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神子と騎士と幼なじみ
第1話 回顧
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いつも通りの日常、あの日はたまたまそれが少しだけ違っていた。
家から一歩も踏み出すことなく毎日を過ごしていた瑠璃を、幼なじみである烏丸白は外に連れ出した。
それは代わり映えのない日常に起こったほんの小さなイレギュラーで、この外出が瑠璃の人生を一変させる日になるきっかけになるとは夢にも思わなかった。
森の中を歩いていた瑠璃と白は、突如現れた大穴に足を踏み外して落下してしまう。
真っ暗な穴の中を数分にも感じる間落下し続け、頭に死がよぎった瞬間、穴の底に行き着き明るい光が視界に広がった。
そこは見たことの無い教会のような空間で、更には見たことの無い時代錯誤な服装の人々が瑠璃と白を囲むように数十人立っていた。
その中から1人、自らを国王だと名乗る眩しいほどに綺麗な顔立ちをした壮年の男性が歩み寄って来る。
彼曰く、瑠璃達は窮地に立たされたこの国を救う神子として召喚されたのだと、神子は瘴気と呼ばれる穢れを浄化することが出来る特別な力を持った存在なのだと言う。
とても現実で起こり得ることだとは思えなかった。
そもそもつい先程まで日本にいたはずなのに、ここは国外は愚か地球ですら無い異世界だと言う。瑠璃の頭は混乱を極めていたが、白は一瞬の逡巡の後あっさりと現実を受け入れた様子だった。
思えばこの時から白だけが異世界に適応できており、瑠璃は異物だったのかもしれない。
瑠璃は混乱しつつも、国王が言った特別な力、という言葉に魅力を感じていた。
自分はその特別な力をもってしてこの国の人々を救うことが出来るのかと。
生まれてこの方他人の役に立った記憶など一度たりとも思い当たらず、なんの価値も無いと思っていた人生に存在意義を与えてもらったような気がしたのだ。
瑠璃の命は、物心着く頃に儚くなった両親に報いる為、そして己の罪を償う為だけに存在していた。
幼なじみである白と協力してこの国を救い、困っている人々を救うことが出来たのならば、そんな瑠璃の価値の無い人生にも意義が生まれるのだと思った。
この国の人達はきっと困っているだろうに、そんな利己的な思考をしている自分に瑠璃は嫌気がさしてしまう。
しかし、突然異世界に召喚されたことに混乱を覚えこそすれど、瑠璃は神子としての役目を果たすことに関して前向きになっていた。
その時の瑠璃は自分の殻に閉じこもってぐるぐると思考を巡らせていたせいで、周囲から感じるいくつかの冷たい目線に気付けないでいた。
瑠璃のほんの小さな希望すら直ぐに打ち砕かれてしまうなど、思いつきもしないことであった。
家から一歩も踏み出すことなく毎日を過ごしていた瑠璃を、幼なじみである烏丸白は外に連れ出した。
それは代わり映えのない日常に起こったほんの小さなイレギュラーで、この外出が瑠璃の人生を一変させる日になるきっかけになるとは夢にも思わなかった。
森の中を歩いていた瑠璃と白は、突如現れた大穴に足を踏み外して落下してしまう。
真っ暗な穴の中を数分にも感じる間落下し続け、頭に死がよぎった瞬間、穴の底に行き着き明るい光が視界に広がった。
そこは見たことの無い教会のような空間で、更には見たことの無い時代錯誤な服装の人々が瑠璃と白を囲むように数十人立っていた。
その中から1人、自らを国王だと名乗る眩しいほどに綺麗な顔立ちをした壮年の男性が歩み寄って来る。
彼曰く、瑠璃達は窮地に立たされたこの国を救う神子として召喚されたのだと、神子は瘴気と呼ばれる穢れを浄化することが出来る特別な力を持った存在なのだと言う。
とても現実で起こり得ることだとは思えなかった。
そもそもつい先程まで日本にいたはずなのに、ここは国外は愚か地球ですら無い異世界だと言う。瑠璃の頭は混乱を極めていたが、白は一瞬の逡巡の後あっさりと現実を受け入れた様子だった。
思えばこの時から白だけが異世界に適応できており、瑠璃は異物だったのかもしれない。
瑠璃は混乱しつつも、国王が言った特別な力、という言葉に魅力を感じていた。
自分はその特別な力をもってしてこの国の人々を救うことが出来るのかと。
生まれてこの方他人の役に立った記憶など一度たりとも思い当たらず、なんの価値も無いと思っていた人生に存在意義を与えてもらったような気がしたのだ。
瑠璃の命は、物心着く頃に儚くなった両親に報いる為、そして己の罪を償う為だけに存在していた。
幼なじみである白と協力してこの国を救い、困っている人々を救うことが出来たのならば、そんな瑠璃の価値の無い人生にも意義が生まれるのだと思った。
この国の人達はきっと困っているだろうに、そんな利己的な思考をしている自分に瑠璃は嫌気がさしてしまう。
しかし、突然異世界に召喚されたことに混乱を覚えこそすれど、瑠璃は神子としての役目を果たすことに関して前向きになっていた。
その時の瑠璃は自分の殻に閉じこもってぐるぐると思考を巡らせていたせいで、周囲から感じるいくつかの冷たい目線に気付けないでいた。
瑠璃のほんの小さな希望すら直ぐに打ち砕かれてしまうなど、思いつきもしないことであった。
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