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初等部編

牧場でゲームしてみた1-3

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(クリスside)


「大儲け、大儲け♪
まさか、不良在庫の山がこんな所で役に立つとは思わなかったわ♪
ノーネズミ用にお友達と開発したのに、売り出す前に騒ぎが収束しちゃったから困ってたのよ。」



あゝエリーお嬢様…だからあんなに沢山、ポコハンをお持ちだったんですね。
凄く嬉しそうにはしゃぐエリーお嬢様を、生暖かい目で見つめつつ周りを走り廻るモグランを叩き、『ポモトーロは無理でもせめてユウリン館でお茶をするくらいは稼がないと』と、心に誓う僕だった。


―――――――――――――――――

(ハインツside)


「ハインツお兄様、私また倒しましたわよ♪」
「あゝ、良かったなローラ。楽しいかい?」
私が苦笑いしながら尋ねると、彼女は元気よく


「はい♪とっても楽しいですわ♪
ポーラルタオでは、こんな事やった事有りませんもの♪
ユイナーダ王国は、こんなに楽しいイベントが有って羨ましいですわ♪」



楽しそうで何よりだよ……
けど、ローラ…普通はこんな事起こらないからね。
後、じゃなくてだからね。



しかしローラの安全を守りながらの、モグランリーダー探しはけっこう骨が折れるな。
やはり、ライネル殿に事情を話して協力を仰ぐべきだろうか?



私が考え事をしていると、ローラが近寄って来て
「ハインツお兄様、あそこに白いモグランがいますわよ。
アレって得点高いのかしら?」



ん?!白いモグランだと!



モグランリーダーじゃないか!!



私は慌ててローラの周りに結界を張り、奴を追って走った。



暫く追いかけていると私と同じ様にモグランリーダーを追っている人物に気付いた。
A級冒険者ライネル殿だ!



確かまだ彼は学生だったはずだが、流石だな。



2人で交互に攻撃を加えながら、追いかけたが中々致命傷が与えられない。
ええぃ!チョコマカと逃げ回って面倒な!



そして遂に我々はモグランリーダーを壁際まで追い詰めた。



「観念しろ!ここでお前に逃げられちゃ困るんだよ!
魔物の氾濫スタンビートを防ぐ為に此処で死んでもらう!」



おゝ!流石はライネル殿!!
勇者パーティーの魔術師らしい台詞だな。



私も負けてられない!



「ついでにその白い毛皮を置いて逝け!
その毛皮でローラにマジックポーチを作る。」



そう言った瞬間、ライネル殿に白い目で見られた様な気がするが、きっと気のせいだ。



アレでポーチを作ったら、きっと彼女に似合う。



「「観念しろ!!」」



ジリジリと近づき剣が後少しで届く…と思ったその時、奴のいる壁沿いを黒い何かが走り抜け、あっという間にその首元に噛み付きとどめを指した。



その正体は……



「アアッ!シ…シルバー!!そのモグランリーダーをこっちに渡せ!
それが無いとこの騒動の原因の証拠が!」



はい??



シルバーってまさかあの猫が
正体が猫って噂、マジだったんだ。



ライネル殿の交渉虚しく、シルバーはとうとうモグランリーダーを咥えて、高く投げてはキャッチするという遊びを始めた。



その度に真っ白だった毛皮がボロボロになって行く。
残念ながらもう、マジックポーチには出来ないな……



そのうちそれも飽きたのか尻尾をピンと立てて、咥えて行ってしまった。
たぶん飼い主の所に、お土産として持って帰るのだろう。



「うわぁー!頼むからそれ以上ボロボロにしないでくれ!
せめて、牧場長の所までは原形を~!!」
ライネル殿は慌ててシルバーを追って行った。



やれやれこれで一応、私の目的は終わったな……



因みにこのモグラン叩きゲームの優勝者はだった。



2位は意外にも、ポリーン伯爵令嬢とその婚約者。
ポリーン伯爵令嬢の土魔法で一気に地面を掘り起こし、婚約者がポコハンで留めを刺すという連携技。
流石は王太子様の側近候補なかなかやるじゃないか!



数日後……



エミール殿下と共に、学園図書館への近道を歩いていると、突然勇者シルバーがを咥えて現れ、何故か私の方に放って寄越した。



「うわぁ♪コレってイタッチリーダーですよね?
しかも白なんてなかなか居ないですよ。
シルバーは狩が上手なんですね♪
もしかして、ハインツにくれたの?」



流石は殿下…わかりやすい説明台詞をありがとうございます。



『にゃっ。』



どうやら、この前の詫びのつもりらしい。
暫く私と見つめあった後、シルバーは大きめの白い毛玉を吐いてから立ち去って行った。



白い毛玉?もしかして中に……



ちょっと汚いが、私はシルバーの吐いた毛玉を拾い、ほぐしてみた。
すると案の定、中からモグランリーダーの魔石が出て来たのだ。



それを見た、殿下は大はしゃぎされて



「わぁ♪それ魔石ですね。
私も欲しいなぁ~♪♪
もしかしてその辺りに落ちてるのにも、入ってるのかな?
どう思うハインツ?」



凄く嬉しそうに聞いて来る殿下。



「残念ながら、全部は無理かと……。
そうですねー狙い目はシルバーの毛色と同じ、黒くて少し大きめで、真ん中が膨らんでいる物でしょうか?」



そう答えると殿下は……



「でも、それは白かったですよね?
あ、もしかしてこの前のモグランリーダーの?
なるほど…シルバーが何か凄い魔物を倒した後も狙い目ですね♪」



この後、私は殿下にシルバーの吐いた毛玉の秘密を、教えた事を後悔した。



何故ならこの後暫く、シルバーの毛玉探しが殿下のマイブームになってしまったからだ。
上にバレたら絶対怒られるな……



後日、シルバーがくれたイタッチリーダーは、白くて可愛いマジックバックになって、ポーラルタオル王国にいるローラの元に渡った。



そして、私も記念に剣帯の飾りとして使う事にした。



もちろん、家族にも少しずつ切り分けた。
そうしないと後が怖い……


----------------
後書き

次回からケイト視点に戻ります。
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