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after 未来へ

季節は、巡る。

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-3年後-

俺は無事に高校を卒業した。
いつぶりだろうか、ここに来るのは。
覚えているだろうか。
船が進む。
この3年。苦しいことは色々あった。
時には逃げ出したくもなった。
でも、案外楽しかった。
俺は変われたのかもしれない。
今ではこの島は冬に桜が咲くという都市伝説が広がり、観光地となっている。
広めたのは1人の老人だとか。真相は分からないが。
おかけで船は混んでいる。
「年頃じゃの」
おじいさんが話しかけてきた。
「あなたもこの島へ?」
「ふぉふぉ、そんな所じゃ。」
懐かしい…。のだろうか。
俺は笑っていた。
おじいさんはもう居なかった。代わりに桜の花びらが1枚落ちていた。
「桜…か。」
冬のはずなのに、桜が散っている。
あと時、舞っていたのは紙の桜。だったはず。
もしかしたら、本当に来てたのかもしれない。
あの冬、色んな奇跡が起きた。
俺は忘れない。
この思い出を。

船が着く。
「真琴ぉ、ひさしぶりだなおぃ。」
蒼太だ。
賢人も奏もいる。
みんな覚えててくれた。
俺たち4人で、また新しい季節が始まる。
4人?
ふと、空を見上げる。
みんなも見る。
桜の花びらが1枚降ってきた。
何故だろう、涙が出てきた。
理由は分からない。
でも、分かる。
理屈じゃわからなくても、心が覚えている。
そうだ。俺らは知っている。
あの冬に起きた。奇跡を。
冬に来て、春に旅立つ、かわいいかわいい旅人のことを。
いつまでも、永遠に。
俺たちは花びらを大事に包み込む。
彼女はまだ、旅をしているのだろうか。
あるいは、疲れて休んでいるだろうか。
道に迷っていないだろうか。
寂しくないだろうか。

いや、大丈夫だろう。
彼女はもう、自由だ。
どこにでも行ける。
それが俺たちの届かない遠い場所だとしても。
彼女は歩む。
俺達も進む。
時には迷うかもしれない。
苦しい時もあるかもしれない。
でも、
それでも、
笑って。泣いて。
喜んで。喧嘩して。
もっと仲良くなって。
どこからか、女の子の笑い声が聞こえた。
それは懐かしい声だった。
また、どこかで巡り会う。
そんな気がした。
それまで、進もう、未来へ。

また、新たな季節がやってくる。
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