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第一話 吉宗の隠密
隠密殺生人誕生
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夕刻、宗次郎はいつものように捕った雀を二階にある飼育箱へ入れていた。
「よう、半平太、宗は二階け」
階下から聞こえてきたのは、宗次郎の兄、三九郎の声だ。
宮井家の嫡男である三九郎は、宗次郎と七つ違いの二十六。役は鷹匠見習いであるが、杢右衛門も認めるほど腕の良い鷹師である。
「へえ、雀を箱に入れているところですよ」
続いて半平太の声。
和歌山城下では城の近くに餌差だけが住まう町があって、餌差やその家来はそろって餌差町に住んでいた。だが、ここ江戸では、二組ある御鷹屋敷それぞれの敷地内に餌差長屋があり、餌差らはそこを住居としている。
長屋と言っても、簡素で質素ながらも玄関式台付き、厨子二階である。土を盛って造られた屋根の低い〈つし〉は冷やりと涼しく、捕らえた餌鳥を一時的に飼育するのに適していた。
宗次郎は二人の会話を薄暗いつしで、雀の世話をしながら聴いていた。
すぐにでも降りていって兄に挨拶するべきなのだろうが、なんとなく面倒で、対応は半平太に任せておこうと気付かぬふりを決め込む。
「なあ、おまんらの餌の方が先やからな」
返事など返って来るはずもないのに、宗次郎は箱の奥の止まり木にきちんと並んでいる雀たちに話しかける。
すると、三九郎の呆れた声が聞こえてきた。
「もちっと片付けたれよ。どいらい散らかりようじゃ」
そういえば二階に上がる梯子の下に、仕事道具を放りっぱなしだった。
一人分なら目立たないが、半平太も宗次郎に倣って、そのまま放ってあるものだから、さすがに足の踏み場がない。おまけに三九郎の妻はきれい好きなのだ。
「ほいで、今日はは、あが(自分)で何羽仕留めたんや」
「へえ、まあ」
「へえまあ、やあらへんで」
「はは、ですよねえ」
宗次郎は歯切れの悪い半平太の声を聞きながら、
「そろそろ助け舟を出しちゃろか。ほな、行ってくるわ」
雀に別れを告げ、巣箱の扉を閉めた。
梯子に足をかけた頃には、兄の小言は本格的な説教となっていた。
「おまん、腕を上げられへんかったら、餌差やとい(餌差の下役)どころか、小普請組へ舞い戻りやど。ちっとは真面目に小鳥を追わんかよ」
紀ノ川(和歌山北部を流れる川)域の言葉遣いは、自分たちが思っている以上に乱暴に聞こえるらしい。畳みかけるような三九郎の苦言に、半平太は首を縮めてすっかり黙りこくっていた。
(けど、兄上の言う通りや)
宗次郎は腹の中で兄に賛同する。
この冬の年の初めに小栗組の御鷹部屋が増設された。それに伴い餌差役人も増員されたのだが、無役の小普請だった半平太も、今回の増員で役(仕事)をもらえた口なのだ。とはいえ、技を伝授する餌差頭の手も足りず、あぶれていた半平太の面倒を、三九郎が引き受けた形であった。
「いらっしゃい、兄上」
何も聞いていなかったような顔で、宗次郎は兄に挨拶した。
「よう、宗次郎。明日の朝、雀を届けられるけ」
三九郎の用件は、餌鳥の催促だったようだ。
鷹はその種類にもよるが、一羽で日に鳩二~三羽に加え、雀を十羽は喰うという大食漢。しかも羽根が生え変わる今時分から秋にかけてはよく食べるのだ。二日に一度の割合で餌鳥を届けてはいるが、他の餌差らの釣果が悪ければ、催促も珍しくない。
だが、つい聞き返してしまった。
「今朝、届けたばかりなのに」
「父上が呼んでおられる」
間髪入れずに返ってきた答えが、用件の真意だった。それを聞いて、ふと頭に過ったのは、一昨日〈とらや〉の近くで鳥刺しをしているときに見かけた武士の姿である。
小川の向こう側の林に身を隠すようにして、父と共にこちらをうかがっていた。
その時すでに、何となくではあるが、嫌な予感はしていたのだ。
こんなことを言えば、「士道不覚悟」だと叱られるであろうが、宮井家の養子に入った時から、未だかつて自分を侍だと思ったことはない。だから、鷹師ではなく、鳥刺しの弟子にされた時も、感謝こそすれ嫌だとは思わなかった。
(だが、きっと、一昨日のあの男は、俺を侍の道へと引きずり出そうとする輩や)
