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第6章 ユイナーダ学園高等部卒業パーティー編

テンプレ通りに卒業パーティーで婚約破棄を起こさせない冴えた方法

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卒業パーティー会場に入ろうとした時、ピンクのドレスを着た、少女達が数人いるのに気がついた。


多少の違いはあるが、ピンクのドレス集団は、はっきり言って不気味だと思う。


パートナーの居ない男子が絡まれている。
彼女達はどうにかして、パーティー会場内に入ろうとしている様だ。


俺は卒業に合わせて留学を終了し、一緒に帰る事になっている妹のテレーゼをエスコートしていたから絡まれなかったが……


テレーゼにすら『何あの集団…キモッ!
お兄様の言う通り、ピンクのドレスは辞めておいて正解でしたわね。
危うく仲間だと思われるところでしたわ。』と言われている。


そう言うテレーゼのドレスは落ち着いたブルーのドレスだ。


ケイト先輩から、事前に情報を聞いといて良かった。


会場に入ると、パートナーの女性徒にやたらとペコペコしている男子生徒を数人見かけた。
完全に尻に惹かれているなww


これってもしかして卒業式の後に、行われたアレの影響かな?


------------------


「セイラ!お前との婚約を破棄する!」


婚約破棄を告げる高位貴族らしい男……


男は腕にピンクの髪をサイドテールにしピンクのドレスを着た、見た目は可愛いらしい少女をぶら下げている。


「そんなっ…キャスパル様…わたくし何か貴方様のお気に触る様な事をしてしまったのでしょうか?」


婚約者の令嬢は婚約破棄される原因に、心当たりがないらしい。


「私と愛する聖女カミーユの仲に嫉妬して、彼女を虐めていただろう!?
でなければ、カミーユがこれ程までにお前に怯えるはずがない!」


婚約者を睨み付け、一方的に決めつける男キャスパルは、『愛する聖女カミーユの仲に』って堂々と浮気を公表している。


「わたくし、そんな事はしておりませんわ。
証拠も無く一方的に決めつけるなんて酷いです。」


毅然とした態度のセイラ嬢。


「信じられるものか!」

「きゃー!キャスパル様怖~い!!
セイラ様がわたしの事睨んでるわぁ~!」


うわぁ~頭悪そうなセリフだなぁ……


さて、突然なんの話し?
と思うだろうが安心しろ……
コレはマジの【婚約破棄劇】ではなく、ユイナーダ学園高等部の誇る、演劇部による舞台劇だ。


【公の場で婚約破棄をした者達の末路】を描いた、ある意味恐ろしい作品だ。
お花畑に誘われて、人生を踏み外さない為の教訓作品なのだとか。


初演は三年前……
脚本・演出を次期ロピアー公爵夫人エリー様が担当。
今や世界的大女優キイナ嬢がこの後出て来るヒーロー役を演じて、大好評だった舞台だ。


二年前からは卒業式典の直ぐ後に上演され、劇に出てくるお花畑達の末路を教訓として生かし、馬鹿な事をさせない為の物だそうだ。


同じ内容では飽きるからと、毎年少しずつ内容が違うそうだが、大筋は……


『①人の集まる場所で婚約破棄して、元婚約者に恥をかかせ冤罪で追い出す。
②婚約破棄した後、ヒロインの嘘が発覚。(魅了魔法を使うパターンや娼婦の様な手を使うヒロイン。大概ビッチ)
③ 没落ざまぁコースにまっしぐら。
④追い出された元婚約者の令嬢は、イケメンのヒーローに愛されて幸せになる。』


という感じだ。


これ、良いかもしれない。
ロピアー次期侯爵夫人と演劇部に頼んで、ポーラルタオ学院でも上演させてもらえないかな?


とりあえず録画した物を借りて帰れるか、聞いてみよう。


------------------

という事があったのを説明すると、テレーゼは……


「じゃあ先程のピンク集団はその劇を観て、正気に戻られた方達にエスコートを拒否された浮気相手ですのね。
あれだけの人数分、本当に婚約破棄なんてしていたら、この国の貴族制度が大変な事になっていましたわ。」


それな!ピンクドレス一人に付き一人づつって訳じゃないから、マジでやったら国が崩壊する程の危機だから!!


その後俺は卒業パーティー会場で、演劇部の元部長と交渉して、去年と今年の公演を録画した記録盤を借りる事が出来た。


流石にキイナ嬢の出演している物については『学園内で観る分には良いが、持ち出しは勘弁して欲しい。』と断られてしまった。


「どうしてもと言われるなら、エリー様にご相談されれば良いのでは?」


あぁなるほど…脚本と演出はあの人だからな。


後日…手土産を持って行ったところ、偶々キイナ嬢がロピアー公爵家を訪れており、彼女のサイン入りの脚本と共に、『自宅と学院内での金銭を伴わない上映のみ。譲渡不可。』
という条件で記録盤を貰う事が出来た。


そう言えば、殿下と護衛の彼はキイナ嬢のファンだったな。


『生徒会…というか側近候補の皆んなの分も頂けないでしょうか?』


と頼んでみると、キイナ嬢は心良く引き受けてくれ、家族の分を含めてかなりの枚数の色紙にサインしてくれた。


因みにサイン色紙はロピアー家に、大量に保管されていたのを使わせてもらった。


その代わり、二人にコーヒー豆とお菓子を強請られたけど。





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