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第5章 婚約破棄編

【閑話】ある冒険者の話し 2

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【前書き】

バターケの領民の方言は普通の広島弁です。
けして893言葉ではありません!

一部、過激なセリフがありますがご了承ください。


【小説本文】

(オッハーナ領首館)

「ロイド!よう来てくれたの!」

「俺とヤっさんの仲じゃないか。
元A級が相手でも、必ず守ってみせるさ。」

「そう言ぅてくれると嬉しいのぉ。
このオッハーナ領で最強のロイドが居れば、怖いモンなしじゃ!」

「「「「ほうじゃ!ほうじゃ!ロイドが居ればオーガに金棒じゃけんのう!!」」」」


いや…皆んな、そんなに期待されても困るんだけど。
チート級の【索敵】と【地図アプリ】を使えば、不意打ちは防げると思うけど、俺そんなに強くないから。


「アレらが、こっちに向こぉとるっちゅう情報はほんまなんか?」

「間違いない。昨日、ザッケンナーの領主館が襲われて、『義兄貴アニキが怪我した。』いう連絡が入ったんじゃ!
『拐われたはずのメリーナが、一緒におった。』いうて情報もあるけん、こっちも警戒しよう思うて。」


うわぁ最悪じゃないか、ザッケンナーの領主ってメリーナの親戚じゃなかった?
いくら見た目が893だからって、悪人じゃないの知ってるはずなのに襲わせるとか、もう平民落ちだけじゃ済まないな。


「ザッケンナーの人達、大丈夫なんか?」

「たまたま近くの村に【勇者】様がおって、怪我は治してくれたんじゃけど、金目の物をようけ持って行かれたんじゃと。」


【番同士の駆け落ち】が【強盗行脚】になって、かなりランクダウンしてるじゃねぇか!
しかもケンとメリーナ自分達は【正義の味方】でつもりらしい。


とりあえず【索敵】と【地図アプリ】を展開しておこう。


て…やべぇ~もうこっちに向かってるじゃないか!


「ヤっさん…まずい、アレらほんまにこっちに向こぉうとる!
この速度だと明後日にゃあ着きそうだ!
今のうちに女子供、年寄りを領主館に避難させた方がええぞ!」

「なんだと!?一大事じゃないか!
お前ら!出入りの準備だ!!
ぬかるんじゃねぇぞ!!」

「「「「おぉー!!ワシらの力を思い知らせちゃる!!」」」」


おい!俺の話し聞いてた?
女子供、年寄りは避難しろって言っただろ!
漁師町で血の気が多い奴らが、多いのはわかっちゃいるけど、相手は元A級冒険者の稀人と手練れの盗賊団だ!
たいした治療師のいない、この田舎の漁村じゃ死人が出てもおかしくない!!


ここは一発、ガツンと言っとかないと!


「金目の物や食料を持って、領主館に避難しろってっとるじゃろが !!
何時もの隣りの領との漁場争い出入りと訳が違うんじゃけんの!」

「「「「……………。」」」」

「ロ…ロイド、すまん… オマエのゆう通りじゃった。
相手は元A級冒険者… ちぃとでもオマエの役にたとうゆぅて思うとったんじゃが、足手纏いにしかならんのんじゃの。」

「俺も大声出して悪かった。
とにかく、アレらが来る前に避難してくれ。
他の村落には冒険者ギルドから連絡して、避難指示を出してもらうけん。」


こうして、バターケの領民は七色真珠の儲けで、建て替えたばかりのオッハーナ領主館に立て籠りをする事になった。


俺はアレらが来るまでに、魔石に魔力を貯めて攻撃に備える。
俺のスキルで、対抗出来るのは【光の盾】のみ。


このスキルだけはレベル10…MAXだ。
既に冒険者ギルドから救援要請は出した。
だがおそらく、S級冒険者達は間に合わない。
彼らがこちらに着くまでの約半日…必ずここは守ってみせる!



【後書き】

因みに某有名893映画シリーズで使われていた広島弁は、ある一部地域の方言です。
そのまま使うとヤバ過ぎなので、若干マイルドにしてみました。

同じ県内でも地域によって方言が違います。
作者の実家付近は、なんと道を隔てた隣りの地域と方言が違いましたよ!

*ロイドがセリフ以外で広島弁じゃない理由。


地方出身者あるある。
地元以外で方言が通じない為。
全部広島弁で書くと、何言ってるかわからないからです。




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