もちろん、修行の意味も自分の立場も全て覚悟はしていた。
鳥刺しという身分は、あくまでも隠れ蓑だということも理解している。
だが、いざとなると嫌なものだと思う。そんな背反する心を瞬時に仕舞うと、素直に頷いて見せた。
「承知しました、兄上」
◇
翌朝、半平太と共に集めた雀を籠に詰め、二人で御鷹部屋に届けた。半平太はそのまま帰され、宗次郎だけが宮井家宅の奥の間に案内された。
襖を開けると、下座に杢右衛門が座っている。
宗次郎は目玉だけを動かして部屋の中を見渡した。
「どうした、座らぬか」
「はい」
仕方なく、空いていた上座に腰を下ろす。
誰かが居たような気がした。まだ気配が残っているような……
「どや、半平太は」
杢右衛門は何事もないように、会話を切り出した。
「まだまだです。たかが小鳥捕りと舐めちゃある」
宗次郎の答に、そうだろうと、ため息をこぼす。そのため息を払拭するように話題を変えた。
「さっそく本題だが、そなたに役がついた。これを上様より直々にお預かりいたした。開けてみよ」
「上様直々」という言葉に戸惑いながらも、差し出された紫色の袱紗に包まれたそれを引き寄せる。慎重に手に取り、頭上まで掲げて頂くと、改めて膝の前に置き、袱紗を開いた。
中身は無地の白木の箱で、そろりと蓋を取ると、『恵さし 享保四年卯月』と書かれた木札が現れた。
幕府発行の餌差札である。宗次郎は正式に餌差役人となったのである。
「鷹匠の家の養子となったのに、殺生人とは得心できぬと思うが」
そう杢右衛門が言葉を足したが、宗次郎にとっては、鷹師も鳥刺しも大した違いなどない。小さい命を殺すという意味ではどっちもどっちである。
そっと手に取り、首を傾げる。
(どういうことよ。組の名ぁがあらへん)
幕府の鷹匠頭は二名。小栗氏の小栗組と戸田氏の戸田組である。ここ雑司ヶ谷の御鷹屋敷は小栗氏の配下。普通ならば表書きに〈小栗組〉の名も入っているはずなのだ。
思ったことが顔に出たらしい。杢右衛門がそれに答えた。
「返して見てみろ」
言われるがまま、札をひっくり返すと、
「あっ」
思わず声が出た。
餌差札裏の中央に焼かれた印は、葵の御紋であったからだ。
まじまじと、将軍家の御紋を見つめる。
「これからは餌差の姿を借りて、隠密として上様のお役に立つのだ。それはお前がどこにでも立ち入れることを示しておる。言うている意味がわかるかえ」
「はい」
返事をしたものの、実感は伴わない。確かに幕府の隠密には違いないだろうが、隠密ならばその身分を知られぬよう、むしろ幕府の狗であることを隠すべきではないのか――それほどに、宗次郎にとって葵の御紋の焼き印は不可解なものであった。
「……あの、父上」
「なんじゃ」
「では、私はどの組にも」
戸惑いつつ発した問いは途中で遮られた。
「もちろん、ここ小栗にも千駄木の戸田組にも属さぬ。むろん若年寄である大久保佐渡守殿の傘下でもない。身の振り方は追って沙汰があろう」
「承知しました」
突然降って湧いたような話に戸惑いつつも、深々と頭を下げる。
宗次郎の声に不安が混じっていたせいなのか、杢右衛門がわずかに身を乗り出し言った。
「よいか。上様が江戸の郊外より広く御鷹の地を定めたにはわけがある」
宗次郎は顔だけを上げて父の言葉に耳を傾けた。
「今や大きく膨れ上がった江戸の街。その江戸郊外から近郊の村も含め、隅々までの支配が上様の目的なのじゃ。そこで御鷹場の地の保全を名目に置いた鳥見役所が、江戸郊外を監視する役目を担うはずであった。だがしかし、そう円滑にいっておらぬのが現状である」
「はい」
ようやく杢右衛門の言いたいことの輪郭が見えて来た。
「宗次郎よ、いよいよそなたの技を生かす時が来たのだ。役所では取り締まり切れぬ悪事を暴き、葬り去ることがそなたの役どころである」
「はい」
大役に違いない。幼いころから言い聞かされてきた。「殿の役に立つことが、そなたの役どころである」――その舞台が紀伊から江戸に移っただけだ。
「徳川の世の安泰こそが、殿の目指すところと知り、その腕を存分に役立てるよう励みよし」
杢右衛門は「上様」のことを敢えて「との」と呼んだ。それが燻っていた宗次郎の忠心に再び火を灯す。
「はっ」
宗次郎は短く歯切れのよい返事をすると、再び頭を深く下げる。一方で、心の水面に石礫が沈んでいく感覚を自覚した。
