅人のことを。
いつまでも、永遠に。
俺たちは花びらを大事に包み込む。
彼女はまだ、旅をしているのだろうか。
あるいは、疲れて休んでいるだろうか。
道に迷っていないだろうか。
寂しくないだろうか。
いや、大丈夫だろう。
彼女はもう、自由だ。
どこにでも行ける。
それが俺たちの届かない遠い場所だとしても。
彼女は歩む。
俺達も進む。
時には迷うかもしれない。
苦しい時もあるかもしれない。
でも、
それでも、
笑って。泣いて。
喜んで。喧嘩して。
もっと仲良くなって。
どこからか、女の子の笑い声が聞こえた。
それは懐かしい声だった。
また、どこかで巡り会う。
そんな気がした。
それまで、進もう、未来へ。
また、新たな季節がやってくる。
俺は無事に高校を卒業した。
いつぶりだろうか、ここに来るのは。
覚えているだろうか。
船が進む。
この3年。苦しいことは色々あった。
時には逃げ出したくもなった。
でも、案外楽しかった。
俺は変われたのかもしれない。
今ではこの島は冬に桜が咲くという都市伝説が広がり、観光地となっている。
広めたのは1人の老人だとか。真相は分からないが。
おかけで船は混んでいる。
「年頃じゃの」
おじいさんが話しかけてきた。
「あなたもこの島へ?」
「ふぉふぉ、そんな所じゃ。」
懐かしい…。のだろうか。
俺は笑っていた。
おじいさんはもう居なかった。代わりに桜の花びらが1枚落ちていた。
「桜…か。」
冬のはずなのに、桜が散っている。
あと時、舞っていたのは紙の桜。だったはず。
もしかしたら、本当に来てたのかもしれない。
あの冬、色んな奇跡が起きた。
俺は忘れない。
この思い出を。
船が着く。
「真琴ぉ、ひさしぶりだなおぃ。」
蒼太だ。
賢人も奏もいる。
みんな覚えててくれた。
俺たち4人で、また新しい季節が始まる。
4人?
ふと、空を見上げる。
みんなも見る。
桜の花びらが1枚降ってきた。
何故だろう、涙が出てきた。
理由は分からない。
でも、分かる。
理屈じゃわからなくても、心が覚えている。
そうだ。俺らは知っている。
あの冬に起きた。奇跡を。
冬に来て、春に旅立つ、かわいいかわいい旅人のことを。
いつまでも、永遠に。
俺たちは花びらを大事に包み込む。
彼女はまだ、旅をしているのだろうか。
あるいは、疲れて休んでいるだろうか。
道に迷っていないだろうか。
寂しくないだろうか。
いや、大丈夫だろう。
彼女はもう、自由だ。
どこにでも行ける。
それが俺たちの届かない遠い場所だとしても。
彼女は歩む。
俺達も進む。
時には迷うかもしれない。
苦しい時もあるかもしれない。
でも、
それでも、
笑って。泣いて。
喜んで。喧嘩して。
もっと仲良くなって。
どこからか、女の子の笑い声が聞こえた。
それは懐かしい声だった。
また、どこかで巡り会う。
そんな気がした。
それまで、進もう、未来へ。
また、新たな季節がやってくる。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる