【最終章】どうやら俺はただのモブではなかったらしい、フラグは折る為にある!

砂月ちゃん

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第5章 婚約破棄編

【閑話】ある冒険者の話し 3

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【前書き】

後半グロ注意。


【本文】

俺はロイド、34歳独身。
皆んなには内緒だが、実は転生者で二つ名を《鉄壁のロイド》と呼ばれるB級冒険者だ。
今、俺の故郷オッハーナ騎士爵領の領都(漁村)であるバターケは危機に晒されている。


元A級冒険者で稀人異世界人のケン・ワタヌキ(綿貫)という勘違い野郎率いる盗賊団に狙われているんだ。


このケンの勘違いが酷い。
見た目が悪人だったという理由だけで、あちこちの商会や領主を襲って金目の物を奪ったり、犯罪者を逃して正義の味方気取り。


そもそも、ケンの【番同士だから何をしても良い】という考え方が間違っていたのが原因だ。


チェイテス公爵家嫡男の婚約者だった元伯爵令嬢メリーナ(平民落ち)と番だとわかった時点で、駆け落ちなどせずに話し合い、示談金を払っていればこんな事にはなっていなかっただろう。


おそらくケンのA級冒険者の稼ぎなら、数年で示談金も払い終えたハズだ。


別の世界の知識を鵜呑みにし、公爵家の温情も無視して逃亡を続け、挙げ句に見た目が可愛いい盗賊に騙されて悪事の片棒を担ぎ、ついには【大盗賊団の首領】になってしまった。


本人はラノベの主人公気取りでハーレムのつもりなのが、阿保過ぎて呆れる。
そんなご都合主義な話し、ある訳ないだろ!


転生者の俺だってモテないのに!


とそんな事をしている場合じゃなかった。
明日の朝までに出来るだけ魔晶石に魔力を貯めておかないと……


あゝでも、もう限界かなぁ……
コレ以上魔力を抜くと明日の朝までに全回復しない。
するとそこに、このオッハーナ騎士爵領の領主組長で幼馴染みのヤっさんこと、ヤックルト・F・オッハーナが近づいて来た。


「ロイド…オマエに渡したい物があるんじゃけど。」

「俺に渡したい物?」

「ワシんの家宝の、《魔晶石の指輪》じゃけどのぉ。このたびはオマエが持っとった方がええじゃろう思うてな。」

「家宝の魔晶石の指輪って、いつもヤっさんが填めてるそれか?」


それはヤっさんがいつも填めている、趣味の悪い如何にもなゴツい指輪。


「皆んなして、出来るだけ魔力を集めたんじゃけど、そがぁに溜まらんかった。」


ヤっさんが渡してくれた、魔晶石の指輪にはそれでもけっこうな量の魔力が溜まっていた。


「皆んな、ありがとうのぉ!」

「いんねのう…ワシらじゃ、コレが精一杯じゃけんのぉ。」

「ワシらが使うよりロイドが使った方が、助かる確率が高いんじゃけぇ、気にせんとって。」

「明日まで休みゃあ魔力は回復するけぇ。」

「皆んな…ほんまにありがとう。
明日に備えて早めにメシを食うてやすもうや。」

「「「「そうじゃのぉ~。」」」」


(深夜)


深夜、俺のスキル【地図アプリ】に敵の位置が表示された。
意外と早かったな…盗賊団の斥候2人か。
この距離なら俺の弓で仕留められるな。


―――――――――――――――――

(盗賊side)


2キロ先の暗い夜道を、盗賊団の斥候ベティとマルカは走っていた。


「ねぇマルカ?今度の襲撃場所って、最近有名なあの七色真珠の産地なんでしょ?」

「あゝそうだけど…何?欲しいの?」

「だって綺麗じゃん♪この前の領主のおっさんが持ってたネックレス、アレ欲しかったなぁ~。」

「仕方ないだろ。ケンの奴が先に見つけちまったんだから。」

「それにしても、アイツ馬鹿だよねー♪
あんな簡単にナミのハニトラに引っかかって、ハーレムのつもり……。」

「?ベティ???」


ドサッ!


突然、何処かから矢が飛んで来て、アタイの相棒の頭と胸に刺さり、気づいた時にはベティは死んでた。
真っ暗な夜道で隠れる所も無い……
いったい何処から?


「嘘だろ?何で?さっきまで話してたのに!」


ベティとアタイは盗賊団に入ったのも同じくらいで、歳が近かったのもあってすぐ仲良くなった。
足が早かった、アタイ達の役目は斥候。


ずっと2人で一緒にいられると思っていたのに……
こんな呆気なく殺されるなんて。
と…とにかくお頭に、知らせなきゃっ!!

ドスッ!!


「あ…。」


翌朝…二人の女盗賊の遺体は、いつまでたっても帰還しないのを心配して探しに来た、仲間に発見された。
しかし、その仲間も何処からか飛んで来た矢や槍で、無残に殺され、盗賊団はこの事実に気づくのが遅れてしまった。


こうして、盗賊団は1人…また1人、少しずつ倒されていったのだった。



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