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第1章 出会い

1-3 仲間との出会い

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次の日から、俺と冬との冒険が始まった。
「真琴くん、どうしようか?」
探すとは言ったものの、どうすればいいかなど分かるはずもなかった。
「冬はなにかしたいこととかないの?」
こんなに人と話しをしたのはいつぶりだろうか。
「とりあえず、みんなに相談してみようか!」
「みんな?」
「うん!島の、私の友達だよ!」
ああ、そうか。忘れたくても忘れられない。友達という言葉。
彼女には友達がいるのか。
「俺は、遠慮しようかな。」
「ダメだよ!来るの!」
「……。」
引っ張られた。本当に女の子の力なのか?
男の俺が力負けて、結局連れていかれた。
「ここは?」
「秘密基地!」
昨日言った森のさらに奥に、小屋があった。秘密基地らしい。
「おーい冬!遅いぞー!」
「ごめーん蒼太!」
中から出てきたのは、ガタイの大きい男だった。
「ん?なんだこいつ」
その男は俺を見つめる。
「あたしの友達!真琴っていうの!」
すると、その男は優しく見つめて
「そうか、冬の友達か!俺は青神 蒼太!(あおがみ そうた)よろしくな!」
「こんにちは、…華氷 真琴です。」
「真琴!今日から俺たちの仲間だな!」
仲間…か
くだらない。そんなクソみたいな馴れ合い、勘弁だ。
「初対面なのに、仲間?バカバカしい。」
蒼太は落ち込んだ。
そりゃそうか。でもこれでいい。あんな後悔をするぐらいなら。
「めっ!って言ったでしょ!今日から仲間なの!」
「うっさいなぁ!」
強く怒鳴ってしまった。
でも、彼女は、冬は、ニコッと笑った。
「これは探しがいがあるねえ~。」
「なっ」
予想外な反応だ。
普通に考えれば怒ってもおかしくないのに。
蒼太も微笑んだ。
「面白いやつが来たなあ!よろしくな!」
なんなんだこいつらは。頭がおかしいのか。
こうして、俺は、冬たちの仲間とやらに入れられてしまった。
しばらくして、
「戻ったぞー。」
「ただいまー!」
男女2人組が帰ってきた。
こいつらも仲間なのか、まあそうだろうな。
「あれ?この子は?」
先程のやり取りだ。
「真琴って言うんだぜ!感情を探してるらしい!」
「へぇ、よろしくね、私は高花 奏(たかばな かなで)」
「俺は榊原 賢人(さかきばら けんと) よろしくな!」
2人とも、蒼太や冬と同じような感じだった。奏は、華奢で、美しいと言うべきか、モデルみたいだった。
賢人は眼鏡をかけており、すごく愛着が湧く。知的な感じだ。
こんな感覚は初めてだ。
なんでこいつらはこんなに優しくするんだ?
初対面なのに…。


色々な話をした。
彼らはここの島民であること。
観光客は滅多に来ないため重宝されること。
彼らの目的は、ここを立派な観光地に仕上げること、らしい。
「でも、冬は桜を見たいんじゃなかったのか?」
つい、聞いてしまった。
全員が黙り込む。すると、冬が
「う、うん。でもね、そんなことよりも観光客が沢山来てくれた方があたしは嬉しいの!」
他の連中は笑っていた。でも俺はわかっていた。
都会での昔からの経験だろうか、嘘をついているやつの態度だ。と直ぐに分かった。
でも、聞かなかった。
嘘をつくということは、なにか訳があるんだろう。

こういう訳で、やる気はなかったものの、半強制的に俺らは仲間となった。
実にくだらない。いや、案外そうでも無いのかもしれない。
そういう気持ちが、心のどこかで芽生えてきたことは、俺はまだ知らなかった。
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