57 / 109
第5章 婚約破棄編
【閑話】ある冒険者の話し 3
しおりを挟む
【前書き】
後半グロ注意。
【本文】
俺はロイド、34歳独身。
皆んなには内緒だが、実は転生者で二つ名を《鉄壁のロイド》と呼ばれるB級冒険者だ。
今、俺の故郷オッハーナ騎士爵領の領都(漁村)であるバターケは危機に晒されている。
元A級冒険者で稀人のケン・ワタヌキ(綿貫)という勘違い野郎率いる盗賊団に狙われているんだ。
このケンの勘違いが酷い。
見た目が悪人だったという理由だけで、あちこちの商会や領主を襲って金目の物を奪ったり、犯罪者を逃して正義の味方気取り。
そもそも、ケンの【番同士だから何をしても良い】という考え方が間違っていたのが原因だ。
チェイテス公爵家嫡男の婚約者だった元伯爵令嬢メリーナ(平民落ち)と番だとわかった時点で、駆け落ちなどせずに話し合い、示談金を払っていればこんな事にはなっていなかっただろう。
おそらくケンのA級冒険者の稼ぎなら、数年で示談金も払い終えたハズだ。
別の世界の知識を鵜呑みにし、公爵家の温情も無視して逃亡を続け、挙げ句に見た目が可愛いい盗賊に騙されて悪事の片棒を担ぎ、ついには【大盗賊団の首領】になってしまった。
本人はラノベの主人公気取りでハーレムのつもりなのが、阿保過ぎて呆れる。
そんなご都合主義な話し、ある訳ないだろ!
転生者の俺だってモテないのに!
とそんな事をしている場合じゃなかった。
明日の朝までに出来るだけ魔晶石に魔力を貯めておかないと……
あゝでも、もう限界かなぁ……
コレ以上魔力を抜くと明日の朝までに全回復しない。
するとそこに、このオッハーナ騎士爵領の領主で幼馴染みのヤっさんこと、ヤックルト・F・オッハーナが近づいて来た。
「ロイド…オマエに渡したい物があるんじゃけど。」
「俺に渡したい物?」
「ワシん家の家宝の、《魔晶石の指輪》じゃけどのぉ。この度はオマエが持っとった方がええじゃろう思うてな。」
「家宝の魔晶石の指輪って、いつもヤっさんが填めてるそれか?」
それはヤっさんがいつも填めている、趣味の悪い如何にもなゴツい指輪。
「皆んなして、出来るだけ魔力を集めたんじゃけど、そがぁに溜まらんかった。」
ヤっさんが渡してくれた、魔晶石の指輪にはそれでもけっこうな量の魔力が溜まっていた。
「皆んな、ありがとうのぉ!」
「いんねのう…ワシらじゃ、コレが精一杯じゃけんのぉ。」
「ワシらが使うよりロイドが使った方が、助かる確率が高いんじゃけぇ、気にせんとって。」
「明日まで休みゃあ魔力は回復するけぇ。」
「皆んな…ほんまにありがとう。
明日に備えて早めにメシを食うて寝もうや。」
「「「「そうじゃのぉ~。」」」」
(深夜)
深夜、俺のスキル【地図アプリ】に敵の位置が表示された。
意外と早かったな…盗賊団の斥候2人か。
この距離なら俺の弓で仕留められるな。
―――――――――――――――――
(盗賊side)
2キロ先の暗い夜道を、盗賊団の斥候ベティとマルカは走っていた。
「ねぇマルカ?今度の襲撃場所って、最近有名なあの七色真珠の産地なんでしょ?」
「あゝそうだけど…何?欲しいの?」
「だって綺麗じゃん♪この前の領主のおっさんが持ってたネックレス、アレ欲しかったなぁ~。」
「仕方ないだろ。ケンの奴が先に見つけちまったんだから。」
「それにしても、アイツ馬鹿だよねー♪
あんな簡単にナミのハニトラに引っかかって、ハーレムのつもり……。」
「?ベティ???」
ドサッ!
突然、何処かから矢が飛んで来て、アタイの相棒の頭と胸に刺さり、気づいた時にはベティは死んでた。
真っ暗な夜道で隠れる所も無い……
いったい何処から?
「嘘だろ?何で?さっきまで話してたのに!」
ベティとアタイは盗賊団に入ったのも同じくらいで、歳が近かったのもあってすぐ仲良くなった。
足が早かった、アタイ達の役目は斥候。
ずっと2人で一緒にいられると思っていたのに……
こんな呆気なく殺されるなんて。
と…とにかくお頭に、知らせなきゃっ!!
ドスッ!!
「あ…。」
翌朝…二人の女盗賊の遺体は、いつまでたっても帰還しないのを心配して探しに来た、仲間に発見された。
しかし、その仲間も何処からか飛んで来た矢や槍で、無残に殺され、盗賊団はこの事実に気づくのが遅れてしまった。
こうして、盗賊団は1人…また1人、少しずつ倒されていったのだった。
後半グロ注意。
【本文】
俺はロイド、34歳独身。
皆んなには内緒だが、実は転生者で二つ名を《鉄壁のロイド》と呼ばれるB級冒険者だ。
今、俺の故郷オッハーナ騎士爵領の領都(漁村)であるバターケは危機に晒されている。
元A級冒険者で稀人のケン・ワタヌキ(綿貫)という勘違い野郎率いる盗賊団に狙われているんだ。
このケンの勘違いが酷い。
見た目が悪人だったという理由だけで、あちこちの商会や領主を襲って金目の物を奪ったり、犯罪者を逃して正義の味方気取り。
そもそも、ケンの【番同士だから何をしても良い】という考え方が間違っていたのが原因だ。
チェイテス公爵家嫡男の婚約者だった元伯爵令嬢メリーナ(平民落ち)と番だとわかった時点で、駆け落ちなどせずに話し合い、示談金を払っていればこんな事にはなっていなかっただろう。
おそらくケンのA級冒険者の稼ぎなら、数年で示談金も払い終えたハズだ。
