【最終章】どうやら俺はただのモブではなかったらしい、フラグは折る為にある！

第5章 婚約破棄編

4 それは犯罪です！

俺がネーブル伯爵家に出した、婚約解消の条件。


① 番だというA級冒険者ケンを『伯爵令嬢、拉致誘拐で指名手配』する事。

② 自首して来た場合は伯爵領の一定の区画から出ない事を条件に、メリーナが貴族籍に留まる事を許可する。

③ 賠償金を全て支払うまで、ケンには奴隷紋を刻み此方の指定する仕事をさせる。
もちろん払い終わるまで、2人が会う事は禁止。


期限は学院の後期の授業が始まる5日前まで。
後、1ヵ月半後だ。
それを過ぎた場合、2人は2度と会う事が出来なくなるだろう。


メリーナは学院を退学後、平民として修道院行き。
2度と俗世に戻る事は出来ない。


ケンが稀人だった場合、転移だったら全財産没収とこちらで得たスキルを取り上げた上で、強制送還！
元の世界で、死亡して転移・転生していた場合、全財産没収して奴隷紋を刻んで一生、俺の元で無料奉仕タダ働きだな！
もちろん、メリーナには絶対会わせない。


普通なら送還出来ないところだが、その昔エルフがヤータ様から授かったという送還の魔法陣と元の世界の物か記憶が有れば、還せるそうだ。


今まで知られてなかったのは、エルフの秘匿魔法であったから。


というのは表向き、実はつい最近になってエルフに授けた物なのだ。


《異世界からやって来た、稀人の中にはエルフを誘拐して奴隷にしようとしたりする悪人や、逆に何かの拍子に突然次元の裂け目や穴からこちらの世界に来てしまい、助けを求めてやって来る者が後を絶たず大変迷惑をしている。》


という訴えがあり、ヤータ様達も迷惑な連中を始末する、絶好のチャンスだとノリノリで魔法陣を作成したそうだ。


ただし、送還専門なので行ったり来たりは出来ない。
もちろん、元の世界で生きている者限定だ。
流石に死んだ人間を、還す訳にはいかないからな。


ネーブル伯爵家はこちらの条件を飲み、各ギルドや我が公爵家、ネーブル伯爵家と取り引きの有る商会を通して、逃亡中の2人にも婚約解消の条件を知らせる様にした。


依頼を受けたり換金したりする為に、必ず立ち寄るはずなので、『知らなかった。』では済まされない。
尚、猶予期間が過ぎて2人の逃亡に協力した者がいた場合、その者達にもそれなりの罰を受けてもらう事になる。


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(1ヵ月後)


あれから1ヵ月……
何ヶ所かの、冒険者ギルドや商会から彼女達を見かけたので、『こちらの条件を伝えた』という連絡を受けたが、自首する気は無い様だ。





更に先日後…2人はとんでもない事をやらかした。
犯罪奴隷の仲間の盗賊に騙されて、奴隷商や仕事で偶々訪れていた領主であるレモ男爵を襲い、店に居た奴隷を全て逃してしまったのだ。


一緒に押し入った強盗犯達は店に合った金品だけでなく、奴隷商やレモ男爵の持っていた物まで、盗んで行った。


その際、奴隷商達やレモ男爵は重軽症を負い、偶々近くの教会にエルフの神官が立ち寄っていなければ、死人が出ていたところだったそうだ。


『罪の無い人達を奴隷にするなんて、とんでもない奴らだ！』


などと叫んでいたと言うから、呆れてものも言えない……
番の件だけなら、まだ誤魔化し様があったがこうなったら、ケンは完全に犯罪者。


最早、猶予期間など関係ない！
直ぐ様、【強盗傷害】【殺人未遂】【犯罪奴隷逃亡幇助】【借金奴隷逃亡幇助】【器物破損】【貴族への暴力行為】【詐欺】など多くの罪状で大陸全土に《指名手配》される事になった。


まったくとんでもない事をしでかしてくれたものだ。
ネーブル伯爵は激怒し、メリーナの貴族籍どころか出世届けにまで遡って破棄してしまった。


レモ男爵には最後の親の勤めとして、多額の見舞金を渡し、伯爵位を2年前に学院を卒業したばかりの長男に譲り夫人と共に領地に隠居する事に……


もちろん俺もレモ男爵に見舞金を出し、更に逃亡を続けている2人の逮捕と逃亡した奴隷の回収に協力する事を約束した。