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その① 豆狸、巣穴を壊される
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あるところに一匹の豆狸が住んでおりました。
豆狸は人にイタズラをする悪い妖怪と言われていますが、この豆狸はちょっと違うようです。
ある日、豆狸が祠の下にある巣穴で寝ていると、急に外が騒がしくなってきました。
「満月屋の社長…本当にこの祠、壊していいんですか?」
「ああ…またお客様が増えて駐車場が狭くなって来たからな。
コレを潰して駐車場を広げる事にした。
ずっと反対していた父も亡くなったし…… 」
ここは、老舗旅館【満月屋】の駐車場予定地。
ようやく自分の思い通りに出来るようになった満月屋の社長は、新しい駐車場を作る為に、昔から旅館の敷地に建っていた古い祠を壊す事にしました。
「本当はあんまり良くないんだけどね~。
ところで…ちゃんと神社か隣りの寺に頼んでお祓いしてもらったんだろうね?」
と嫌そうに大工の棟梁が言うと、満月屋の社長は……
「そんなもったいない事するわけないだろ!
こんな小さくて古い祠の為に金なんかかけられるか!!」
と顔を真っ赤にして怒鳴り声をあげました。
「そりゃまずいよ。こういうのはちゃんとお祓いしないと、祟るんだ……
俺のところじゃ出来ない。他をあたってくれ!」
そう言って大工の棟梁は、凄く迷惑そうな顔をして帰ってしまいました。
満月屋の社長は、他の大工さんにも頼んでみましたが、みんな断られてしまったのです。
豆狸は賢いので人間の言葉がわかります。
この様子なら巣穴の入り口の祠が壊される心配はないだろうと思っていました。
ところが皆んなに祠を壊す仕事を断られた社長は、何と自分で壊す事にしたのです!
「誰もやってくれないなら、私が自分で壊してやる!!」
そう言って社長は、なんと大きなハンマーで、祠を壊し始めたではありませんか!
ガツン!!
のんびり寝ていた豆狸は、その音にビックリしてあわてて巣穴から飛び出しました。
「うわぁっ!何だ?のら犬か何か住み着いてたのか?
お客様の安全の為にも、やはりコレを壊す事にして正解だな!」
そう言って社長は、祠と一緒に豆狸の巣穴も壊してしまいました。
近くの茂みに隠れてそれを見ていた豆狸は、とても悲しくなって泣きました。
「キュ~ンキュ~ン」
豆狸は人にイタズラをする悪い妖怪と言われていますが、この豆狸はちょっと違うようです。
ある日、豆狸が祠の下にある巣穴で寝ていると、急に外が騒がしくなってきました。
「満月屋の社長…本当にこの祠、壊していいんですか?」
「ああ…またお客様が増えて駐車場が狭くなって来たからな。
コレを潰して駐車場を広げる事にした。
ずっと反対していた父も亡くなったし…… 」
ここは、老舗旅館【満月屋】の駐車場予定地。
ようやく自分の思い通りに出来るようになった満月屋の社長は、新しい駐車場を作る為に、昔から旅館の敷地に建っていた古い祠を壊す事にしました。
「本当はあんまり良くないんだけどね~。
ところで…ちゃんと神社か隣りの寺に頼んでお祓いしてもらったんだろうね?」
と嫌そうに大工の棟梁が言うと、満月屋の社長は……
「そんなもったいない事するわけないだろ!
こんな小さくて古い祠の為に金なんかかけられるか!!」
と顔を真っ赤にして怒鳴り声をあげました。
「そりゃまずいよ。こういうのはちゃんとお祓いしないと、祟るんだ……
俺のところじゃ出来ない。他をあたってくれ!」
そう言って大工の棟梁は、凄く迷惑そうな顔をして帰ってしまいました。
満月屋の社長は、他の大工さんにも頼んでみましたが、みんな断られてしまったのです。
豆狸は賢いので人間の言葉がわかります。
この様子なら巣穴の入り口の祠が壊される心配はないだろうと思っていました。
ところが皆んなに祠を壊す仕事を断られた社長は、何と自分で壊す事にしたのです!
「誰もやってくれないなら、私が自分で壊してやる!!」
そう言って社長は、なんと大きなハンマーで、祠を壊し始めたではありませんか!
ガツン!!
のんびり寝ていた豆狸は、その音にビックリしてあわてて巣穴から飛び出しました。
「うわぁっ!何だ?のら犬か何か住み着いてたのか?
お客様の安全の為にも、やはりコレを壊す事にして正解だな!」
そう言って社長は、祠と一緒に豆狸の巣穴も壊してしまいました。
近くの茂みに隠れてそれを見ていた豆狸は、とても悲しくなって泣きました。
「キュ~ンキュ~ン」
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