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第8章 卒業式に向けて編

婚約者候補が来た 1 【加筆修正】

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☆一部修正しました。



あのお嬢様※1との婚約白紙から数ヶ月……
公爵家に縁談話が舞い込んだ。


相手は我、ポーラルタオ王国より更に北にある北海国※2の辺境伯キシュウ家のお嬢様だ。
《釣書》によると婚約者の名前はナノハナ嬢。も出来るそうだ。
黒柴(四つ目)の可愛い子だ。
何故か送られて来た写真が、そのの物だけだった。


この写真に決めたキシュウ辺境伯に言わせると『一番可愛いく撮れているから。』らしい……


黒柴かぁ~確かに可愛いよなぁ。
けど俺、何故か主神のヤータ様の加護を受けているし、大丈夫かな?


一応、お伺いを立ててみる。
えっ!?いいんですか?
『北海国の神様のブリーダー様とは、モフ神仲間だからOK!
君の持つ魔力は我々モフモフ系の神にとって、非常に心地良い♪』
のだそうだ。



なんか俺、動物系の神様にやけに好かれてるとは思ってだけど、そういう事だったのか!


まぁそれは兎も角として、黒柴は確かに可愛いんだが、人化した時の姿を見ない事には人族の俺に返事のしようがない。


それなのに卒業式を一週間後に控えた昨日、北海国から先ぶれが来て『五日後に姫様が到着する。』と言われたんだ。


えっ!?五日後?卒業式の二日前?
式のリハーサルや何かで凄く忙しいこの時期に、何で来るんだよ!?


は?『観光しながら向かってたら遅くなった。』だと?
こっちの都合も考えて行動してくれよ!
受け入れ準備とかいろいろあるんだしさぁ。


そして卒業式の二日前の夕方…やっとの事でキシュウ辺境伯爵家御令嬢ナノハナ嬢御一行が到着した。


俺の婚約者候補は馬車から降りて来ず、案内人として雇われていたタマキのおっさんが前世で見た北方の民族衣装に似た服を着た一行と共に現れた。


とりあえず、用意して置いた客室に一行を案内する様に指示して、タマキのおっさんを別室に呼び出した。


「なんでタマキさんが一緒にいるんですか?」

「いやぁ、ちょうどキシュウ辺境伯領に商談で滞在してたら、前にオッハーナ領で会ったラック※3君と再会してねぇ。辺境伯様に紹介してもらったんだよ。そしたら『末娘のナノハナ嬢の婚約相手を探してる!』って言うから、君を紹介した訳。」

「勝手に紹介しないでもらえます?」

「公爵様には許可を取ってるぞ。『国内じゃもう候補者がいないから、他国のご令嬢でも、もし良い方がいたら連絡して欲しい。』って言われててね。」

「確かナノハナ嬢、16歳だったよね?わざわざポーラルタオまで来なくても、向こうに誰かいなかったの?」


と質問するとタマキのおっさんは、渋い顔をして答えてくれた。


「あゝ、あの国は白毛が美しさの基準だから、黒柴の彼女は不人気なんだよ。」

「えっ?!そうなの?俺はで昔飼ってたの黒柴だったから、割と好きだけどなぁ~。
て、それより人型の方のナノハナ嬢の姿ってどうなんだ?」

「小柄で黒髪黒目でなかなか可愛いかったぞ。」


それだとよくわからないんだけど……
黒柴の姿でもそんな感じだしね。


「ところで、ナノハナ嬢は何で馬車から降りて来ないんだ?」


俺の質問にタマキのおっさんは、若干目を逸らしつつ答えた。


「ほら…柴犬がよく散歩中にやるだろ?
動くのが嫌になって地面に張りついたりとかさ!」

「言い訳になってない……
只の犬なら可愛いかもしれんが、辺境伯令嬢のする態度じゃないだろ!
それに到着が2週間も遅れるってどういう事!?」


本来なら、2週間前に到着する予定だった。一応『婚約者候補』とはなっているが、本来なら卒業パーティーでエスコートして『婚約者』として紹介するはずだったのだ。
政略結婚でほぼ決まっているので、仕方ない。


それなのに、到着が卒業式の2日前の夕方!
あり得ないだろ!!


「ああ…町や村に着く度にいつの間にか居なくなってて…… 」


到着が遅れたほんとの理由はそっちか!
専属護衛騎士も侍女も役に立ってないじゃないか!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※1

ネイサンの元婚約者の元伯爵令嬢。
【第5章 婚約破棄編】において諸事情により婚約破棄した。


※2

【北海国】通称アヌイーと言われる、ポーラルタオ王国より更に北にある、犬獣人の国。
ブリーダー神を主神と崇め、白毛の者ほど美しいとされている。
かつて血統を大事にし過ぎて、高位貴族が減少し、王家存続の危機を招く事になった。


※3

第5章において、オッハーナ領を狙った盗賊団討伐に参加していたS級冒険者。
祖母が北海国のアキタ侯爵家の出身。
曽祖父が王族の血を引いていた。
婚約者はユイナーダ王国のサイド伯爵令嬢ターク。
彼以外の王族は高齢化が進み更に後継も居ない為、直系ではないが現在【北海国】の王位継承権1位である。
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