心の水面に投げられたそれは、胃の腑の奥にゆるゆると静かに沈んでいった。
「よう、半平太、宗は二階け」
階下から聞こえてきたのは、宗次郎の兄、三九郎の声だ。
宮井家の嫡男である三九郎は、宗次郎と七つ違いの二十六。役は鷹匠見習いであるが、杢右衛門も認めるほど腕の良い鷹師である。
「へえ、雀を箱に入れているところですよ」
続いて半平太の声。
和歌山城下では城の近くに餌差だけが住まう町があって、餌差やその家来はそろって餌差町に住んでいた。だが、ここ江戸では、二組ある御鷹屋敷それぞれの敷地内に餌差長屋があり、餌差らはそこを住居としている。
長屋と言っても、簡素で質素ながらも玄関式台付き、厨子二階である。土を盛って造られた屋根の低い〈つし〉は冷やりと涼しく、捕らえた餌鳥を一時的に飼育するのに適していた。
宗次郎は二人の会話を薄暗いつしで、雀の世話をしながら聴いていた。
すぐにでも降りていって兄に挨拶するべきなのだろうが、なんとなく面倒で、対応は半平太に任せておこうと気付かぬふりを決め込む。
「なあ、おまんらの餌の方が先やからな」
返事など返って来るはずもないのに、宗次郎は箱の奥の止まり木にきちんと並んでいる雀たちに話しかける。
すると、三九郎の呆れた声が聞こえてきた。
「もちっと片付けたれよ。どいらい散らかりようじゃ」
そういえば二階に上がる梯子の下に、仕事道具を放りっぱなしだった。
一人分なら目立たないが、半平太も宗次郎に倣って、そのまま放ってあるものだから、さすがに足の踏み場がない。おまけに三九郎の妻はきれい好きなのだ。
「ほいで、今日はは、あが(自分)で何羽仕留めたんや」
「へえ、まあ」
「へえまあ、やあらへんで」
「はは、ですよねえ」
宗次郎は歯切れの悪い半平太の声を聞きながら、
「そろそろ助け舟を出しちゃろか。ほな、行ってくるわ」
雀に別れを告げ、巣箱の扉を閉めた。
梯子に足をかけた頃には、兄の小言は本格的な説教となっていた。
「おまん、腕を上げられへんかったら、餌差やとい(餌差の下役)どころか、小普請組へ舞い戻りやど。ちっとは真面目に小鳥を追わんかよ」
紀ノ川(和歌山北部を流れる川)域の言葉遣いは、自分たちが思っている以上に乱暴に聞こえるらしい。畳みかけるような三九郎の苦言に、半平太は首を縮めてすっかり黙りこくっていた。
(けど、兄上の言う通りや)
宗次郎は腹の中で兄に賛同する。
この冬の年の初めに小栗組の御鷹部屋が増設された。それに伴い餌差役人も増員されたのだが、無役の小普請だった半平太も、今回の増員で役(仕事)をもらえた口なのだ。とはいえ、技を伝授する餌差頭の手も足りず、あぶれていた半平太の面倒を、三九郎が引き受けた形であった。
「いらっしゃい、兄上」
何も聞いていなかったような顔で、宗次郎は兄に挨拶した。
「よう、宗次郎。明日の朝、雀を届けられるけ」
三九郎の用件は、餌鳥の催促だったようだ。
鷹はその種類にもよるが、一羽で日に鳩二~三羽に加え、雀を十羽は喰うという大食漢。しかも羽根が生え変わる今時分から秋にかけてはよく食べるのだ。二日に一度の割合で餌鳥を届けてはいるが、他の餌差らの釣果が悪ければ、催促も珍しくない。
だが、つい聞き返してしまった。
「今朝、届けたばかりなのに」
「父上が呼んでおられる」
間髪入れずに返ってきた答えが、用件の真意だった。それを聞いて、ふと頭に過ったのは、一昨日〈とらや〉の近くで鳥刺しをしているときに見かけた武士の姿である。
小川の向こう側の林に身を隠すようにして、父と共にこちらをうかがっていた。
その時すでに、何となくではあるが、嫌な予感はしていたのだ。
こんなことを言えば、「士道不覚悟」だと叱られるであろうが、宮井家の養子に入った時から、未だかつて自分を侍だと思ったことはない。だから、鷹師ではなく、鳥刺しの弟子にされた時も、感謝こそすれ嫌だとは思わなかった。
(だが、きっと、一昨日のあの男は、俺を侍の道へと引きずり出そうとする輩や)
もちろん、修行の意味も自分の立場も全て覚悟はしていた。
鳥刺しという身分は、あくまでも隠れ蓑だということも理解している。
だが、いざとなると嫌なものだと思う。そんな背反する心を瞬時に仕舞うと、素直に頷いて見せた。