別の世界の知識を鵜呑みにし、公爵家の温情も無視して逃亡を続け、挙げ句に見た目が可愛いい盗賊に騙されて悪事の片棒を担ぎ、ついには【大盗賊団の首領】になってしまった。
本人はラノベの主人公気取りでハーレムのつもりなのが、阿保過ぎて呆れる。
そんなご都合主義な話し、ある訳ないだろ!
転生者の俺だってモテないのに!
とそんな事をしている場合じゃなかった。
明日の朝までに出来るだけ魔晶石に魔力を貯めておかないと……
あゝでも、もう限界かなぁ……
コレ以上魔力を抜くと明日の朝までに全回復しない。
するとそこに、このオッハーナ騎士爵領の領主で幼馴染みのヤっさんこと、ヤックルト・F・オッハーナが近づいて来た。
「ロイド…オマエに渡したい物があるんじゃけど。」
「俺に渡したい物?」
「ワシん家の家宝の、《魔晶石の指輪》じゃけどのぉ。この度はオマエが持っとった方がええじゃろう思うてな。」
「家宝の魔晶石の指輪って、いつもヤっさんが填めてるそれか?」
それはヤっさんがいつも填めている、趣味の悪い如何にもなゴツい指輪。
「皆んなして、出来るだけ魔力を集めたんじゃけど、そがぁに溜まらんかった。」
ヤっさんが渡してくれた、魔晶石の指輪にはそれでもけっこうな量の魔力が溜まっていた。
「皆んな、ありがとうのぉ!」
「いんねのう…ワシらじゃ、コレが精一杯じゃけんのぉ。」
「ワシらが使うよりロイドが使った方が、助かる確率が高いんじゃけぇ、気にせんとって。」
「明日まで休みゃあ魔力は回復するけぇ。」
「皆んな…ほんまにありがとう。
明日に備えて早めにメシを食うて寝もうや。」
「「「「そうじゃのぉ~。」」」」
(深夜)
深夜、俺のスキル【地図アプリ】に敵の位置が表示された。
意外と早かったな…盗賊団の斥候2人か。
この距離なら俺の弓で仕留められるな。
―――――――――――――――――
(盗賊side)
2キロ先の暗い夜道を、盗賊団の斥候ベティとマルカは走っていた。
「ねぇマルカ?今度の襲撃場所って、最近有名なあの七色真珠の産地なんでしょ?」
「あゝそうだけど…何?欲しいの?」
「だって綺麗じゃん♪この前の領主のおっさんが持ってたネックレス、アレ欲しかったなぁ~。」
「仕方ないだろ。ケンの奴が先に見つけちまったんだから。」
「それにしても、アイツ馬鹿だよねー♪
あんな簡単にナミのハニトラに引っかかって、ハーレムのつもり……。」
「?ベティ???」
ドサッ!
突然、何処かから矢が飛んで来て、アタイの相棒の頭と胸に刺さり、気づいた時にはベティは死んでた。
真っ暗な夜道で隠れる所も無い……
いったい何処から?
「嘘だろ?何で?さっきまで話してたのに!」
ベティとアタイは盗賊団に入ったのも同じくらいで、歳が近かったのもあってすぐ仲良くなった。
足が早かった、アタイ達の役目は斥候。
ずっと2人で一緒にいられると思っていたのに……
こんな呆気なく殺されるなんて。
と…とにかくお頭に、知らせなきゃっ!!
ドスッ!!
「あ…。」
翌朝…二人の女盗賊の遺体は、いつまでたっても帰還しないのを心配して探しに来た、仲間に発見された。
しかし、その仲間も何処からか飛んで来た矢や槍で、無残に殺され、盗賊団はこの事実に気づくのが遅れてしまった。
こうして、盗賊団は1人…また1人、少しずつ倒されていったのだった。
1
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説

【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”を結成する事になる。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。

『俺だけが知っている「隠しクラス」で無双した結果、女神に愛され続けた!』
ソコニ
ファンタジー
勇者パーティから「役立たず」として追放された冒険者レオン・グレイ。彼のクラスは「一般職」――この世界で最も弱く、平凡なクラスだった。
絶望の淵で彼が出会ったのは、青い髪を持つ美しき女神アステリア。彼女は驚くべき事実を告げる。
かつて「役立たず」と蔑まれた青年が、隠されたクラスの力で世界を救う英雄へと成長する物語。そして彼を導く女神の心には、ある特別な感情が芽生え始めていた……。
爽快バトル、秘められた世界の真実、そして禁断の恋。すべてが詰まった本格ファンタジー小説、ここに開幕!

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

ざまぁされるための努力とかしたくない
こうやさい
ファンタジー
ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。
けどなんか環境違いすぎるんだけど?
例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。
作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。
中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。
……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる