【最終章】どうやら俺はただのモブではなかったらしい、フラグは折る為にある!

砂月ちゃん

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第5章 婚約破棄編

【閑話】ある冒険者の転落 1

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【前書き】

残酷なシーンがあります。
ご注意下さい。


【本文】


(ケンside)

「嘘だろ…リリンとドミニクが殺された!?」


攻撃してくるのが一人だけだし、こっち側だけだったからそれなりに広いこの町を前後から攻撃すれば、手が足りなくなって、隙が出来る。


そう思って、遠回りして裏側に廻ってもらった、元軽業師のリリンとミミン、身軽なドミニクがトラップにかかったところを、ドミニクは頭と胸を矢で貫かれて死に、リリンはミミンを守って幾本もの矢を受けて死んだそうだ。


なんとか生き残って戻って来た、リリンの双子の妹のミミンは足を矢で貫かれて、このままじゃ二度と軽業は出来ないそうだ。
前の町で手に入れたポーションも、何故か効かなかった。


いつもなら、水魔法使いのサマンサが直ぐに治してくれるのに、彼女はさっきの襲撃で殺された。


足の怪我で動けないミミンは荷駄隊と一緒に、後方で待機することになった。


「ごめんネ…姉さん…ドミニク…アタシがあのトラップに気づかなかった所為で~ 。
うわぁ~!!」


泣きじゃくるミミンをメリーナが、無言で抱きしめ慰めている。
マーサが自分の武器でもある、巨大な盾を磨きながら疑問を口にした。


「だいたい、奴はいったい何処から矢を放っているんだい?
まだ町まで2キロ以上はあるじゃないか!?」


マーサの疑問はもっともだ。
こんな遠距離、普通の魔法やスキルじゃ届かない。


「たぶん…相手は僕と同じ稀人まれびとだよ。
何かのチートスキルを使っているに違いないと思う。」

「「「「稀人だって!?」」」」


皆んなが驚くのは無理もない……


「そうじゃないとおかしい!
超遠距離で絶対に肉眼では見えない場所に僕達はいるはずなのに、正確に狙撃してくるなんて、稀人のチートスキルで間違いない!!」

「と、とにかくいったん落ち着こう。」


ナミに諭されて皆んな心を落ち着かせる為に、武器の手入れをしたり、仮眠をとったりする事にした。


僕はメリーナの膝枕で、暫く仮眠することにしたんだ。

―――――――――――――――――

(盗賊side)


密談中……


「何かヤバくない?もう8人も殺られちまったよ!」


青ざめた顔でミミンが話す。


「ヤバいでしょ!誰よ?『オッハーナを襲おう!』って言ったの!?」


荷駄隊のリーダー、元商人のサミィは責任者を追及した。


「言い出しっぺはマルカだよ!
この前襲った商人の持ってた《七色真珠のネックレス》、ケンが見つけてメリーナにあげちまっただろ?」


相変わらず、盾を磨きながらマーサが冷静に答える。
ナミはマルカの悪癖の事を思い出した。


「あぁ…あの子、ああいう物に目が無かったからね。
欲しい物を見つけたら我慢出来なくて、故郷の村を手癖が悪くて追い出されたって言ってた。
だから昨日の夜、率先して斥候に行ったのよ。
どうせ、こっそりを獲りに行こうとしてたんでしょ。」

「抜け駆けしようとするから、あんなに簡単に殺られちまうんだよ。
で…これからどうする?ナミお頭!」


マーサの問いに、盗賊団【光の剣】の真の頭であるナミは答えた。


ケン間抜けを焚きつけて、オッハーナに居る奴の気を引かせ、その間にアタシ達はメリーナ世間知らずのお嬢様を連れて逃げるよ。
いざとなったら、人質にすれば良い。」

「でもケン間抜け一人で行かせるのは、ちょっと無理があるんじゃないの?」

「ミミンの言う事にも一理ある。仕方ない…アタイのこの盾ならあの攻撃にある程度耐えられるから、途中までは一緒に行くよ。
その後、頃合いを見て抜け出せば良いさ!」


その頃ケンは自分のハーレムメンバーが、そんな事を考えているのにも気づかず、メリーナに膝枕をしてもらいながら、都合の良い夢を見ていた。


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