「承知しました、兄上」
◇
翌朝、半平太と共に集めた雀を籠に詰め、二人で御鷹部屋に届けた。半平太はそのまま帰され、宗次郎だけが宮井家宅の奥の間に案内された。
襖を開けると、下座に杢右衛門が座っている。
宗次郎は目玉だけを動かして部屋の中を見渡した。
「どうした、座らぬか」
「はい」
仕方なく、空いていた上座に腰を下ろす。
誰かが居たような気がした。まだ気配が残っているような……
「どや、半平太は」
杢右衛門は何事もないように、会話を切り出した。
「まだまだです。たかが小鳥捕りと舐めちゃある」
宗次郎の答に、そうだろうと、ため息をこぼす。そのため息を払拭するように話題を変えた。
「さっそく本題だが、そなたに役がついた。これを上様より直々にお預かりいたした。開けてみよ」
「上様直々」という言葉に戸惑いながらも、差し出された紫色の袱紗に包まれたそれを引き寄せる。慎重に手に取り、頭上まで掲げて頂くと、改めて膝の前に置き、袱紗を開いた。
中身は無地の白木の箱で、そろりと蓋を取ると、『恵さし 享保四年卯月』と書かれた木札が現れた。
幕府発行の餌差札である。宗次郎は正式に餌差役人となったのである。
「鷹匠の家の養子となったのに、殺生人とは得心できぬと思うが」
そう杢右衛門が言葉を足したが、宗次郎にとっては、鷹師も鳥刺しも大した違いなどない。小さい命を殺すという意味ではどっちもどっちである。
そっと手に取り、首を傾げる。
(どういうことよ。組の名ぁがあらへん)
幕府の鷹匠頭は二名。小栗氏の小栗組と戸田氏の戸田組である。ここ雑司ヶ谷の御鷹屋敷は小栗氏の配下。普通ならば表書きに〈小栗組〉の名も入っているはずなのだ。
思ったことが顔に出たらしい。杢右衛門がそれに答えた。
「返して見てみろ」
言われるがまま、札をひっくり返すと、
「あっ」
思わず声が出た。
餌差札裏の中央に焼かれた印は、葵の御紋であったからだ。
まじまじと、将軍家の御紋を見つめる。
「これからは餌差の姿を借りて、隠密として上様のお役に立つのだ。それはお前がどこにでも立ち入れることを示しておる。言うている意味がわかるかえ」
「はい」
返事をしたものの、実感は伴わない。確かに幕府の隠密には違いないだろうが、隠密ならばその身分を知られぬよう、むしろ幕府の狗であることを隠すべきではないのか――それほどに、宗次郎にとって葵の御紋の焼き印は不可解なものであった。
「……あの、父上」
「なんじゃ」
「では、私はどの組にも」
戸惑いつつ発した問いは途中で遮られた。
「もちろん、ここ小栗にも千駄木の戸田組にも属さぬ。むろん若年寄である大久保佐渡守殿の傘下でもない。身の振り方は追って沙汰があろう」
「承知しました」
突然降って湧いたような話に戸惑いつつも、深々と頭を下げる。
宗次郎の声に不安が混じっていたせいなのか、杢右衛門がわずかに身を乗り出し言った。
「よいか。上様が江戸の郊外より広く御鷹の地を定めたにはわけがある」
宗次郎は顔だけを上げて父の言葉に耳を傾けた。
「今や大きく膨れ上がった江戸の街。その江戸郊外から近郊の村も含め、隅々までの支配が上様の目的なのじゃ。そこで御鷹場の地の保全を名目に置いた鳥見役所が、江戸郊外を監視する役目を担うはずであった。だがしかし、そう円滑にいっておらぬのが現状である」
「はい」
ようやく杢右衛門の言いたいことの輪郭が見えて来た。
「宗次郎よ、いよいよそなたの技を生かす時が来たのだ。役所では取り締まり切れぬ悪事を暴き、葬り去ることがそなたの役どころである」
「はい」
大役に違いない。幼いころから言い聞かされてきた。「殿の役に立つことが、そなたの役どころである」――その舞台が紀伊から江戸に移っただけだ。
「徳川の世の安泰こそが、殿の目指すところと知り、その腕を存分に役立てるよう励みよし」
杢右衛門は「上様」のことを敢えて「との」と呼んだ。それが燻っていた宗次郎の忠心に再び火を灯す。
「はっ」
宗次郎は短く歯切れのよい返事をすると、再び頭を深く下げる。一方で、心の水面に石礫が沈んでいく感覚を自覚した。
心の水面に投げられたそれは、胃の腑の奥にゆるゆると静かに沈んでいった。
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