吸血鬼君とロマンスは成り立つのか……

好きじゃない！

朝、登校……

少しの緊張と少しの怒りと共に教室に向かう

「おはよ！」

声をかけてきたのは優羽

「おはよ！」

「どうしたの？何か怒ってない？」

「えっ？全然そんな事ないよ～」

「えー？だって眉間にしわ～」

とおデコを突つかれた……

「やめてー！」

額をさすり優羽を睨む

「ほら～おこってんじゃん！」

「もう！違うってば！」

そんな事をしているといつも早く来ている碓氷君が遅れてきた

「碓氷～今日遅かったね！」

優羽が声をかける

声かけなくていいのに～

優羽の後ろから碓氷君と目が会う

「お、おはよ」

「高梨さん、おはよ……」

ニコリと笑う碓氷君に軽く殺意

「優羽、もうすぐ先生来るよ！」

そう言って席に戻る

「ねぇ、叶芽～碓氷君となんかあった？」

「ないよ」

「何かあったなら話してよ、友達なんだしさ～」

「う、ん……」

「困り事？」

「話せる時がきたら……」

支線を感じてチラリと碓氷君のほうを見た

こちらをじっと見つめていた

「っ、！」

何で見てるのよ！

そんな中、先生がやってきた……

碓氷君の視線を遮断するように前を向いた

授業中も視線を感じながらも前を向いて集中していた

(何なのよ！後悔してんなら謝ってくればいいじゃない！！)

そう思っても、謝られるとそれはそれで腹が立つ

でも、何事もないようにされるのも癇に障る

私はどう対応すればいいかわからない

ファーストキス……

もう、してしまったから取り消すなんて出来ない

もう忘れよう……

付き合ってと言う割に他の女の人とあんな事がするような男……

ガリ勉で冴えない男だった

いるからいないかわからなかった碓氷中也の存在が今では心を大きく支配している

昼休み

「高梨さん、ちょっと、いい？」

碓氷君が話しかけてきた

「何か？」

「そんな嫌そうにしないでよ……」

耳元囁くように

「キスした仲でしょ？」

一気に顔が熱くなる

「ちょ、やめてよ、そういうの！」

小声で碓氷君を睨みつけた

「今日、一緒に帰れるかな？」

「無理、わたし、弟迎えに行かなきゃだし」

「じゃあ、一緒に行くよ！保育園だっけ？」

「えっ？いいよ！そんな、私は話すことなんてないし！」

カバンにお弁当を仕舞うとお手洗いに行こうと席を立つ

腕を掴んできた……

「俺はあるんだ、話し……」

「わ、わかったから、こういうのやめて！」

掴む腕をそっと離してくれた

遠巻きに見ていたのは優羽だけでは無かった

関わりたくないはでなグループがこちらを見ていたのだ

「ねぇ、高梨さんて、碓氷君と付き合ったりしてるの？」

リーダーらしき茶髪にピアスにいかにも男好きな白井麻衣しらいまいが話しかけてきた

「ち、違う違う！」

「ふーん…まぁ、真面目同士お似合いだと思ったんだけどな～」

なんてからかいを含む言い方にムッとなる

(ガリ勉な上にあんな二重人格でやっかいな吸血鬼と一緒にしないでよ)

そう口に出して言えたらどんなにいいか……

ホント自分が嫌になる……

ため息をついて午後の授業の準備をする

「叶芽、大丈夫？」

「優羽、大丈夫だよ！次、小テストだよ！」

「あー！忘れてた！！」

話しを逸らすように席へと着く……

放課後がとっても憂うつ

どんな言い訳してくるんだろ……

本当にどういうつもりでキスなんて……

ほんの少しだけ碓氷中也が心の片隅を埋めた