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勇者タツヒコの冒険 ❻ 大怪獣決戦の裏側で〜1

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その日、オレは朝からイヤな予感がした。


昼過ぎになってだんだん外が騒がしくなり、『外出禁止令が出た!』と通りで叫ぶ衛兵隊の声が、隠れ家のリリーの家まで聞こえて来た。


いったい何が起こっているんだ?
外に出る事が出来ない為、詳しい情報が入らないのがもどかしい……


皆んな気になったので、【隠密】スキルを持っているヨウジが、『外の様子を見て来る。』を偵察して来る事になった。


数分後に戻って来たヨウジは少し興奮気味だった。


「やべぇぜ!王都の外にデカい怪獣が居座ってる!
王都の周りは王国一の【聖人】が張った、防御結界で守られているけど、いつ迄保つか……  。」

「デカい怪獣ってどのくらいだ?
この世界じゃ体長20mクラスの古代竜エンシェントドラゴンなら、いない事もないだろ?」


流石は我がパーティーの知恵袋、マサユキ!


「いやそれが…156mはある、見た目がアレにそっくりな奴でさぁ~。」


アレって何だよ?


「一応、カメラで撮影して来たけど。
もう何て言っていいか、テレビや映画で見るのと、実際に居るのを見るのじゃ大違いというか……
国防の危機なのは解っちゃいるんだがなぁ~。」


いったいソレに何が写っているんだ?


「コレを見る前にまずマサユキ、防音の魔法を張ってくれ!
でないとヤバい。
俺だってスキルで冷静を保ってないと、ヤバいんだ。」


ヨウジがスキルを使ってまで興奮が抑えきれず、さらに冷静を保たなければいけない映像って、いったい何だ?


「解った。防音魔法だな。」


マサユキが防音魔法をしっかりと張ってから、ようやくヨウジが見せてくれた写真…それは……


「「ギャハハハッ!!嘘だろ!?
マジ?」」

「ぷっ!俺ももうダメ!コレどう見てもアレだろ!?」

「「「キピーグギドラww」」」

「ヒィー腹いて!こんなのが、現実に居るなんてあり得ねーー!」

「何なんだよ、この派手なカラーリング!?」


ヨウジの撮って来た写真に写っていたのは、キピーグギドラにそっくりな形をした、パッションピンクにエメラルドグリーンの水玉模様のドラゴンだった!


「「「ウケる~ww」」」


ひとしきり笑った後、ヨウジがある提案をして来た。


「なぁコレさぁ~【HMT本物の稀人通信】に投稿しないか?」


【HMT】って俺達みたいな稀人の間で流行ってるアレか?
投稿記事が載るとけっこうお金になるって言う。


偽物が投稿しても本物とピントがズレてるから、アレすぐ解るんだよな。


「小遣い稼ぎには持って来いだと思う。
特に俺達チートがあるからさ、あのキピーグギドラの攻撃にも絶対に耐えられる!」


確かにな!


「ヨシ!それじゃあリリーが帰って来たら、早速出発しようぜ!
防御結界なら任せろ!!
【聖人】と同じまではいかなくても、パーティーメンバーを守るくらいお安い御用だ♪」


期待してるぜ、マサユキ!!


☆こうして、リリーの居ない内に勝手にタツヒコ達に寄って、キピーグギドラ撮影の計画が決められていった。


※【HMT】民間を装っているが、実は第四騎士団に入隊した稀人が発案した物。
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